金価格の上昇はすでに記録的な水準。言えること
2025年4月末の時点で、金価格は下表のとおり「年別上昇ランキングで歴代5位」を記録しました。
NY金価格は4カ月で20%超の上昇
- 1979年:54.1%
- 2007年:24.2%
- 2010年:22.7%
- 2024年:21.5%
- 2025年:21.5%
- 2002年:19.9%
- 2020年:19.7%
- 2009年:19.4%
- 1986年:18.9%
- 2006年:18.7%
つまり「金価格は過去の傾向をふまえる、すでに相当上がっている」と言えようかと思います。
金価格チャート
将来は予測不能であり、金価格の今後の推移を見通すことは困難ですが、「すでに記録的な上昇を見せている時に金を大きく買うか」というと、慎重になりますね。
「定期つみたて」程度ならば一案と感じます。時間分散によって買値が一定程度は平準化されるからです。
金は2022年から注目
2022年から2023年当時、「金が今後重要な存在になってくる」と感じていたことを当時いくつか記事にしてきました。
背景には、昨今各所でも指摘されるようになったとおり、米財政赤字や金融緩和による貨幣供給量の多さ等によって、以前より基軸通貨・財政への信認が揺らいでいる見方が増えたと言えます。
そこに来てトランプ政権が自国通貨や財政の信認の毀損を誘発するような政策が矢継ぎ早に発出したことで、その流れがいったんは加速したかに見えます。
言えること
今後のトランプ政権の政策動向は読めませんが、「米財政赤字は悪化の一途をたどっていることから、いつかはわからないもののいずれは米ドルの信認や債務膨張が問題視されるシナリオを考えると、「金は既存通貨の代替として、リスク分散に有効な対象」と言えるとは思います。
連邦政府債務は36兆ドルで、利払い負担は年1兆ドルと国防予算(約9,000億ドル)を上回り、米財務省は「持続不可能」と表現。
大航海時代以降に新大陸から銀が大量に欧州に流入して銀貨の価値が暴落した歴史が示唆するように、通貨も供給量が増えすぎれば価値が下がる(=インフレ)シナリオはやはり頭の中に持っておきたいところではあります。
今までかような状態になった国は、主に①戦争・②インフレ・③革命のいずれかに解決を求めたわけですが、米民主党政権は①に求める傾向にあり、米共和党政権は今般関税に求めた、という見方はできようかと思います。
まとめ
以下のようにまとめられます。
- 2022年頃から金の構造的な価格上昇に着目、今般トランプ政権による政策によって本格的に(一時的な可能性もあるが)現実となった格好
- 一方、2025年4月時点で金価格はすでに歴史的な上昇率を記録
- 金は既存通貨の代替としてリスク分散の対象として引き続き有効と考える
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