AT&T【T】は現在約230万円分保有している銘柄であり、準主力銘柄と言えます。
通信セクターではベライゾン・コミュニケーションズ【VZ】とこのAT&T【T】の2銘柄に投資しています。
後段で詳述しますが伝統的に配当利回りは高く、配当利回りが6%~7%で推移することもままある高配当銘柄です。加えて増配率は低いものの、35年という連続増配年数は通信事業の安定さを示唆しますし、過去のリーマンショックやITバブルなどの局面においても堅調な業績・増配を続けてきたことが最大の魅力でしょう。
AT&Tは準主力銘柄の配当6%超え米国高配当株
【T】AT&T 基礎データ
AT&Tの基本情報は以下の通り。
社名 | AT&T Inc |
ティッカー | T |
設立日 | 1983年10月 |
本社所在地 | 米国 |
従業員数 | 268,000人 |
セクター | IT・通信 |
連続増配年数 | 36年 |
直近配当利回り | 5.79% |
過去配当利回り | 3.3%~7.6% |
直近4年平均配当利回り | 6.12% |
直近3年平均増配率(年率) | 2.08% |
直近5年平均増配率(年率) | 2.13% |
配当支払月 | 2, 5, 8, 11 |
1株配当 | $2.08 |
1株調整後利益 | $3.56 |
予想配当性向 | 57.7% |
予想PER | 9.9倍 |
株価 | $35.26 |
(2019年12月20日時点)
今年5月時点では、配当利回りは7%近傍に達するなどかなり売られていました。
5月時点で「マーケットの懸念は恐らく膨れ上がった借入金にあるわけですが、それにしてもさすがに後述の通り減配の兆候は特段見られず、投資妙味有りと個人的には考えています。」と記載していましたが、現時点においては株価は回帰してきました。
キャッシュフローは極めて堅調であり、その点も株価が見直された一因かもしれません。
【T】AT&T 事業内容
米通信大手2強といえばベライゾンとAT&Tです。2強の一角を占めるAT&Tは、その米国内市場の大きい規模さながら、売上高は約16兆円、純利益は兆円単位です。
通信会社は、特に情報通信革命以降はインフラ的な性質も帯びますから、安定した株主還元の期待でき、米国人口も漸増していくことを背景に、米国株投資家において人気のある企業と言って良いでしょう。
スマホで動画を見るのが大衆化して以降、日米問わず通信系各社の一部は人気コンテンツを抱える会社を買収するなどして顧客の囲い込みを図っています。日本でいえばKDDI、米国ではAT&Tです。
AT&Tは、傘下に米CNNや人気ドラマ「Game of Thrones」を手掛ける有料テレビ局HBOを抱えるタイムワーナー買収に動き、事業の多角化を志向しています。(Game of Thrones実際全話見ていますがめちゃくちゃ面白いですよね、一大傑作)
下図はAT&TのAnnual Report 2018からのデータによるAT&T事業別売上高の推移ですが、タイムワーナー買収による効果が出てきています。
売上高に占める割合は2017年までほぼ通信でしたが、2018年になるとWarner Mediaの占める割合が11%を占めるようになっています。
【T】AT&T 株価と配当利回り推移
上図ご覧の通り、株価は約10年間で横ばいです。成長性に乏しい成熟産業であり、高配当ですから横ばいというのもうなずけます。
配当利回りは3.3~7.6%で推移しています。
配当利回りが7.6%に達したのは2009年3月10日の株価が21.72ドルだった時です。まさにリーマンショックにより世界的に株価が暴落した時期ですね。
2007年4月から2019年5月における平均配当利回りは5.4%です。買い増しするならば個人的には最低でも5.4%を上回る局面ですね。2019年5月時点で既に配当利回りは6.6%まで高まっていますから買い目線でした。
その後、たまたまですが2019年8月31日時点で株価上昇に伴い、配当利回りは5.7%まで下がってきました。
【T】AT&T 配当と配当利回り推移
上図でもわかる通り、1株あたりの配当は地味ながら増えています。また、くり返しながら配当利回りは直近6.6%と非常に過去10年間で見ても高水準三菱サラリーマン的にはこのような状況は重大な関心を持って買い増しタイミングをうかがう局面です。(2019年5月時点)
【T】AT&T 配当落ち日・配当基準日・配当支払い日
配当支払日は2・5・8・11月の月初です。2・5・8・11月の配当支払タイミングの私の保有銘柄としては他に【BTI】や【VZ】・【ABBV】などがあります。
下表ご覧の通り、毎年の増配タイミングは2月の配当支払日からです。
配当発表日 | 配当落ち日 | 配当基準日 | 配当支払日 | 1株配当 |
3/29/2019 | 4/9/2019 | 4/10/2019 | 5/1/2019 | 0.51 |
12/13/2018 | 1/9/2019 | 1/10/2019 | 2/1/2019 | 0.51 |
9/28/2018 | 10/9/2018 | 10/10/2018 | 11/1/2018 | 0.5 |
6/29/2018 | 7/9/2018 | 7/10/2018 | 8/1/2018 | 0.5 |
