【RDSB銘柄分析】ロイヤル・ダッチ・シェル、高配当石油メジャー約70年ぶりに減配


配当収入を増やしたいインカム投資家にとって以下理由から選好候補の1つになってきたであろうロイヤルダッチシェル。

  1. 高配当
  2. 配当に対する米国での課税10%なし
  3. 70年以上減配なき実績

しかし原油価格の低迷も背景に、2020年に第二次大戦以来の減配が発表されています。

「支出の最適化」ならぬ「配当の適正化」。減配はNAVに対する影響として、あくまで中立であることも申し添えておきましょう。

コロナショック後は減配企業が増えることも考えられます。そこで再度焦点を当てておきたいのは、分散です。

個社の減配リスクは暴落と同様に常にあることから、銘柄等の分散によって、減配の影響を軽微にとどめることがポイントにもなってきそうですね。

オイルメジャーということで、漏油事故という潜在的なリスクや、業績が原油や天然ガスなど資源価格(外的要因)に大きく左右され、外部環境に脆弱な特徴があります。

一方、比較的わかりやすい事業構造の循環株であってきたため、資源市況が底の時に購入できれば大きなリターンも狙える側面があります。ただし、底がいつなのかを事前に察知することは困難ではあります。

ロイヤルダッチシェルは石油メジャーの中でも、LNGなどの石油以外のエネルギー事業へ多角化中。船舶へのLNG燃料供給事業が一例。

同社は後述の通り配当政策に対して”配当成長”を明記ながら、2020年に減配と相成っています。

【RDSB銘柄分析】ロイヤル・ダッチ・シェル、配当利回り6%超の高配当石油メジャー

各データ、株価・配当・業績・キャッシュフローなどを見ていきます。

【RDSB】基礎データ

RDSBの基本情報は以下の通り。

社名(和文) ロイヤル・ダッチ・シェル
社名 Royal Dutch Shell Plc
ティッカー RDSB (・RDSA)
設立日 2002年2月
本社所在地 オランダ・ハーグ
従業員数 94,000人
セクター エネルギー
連続増配年数 6年
直近配当利回り 8.4%
直近4年平均配当利回り 6.5%
直近3年平均増配率(年率) 0.0%
直近5年平均増配率(年率) 0.5%
配当月 3, 6, 9, 12
1株配当 $3.76
1株利益(2020年予想) $4.56
配当性向 66.5%
PER 9.7倍
株価 $44.53

(2020年2月28日時点)

コロナウイルスの影響・原油価格下落を受け、配当利回りは驚きの二桁に乗せる場面もあるなど株価急落。

2019年通期決算は原油・天然ガスなど資源価格の下落により減収減益で株価下落も、キャッシュフローで配当がカバーされていることが確認できたものの、コロナショックによる需要急減・産油国の増産転換姿勢などの供給過剰という、需要と供給の両サイドからの影響が挙げられます。

石油メジャーは、EPSが市況で大きく変動し、PERはあくまで参考程度。セクター全体が衰退の一途をたどるのか、低迷期の1つと見るのかで、大きく投資判断が分かれる産業でもあります。

連続増配年数は6年でしたが、2020年の減配により、連続増配は途絶えています。

【RDSB】セグメント別売上高

RDSBのセグメント
  • Integrated Gas
    LNGの上流・中流部門に加え、風力・太陽光など環境に配慮した新エネルギー/低炭素エネルギー事業(バイオ燃料・水素・電気自動車向けなども含む)
  • UPSTREAM(上流部門)
    従来型石油・ガスおよびシェールガスの採掘・輸送。
  • DOWNSTREAM(下流部門)
    石油化学製品を指し、具体的には原油・ガソリン・ディーゼル・灯油・航空機用燃料・船舶用重油・潤滑油・オイルサンドの精製など。

2018年までLNGや新エネ事業である「Integrated Gas」セグメントが増加しています。

ちなみに、同じくスーパーメジャーの英BPの決算書には、新エネルギーに該当するセグメントは見当たりません。RDSBは石油メジャーの中でも新エネ・LNGに注力している企業です。

