【ARCC】エイリス・キャピタルとは
禁断の超高配当株のご紹介です。
市場低迷期に仕込めれば高いインカムとキャピタルを得られる傾向であってきた、エイリス・キャピタル【ARCC】(Ares Capital Corporation)。コロナショックでも同様の傾向でした。
株価は17ドル台を回復。コロナショックも振り返れば、やはり絶好の買い場だったことになります。
配当利回りは伝統的に9%超えと高いです。反面、値動きは荒く、市場全体が下げる時は弱い局面が見られます。リスクを負って高い利回り・リターンを求める投資家には選択肢になってくる銘柄です。
ARCCの特徴は、現時点で以下の通り。
特徴 |
① 配当利回りは過去10年間で平均9%超え、超高配当 |
② S&P500を継続的に上回るトータルリターン |
③ リーマンショック時、下落率83%と脆弱 |
④ リーマンショック後、18%減配 |
以下詳述します。
BDC最大手であるARCC。BDCとは何か。
ARCCは「BDC最大手」です。そもそも「BDCとは何か」について、以下述べます。
- Business Development Company(ビジネス・デベロップメント・カンパニー)の略称
- 米国で中堅企業や新興企業等の事業を、金融・経営面で投融資する投資会社
BDCの投資対象は、未上場企業も含まれます。つまり投資家は、「BDCを通じて未上場である新興企業へも投資可能」になります。
BDCの特徴
また、大きな特徴として、利益の90%以上を投資家へ配当として分配することで法人所得税の免除あり、REITと似た優遇措置を享受しています。これが高配当である一因です。
今では有名な以下企業も、創業期にBDCから支援を受けていました。
- グーグル【GOOG】
- アップル【AAPL】
- インテル【INTL】
- フェイスブック【FB】
ARCCって超高配当、大丈夫なのか
BDC最大手のARCCは、配当利回りが概ね9%以上。
聞いただけで「危険なハイリスク商品」というのが率直な感想であり、投資家としてその意識は真っ当と思います。やはり、その分リスクは内在します。
さらに見ていきましょう。
分散・投資対象クラスの選別は図られている
BDCの運用資産については法律により適切な分散が求められています。
例えば、
- 少なくとも資産の70%を法律で定められた適格投資対象(時価総額2.5億ドル未満の未公開企業の株式、ローン、債券など)に投資すること
- 1銘柄当たりの構成比率を全体の25%以下に抑えること
などが定められています。また、借入に関する制限も設けられてはいます。
投資対象が新興・中堅企業ゆえのリスク
とはいえBDCの業態上、新興・中堅企業向け投融資という性質ゆえ、信用力の高い大企業向け融資とは言い難い面、注意必要と思います。
反面、信用リスクが高い企業向けの融資利率は、一般的に高く設定されます。
ゆえに、「リスキーな反面、そのリスキーさがリターンを生む源泉」にもなり得るわけですね。
ARCCの配当利回り・株価・トータルリターン
そんなARCCの配当利回り・株価・トータルリターンを点検しましょう。
以下側面が見えてきます。
- トータルリターンは良好
- 平時は株価横ばい気味、金融危機や弱気相場に脆弱
【ARCC】年間配当と配当利回り推移
上図における年間実績配当は直近4回の配当を平均した年間配当を表示しています。年間配当は概ね1.4ドル~1.8ドルの間で推移。
- 2019年:特別配当含む1.68ドル
- 2020年:1.60ドル
平時は配当利回り9.5%近傍も、リーマンショック時2009年3月5日には配当利回りが一時、52.3%まで急騰。これがARCCの最高配当利回りです。
対して2011年2月28日に配当利回りは7.85%でした。これがARCCの最低配当利回りです。
▶ 最高値:52.3%
(2009年3月5日)
▶ 最低値:7.85%
(2011年2月28日)
▶ 設定来平均:11.13%
(2020年12月4日時点)
配当月
なお、配当月(支払日ベース)は、1・4・7・10月です。