3/30/2018 | 4/9/2018 | 4/10/2018 | 5/1/2018 | 0.5 |
12/15/2017 | 1/9/2018 | 1/10/2018 | 2/1/2018 | 0.5 |
9/29/2017 | 10/6/2017 | 10/10/2017 | 11/1/2017 | 0.49 |
6/30/2017 | 7/6/2017 | 7/10/2017 | 8/1/2017 | 0.49 |
3/31/2017 | 4/6/2017 | 4/10/2017 | 5/1/2017 | 0.49 |
10/22/2016 | 1/6/2017 | 1/10/2017 | 2/1/2017 | 0.49 |
9/30/2016 | 10/5/2016 | 10/10/2016 | 11/1/2016 | 0.48 |
6/24/2016 | 7/6/2016 | 7/8/2016 | 8/1/2016 | 0.48 |
3/25/2016 | 4/6/2016 | 4/8/2016 | 5/2/2016 | 0.48 |
12/18/2015 | 1/6/2016 | 1/8/2016 | 2/1/2016 | 0.48 |
9/25/2015 | 10/7/2015 | 10/9/2015 | 11/2/2015 | 0.47 |
6/26/2015 | 7/8/2015 | 7/10/2015 | 8/3/2015 | 0.47 |
3/27/2015 | 4/8/2015 | 4/10/2015 | 5/1/2015 | 0.47 |
12/19/2014 | 1/7/2015 | 1/9/2015 | 2/2/2015 | 0.47 |
9/26/2014 | 10/8/2014 | 10/10/2014 | 11/3/2014 | 0.46 |
6/27/2014 | 7/8/2014 | 7/10/2014 | 8/1/2014 | 0.46 |
3/28/2014 | 4/8/2014 | 4/10/2014 | 5/1/2014 | 0.46 |
12/13/2013 | 1/8/2014 | 1/10/2014 | 2/3/2014 | 0.46 |
9/27/2013 | 10/8/2013 | 10/10/2013 | 11/1/2013 | 0.45 |
6/28/2013 | 7/8/2013 | 7/10/2013 | 8/1/2013 | 0.45 |
3/29/2013 | 4/8/2013 | 4/10/2013 | 5/1/2013 | 0.45 |
11/7/2012 | 1/8/2013 | 1/10/2013 | 2/1/2013 | 0.45 |
9/28/2012 | 10/5/2012 | 10/10/2012 | 11/1/2012 | 0.44 |
6/29/2012 | 7/6/2012 | 7/10/2012 | 8/1/2012 | 0.44 |
3/30/2012 | 4/5/2012 | 4/10/2012 | 5/1/2012 | 0.44 |
9/30/2011 | 1/6/2012 | 1/10/2012 | 2/1/2012 | 0.44 |
12/13/2011 | 10/5/2011 | 10/10/2011 | 11/1/2011 | 0.43 |
6/28/2011 | 7/6/2011 | 7/8/2011 | 8/1/2011 | 0.43 |
3/28/2011 | 4/6/2011 | 4/8/2011 | 5/2/2011 | 0.43 |
12/13/2010 | 1/6/2011 | 1/10/2011 | 2/1/2011 | 0.43 |
9/30/2010 | 10/6/2010 | 10/8/2010 | 11/1/2010 | 0.42 |
6/28/2010 | 7/7/2010 | 7/9/2010 | 8/2/2010 | 0.42 |
3/28/2010 | 4/7/2010 | 4/9/2010 | 5/3/2010 | 0.42 |
12/13/2009 | 1/6/2010 | 1/8/2010 | 2/1/2010 | 0.42 |
9/30/2009 | 10/7/2009 | 10/9/2009 | 11/2/2009 | 0.41 |
6/28/2009 | 7/8/2009 | 7/10/2009 | 8/3/2009 | 0.41 |
3/28/2009 | 4/7/2009 | 4/9/2009 | 5/1/2009 | 0.41 |
12/13/2008 | 1/7/2009 | 1/9/2009 | 2/2/2009 | 0.41 |
9/30/2008 | 10/8/2008 | 10/10/2008 | 11/3/2008 | 0.4 |
6/28/2008 | 7/8/2008 | 7/10/2008 | 8/1/2008 | 0.4 |
3/28/2008 | 4/8/2008 | 4/10/2008 | 5/1/2008 | 0.4 |
12/13/2007 | 1/8/2008 | 1/10/2008 | 2/1/2008 | 0.4 |