【RDSB】株価と配当利回り推移(2007年~)

  • 2007年から株価は概ね40ドルから80ドル近傍の範囲を上下動する推移。
  • 当該期間の平均配当利回りは5.6%
  • 配当利回りが8%を超えるのは、原油価格が急落した2015年以来の水準。

【RDSB】株価と配当利回り推移(過去5年)

直近5年間では配当利回りは5~10%のレンジで推移。同期間の平均配当利回りは6.0%です。

一時配当利回りが10%を超えるほど急騰した局面は、原油価格急落時です。過去3年間で4回、配当利回り7%近傍で反発しています。

【RDSB】売上高・営業利益・純利益

RDSBの業績推移(①売上高・②営業利益・③純利益・④営業利益率・⑤営業キャッシュフローマージン)を見てみましょう。

業績は概ね原油やLNGなどの資源価格に連動します。特に下図の通り、株価は原油価格(WTI先物)にほぼ完全に連動してきました。ゆえに、原油価格の動向に依拠する形で今後も業績が推移していくことが予想されます。

【RDSB】株価と原油価格(WTI先物)の関係

株価と原油価格(WTI先物)がほぼ完全に連動していることがわかります。今後の原油価格の需給、およびリグ数の推移などが注目指標です。

【RDSB】キャッシュフロー推移

①営業キャッシュフロー・②投資キャッシュフロー・③フリーキャッシュフロー・④営業CFマージンを見てみましょう。

石油メジャーの投資CFは概して多いです。営業CFは主に原油価格に大きく左右されます。フリーCFは潤沢とは言えない水準。

営業CFマージンは増加傾向。原油価格低迷時から旧来型の石油資産売却・ポートフォリオ入れ替えコスト削減策などを積極的に行ってはいますが、依然資源価格次第でしょうか。

【RDSB】主なキャッシュフロー増減

次はキャッシュフローの観点から、「①フリーキャッシュフロー、②配当支払額、③自社株買い、④債務増減」を見てみましょう。

2016 2017 2018 2019
フリーCF -1,501 14,805 30,074 19,208
配当支払 -9,677 -10,877 -15,675 -15,198
自社株買い -3,947 -10,188
債務(借入-返済) 8,496 -14,510 -11,509 -7,756
配当性向
(FCFベース)
73% 52% 79%
  • 2017~2019年、フリーキャッシュフローが配当支払額を上回る。
  • 2017~2019年、借入金を継続的に返済。
  • 2019年に入り、自社株買いが従前より増加。(ただしペース鈍化予定との会社発表)

2019年までは、キャッシュフローの観点から配当持続性に特段の疑義は見受けられなかった直後のコロナショックで減配です。未曾有の事態には、未曾有の事態が起こり得るということを示してくれています。

尚、債務が順調に返済されているにも関わらず、バランスシートで債務が増えているのは、新リース会計基準「IFRS 16」適用によるリース債務のDebt算入による影響が主因です。

【RDSB】フリーキャッシュフローマージン比較(石油メジャー)

同じく石油メジャーである【XOM】エクソンモービル、【BP】BPと比較します。

XOMが概ね、BPとRDSBを上回っており、XOM>RDS>BPの順です。いずれも私が保有している銘柄群です。

XOMは概ねどの指標も石油メジャーの中で安定しており、FCFマージンも同様の結果ですね、

【RDSB】74年減配なしも、2020年に減配

あくまで業績に裏打ちされていることが前提条件ながら、”Our policy is to grow the US dollar dividend”と言及しています。

2015年・2016年にかけてEPSが大幅に悪化する中でも、同社は減配をしていませんでした。

Shell maintained its fourth-quarter dividend unchanged from the previous quarter at $0.47 per share and in a rare move pledged to pay the same amount in the first quarter of 2015. It has never cut its dividend since 1945.