ARCCの株価と配当利回り推移(2007年~)
2009年3月5日当時の株価は3.21ドルです。2007年5月の高値18.55ドルからの下落率は83%にも達します。金融危機に極めて脆弱だったことがわかります。
コロナショック時の株価と配当利回りの動き
- コロナショック当初は信用収縮が見られず、PFFと共に暴落には至らず。
- しかし、CP(コマーシャルペーパー)市場が収縮し始めるなど短期金融市場も動揺し、信用不安が拡大したあたりから急落。
ご覧の通り、ARCCはリーマンショック時もそうでしたが、市場下落時には株価もかなり弱含みやすいです。
今回のコロナショックでは約60%下落。ほかの銘柄よりも大きい下落幅。よって、リスク選好的な投資家でない限りは、手出ししない方が無難とも言えます。ボラティリティが高いからですね。
ただし、裏を返せば、下値で拾えれば、高いキャピタルとインカムを両取りできることになります。
ARCCの株価と配当利回り推移(2014年~)
リーマンショック時を含めた上図(2007年~)は株価も配当利回りも軸幅が大きいため、2015年以降で区切って改めて下図を見てみましょう。
2014年以降の平均配当利回りは9.72%です。
リーマンショック・コロナショックの株価下落率
リーマンショック時、コロナショック時を見てきました。ここで、当時の株価の下落率も確認しておきましょう。
下落率 | 高値 | 安値 | |
コロナショック | 58.0% | 19.23 (2020年2月7日) |
8.08 (2020年3月23日) |
リーマンショック | 82.7% | 18.55 (2007年5月30日) |
3.21 (2009年3月5日) |
リーマンショックの方が下落率が甚大なのは、信用不安の規模の違いと考えます。
BDCという業態から、金融危機の際は弱含みしやすいですね。
ARCCのトータルリターン
特筆すべきはARCCの過去リターンです。S&P500を凌駕しています。
尚、最大ドローダウンはリーマンショック時で、以下の通り。金融危機で弱かったことが改めて見てとれます。
- ARCC :77%
- S&P500:51%
年率リターンは以下の通り、市場平均を上回り、ARCCは10%を超えています。
- ARCC :10.1%
- S&P500:9.2%
【ARCC】高配当BDC銘柄まとめ
ARCCに対する雑感としては、金融危機におけるドローダウンは特に大きく、弱気相場や金融危機において脆弱であることが予想されます。
一方、トータルリターンはS&P500を上回るなど魅惑的です。
投資家のリスク許容度によりますが、ポートフォリオの5%以下に留めるなど、大勢に影響しない形で遊軍として位置付ける程度とするのも、おもしろい銘柄ですね。
あくまで個別株なので、集中投資せずに分散投資先の1つとした方が無難です。
Best wishes to everyone!
ARCCは別途メリット・デメリットを以下詳述しています。
なお注意点あり。ARCCは、SBI証券・マネックス証券で取扱いの目処が立っていない一方で、楽天証券は取扱っています。
満を持して、コロナショックの際に果敢にARCCを購入しました。
コメント
ARCCやMAINに注目している人は多そうですね。
私はARCC、保有しています。コロナで暴落した際、調べてみましたが、ここの記事が一番詳細で、参考になりました。
購入は、2020年3月24日。暴落後底打ち直後くらいで、平均8.7ドルくらいで購入できました。
1千万円購入し、値上がりしましたが、9月に値上がり分を売ってまた1千万円にしました。ARCCを資産の一定割合に抑えるためです。今の時価に対する益利回りは11~12%、初期投資に対する利回りは16%くらいです。
これで永久保有ポートフォリオ(よほどのことがないと売買しないと自分で決めている銘柄)に組み込んでおこうと思います。
売買が一段落しましたので、改めまして一言ご報告とお礼まで。どうもありがとうございました。また有益な記事を期待しております。