9/30/2007 | 10/5/2007 | 10/10/2007 | 11/1/2007 | 0.355 |
6/28/2007 | 7/6/2007 | 7/10/2007 | 8/1/2007 | 0.355 |
3/28/2007 | 4/5/2007 | 4/10/2007 | 5/1/2007 | 0.355 |
12/13/2006 | 1/8/2007 | 1/10/2007 | 2/1/2007 | 0.355 |
【T】AT&T 売上高・営業利益・純利益
AT&Tの①売上高・②営業利益・③純利益・④営業利益率・⑤営業キャッシュフローマージンを見てみましょう。
売上高は2014年以降堅調に推移。
営業CFマージンも25%程度と高水準を維持。
純利益が2017年に急伸したのは米国の税制改革の影響で一時的なものです。
上図業績推移をみる限り、特段憂慮するような傾向は見当たりません。
【T】AT&Tキャッシュフロー推移
投資CFは横ばいも、営業CF・フリーCF共に堅調に推移、OK。米国全土をカバーする通信インフラへの設備投資が巨額な分、資本支出(Capital Expenditure)も毎年2兆円近く投じながらも安定的にフリーCFを創出しています。
一方、設備投資が莫大ということは、海運業界(特にコモディティ化の波が来る以前)のようにそれだけ新規参入しづらいという見方も可能でしょう。新規プレーヤーが参入し難いということは、業界全体が数社に寡占されやすいとも言えると思います。
また、下表は2008年分のデータも入ったものですが、リーマンショックがあったにも関わらず、営業キャッシュフローがむしろ微増しているのがわかります。
AT&Tやベライゾンはこの不景気に対する強さが最大の特長でしょう。
【T】AT&T 配当支払額・自社株買い・フリーCF・借入金状況
直近のキャッシュフロー状況を更に詳しく確認してみましょう。
一時期多額の債務がよく話題に挙がっていましたが、いやいや2018年以降、140億ドルもの借入金をしっかり返済しています。フリーキャッシュフローも増加傾向であり、フリーキャッシュフローベースの配当性向も以下通り極めて堅調です。
2016年:74%
2017年:73%
2018年:60%
2019年:51%(第二四半期時点累計)
【AT&T vs Verizon】同業他社とのフリーキャッシュフローマージン比較
AT&Tとベライゾンという米通信業界の2強を比べると、AT&Tの方がVZより安定してフリーキャッシュフローを生み出していますね。
ただ、FCFマージン自体は両者共に10%近傍と大きな差はありません。
【T】AT&T 増配率の推移
毎年0.04ドルずつの増配ですから、分母が大きくなるにしたがって増配率は逓減していきます。
【T】AT&T 配当安全性
配当安全性を測る1つの指標になり得るFCFPS>DPSという条件は概ねOK。
2015・2016年を除いてFCFPS(1株あたりフリーキャッシュフロー)>DPS(1株あたり配当)となっています。FCFPS>DPSが配当安全性を測る必要十分条件というわけではありませんが、一応の稼いだ手残りキャッシュの目処が配当支払額を上回っていると一応解釈できます。
特に2014年以降はFCFPSが反転して上向いています。
【T】AT&T トータルリターン vs S&P500
下図はAT&TとS&P500指数の配当再投資込みトータルリターン比較です。
AT&Tはやはりトータルリターンでは過去10年間(2009年~2019年)において、S&P500に大きく負けています。
通信産業としての成長期待の低さ及び価格競争の激化から、株価は過去10年間でほぼ横ばいであり、高配当とはいえリターンは限定的であることが示されていますね。
年率 | |
AT&T | 6.68%(10年で1.95倍) |
S&P500 | 14.37%(10年で4.0倍) |
ただ、三菱サラリーマン的には基本的には配当収入というキャッシュフローを最大化することが投資方針ですので、引続き不況にも強かったこのような銘柄は保有してまいります。
【T】AT&T 銘柄分析まとめ
以上分析してきましたが、まとめると以下の通りです。
- リーマンショックでもキャッシュフロー堅調
- 配当安全性は今のところ特段の疑義見られず
- 高配当魅力
- ただしリターンはS&P500より大きく劣る
何と言っても配当というキャッシュフローをKPIとする投資家にとっては注目の銘柄でしょう。三菱サラリーマン的にもポートフォリオの5%程度までは購入しても良いかなと思う銘柄です。
一方、あくまでトータルリターン重視の投資家からすればS&P500に大きく劣後していますから、その観点からは物足りない銘柄というご意見もあるのではないかと推察します。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
安定したインカムを狙う投資家にとって、Jリートも一案になります。ただ今年はかなり買われていますね。
直近の高配当銘柄としては、石油セクターがかなり下がっていますね。伴い、配当利回りは上昇しています。
ARCCは絶好調ですね。キャピタルゲインとインカムゲインの両取りが目下実現できている銘柄でしょう。