第二次世界大戦(1945年)以降、減配なき配当政策でしたが、2020年に減配となっています。

船舶へのLNG燃料供給事業

尚、同社を象徴するトピックとして、石油以外のLNG事業である、船舶へのLNG燃料供給事業が挙げられます。

同社は石油以外の事業領域の強化の一環として、船舶へのLNG燃料供給事業の為に専用船の建造を進めています。

同事業への国内勢の面々としては、海運首位の日本郵船が同事業をリード。2017年2月にはLNG燃料販売事業に既に参入。LNG燃料船の建造も開始。海運業界を取り巻く環境対策を主導。

ESG投資の広がりによる機関投資家からの投資撤退

ロイヤルダッチシェルを特徴付ける1つの要素として、ESG投資の広がりによる投資家からの投資撤退があります。

 石油メジャーの英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが地球環境などに配慮する「ESG投資」の広がりに身構えている。温暖化ガスの大量排出につながる石油ビジネスに依存していると機関投資家の「ダイベストメント(投資撤退)」の標的になっているためだ。

ESG(環境・社会・ガバナンス)に問題のある企業を投資対象からふるい落とすダイベストメントは広がる一方だ。米カリフォルニア州の年金基金やノルウェー政府年金基金などの機関投資家もエネルギー関連株を手放し始めた。

こうしたESG投資の逆風にさらされて、シェルが導き出した解のひとつが「脱石油」だ。太陽光や風力など再生可能エネルギーに年間20億ドル(約2100億円)を投じるほか、石油から環境負荷の少ない液化天然ガス(LNG)へのシフトを進めてきた。

再生エネとLNG分野での2018年の利益は約110億ドルと16年の4倍以上になり、石油開発などを抜いて稼ぎ頭だ。足元でもメガソーラーや電気自動車(EV)充電施設への投資を積み増している。

もうひとつが21~25年の5年間で計1250億ドル超という株主還元だ。これは16~20年よりも4割も多い。原油安のあおりで19年4~6月期の純利益は前年同期比50%減の29億9800万ドルにとどまった。この利益水準が続くと仮定すれば、自社株買いや配当による還元性向は200%を超えることになる。

シェルの株価はさえない。ダイベストメントによる売り圧力のほかEVの普及などで石油需要の減少が避けられないとの見通しも長期的に上値を抑えそうだ。石油メジャーの中でいち早く脱石油に乗り出したシェルに対する市場の評価は競合メジャーだけでなく、日本の元売り大手JXTGホールディングスと出光興産の行方を暗示している。

(出所:日本経済新聞)

たばこ株と同様、石油メジャーは「投資撤退対象」とされており、機関投資家による投資撤退により上値が抑えられやすくなっています。

これは長期的な株価低迷に繋がりやすい一方で、業績と関係なく割安に置かれる可能性にも繋がりますし、長期低迷の一因にもなり得ます。

同社へ投資する際は、このESG投資という側面にも留意しておいた方が良さそうですね。

RDSB銘柄分析まとめ

エネルギーセクターの中でもオイルメジャーは軒並み配当利回りが高い傾向にあります。

背景に、石油の将来に対する悲観的な見方や、シェール革命による米国における生産量の増加・掘削コスト減、OPECや非OPECの協調体制の状況などを背景に、2015年以降低迷してきた原油価格、将来の同産業の不透明感などが考えられます。

「最大の懸念は資源価格の低迷です。低迷シナリオが現実化すると、やはり減配シナリオもあると頭に入れておきたいところです。」と記載していましたが、現実化しています。

また、ガスや再エネなど事業転換が果たしてどこまでなされるのかもポイントになりそうです。

いずれにしても石油関連企業にポジションが偏るのは不味ゆえ、従来通りセクター分散はしっかり図る方が無難です。

なお、同社へは私も投資しています。同社減配の影響として、ポートフォリオに対する減配影響度は受取配当金全体の2%。

個社の減配リスクは常在であることから、やはり銘柄分散をして個社ごとの影響を軽微にしておくことが肝要だと思います。

Best wishes to everyone!

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公開日:2017年6月25日

コメント

  1. エイハブ船長 より:

    たいへん参考になりました。
    昨夜、購入しちゃった後なんですけどね(笑)。
    ありがとうござます。