セミリタイアをめざす運用と仕事のモチベーションを維持するには。
セミリタイアをめざす際の
- 資産運用
- 仕事のモチベーションをどう維持するのか
というご質問をいただいています。
題名: セミリタイアへの道筋について
メッセージ本文:
三菱サラリーマンさん
こんにちは。
投資についてはもちろん、「この考え方素敵だな」と誠に勝手ながらいつも参考にさせていただいています。
本日は、セミリタイアを達成するにあたって
① 想定している資産、投資額に対する考えの深さ
② 仕事のモチベーションを高めるための考え方。
についてご教示いただければと思いメッセージを送らせていただきました。
前提、こういったことは答えがなく自分で考えるべきであることは重々承知しておりますが、より考えを深化させるためアドバイスをいただけますと幸いでございます。
現在の私の現状と相談内容の詳細を記載いたします。
【現状】
現在24歳の会社員で、31歳までにセミリタイアをしたいと考えております。
総資産は約1000万円で下記の通り保有しております。
約400万円を米国株ETF(SPYD,VYM,HDV,QYLD)
約50万円を積立NISA「sp500とeMAXIS Slim)
現金約550万円
加えて、2年後に約3000万円を得る予定です。
※色々な経緯で大きな金融資産を保有できることになりました。
※来年4月に結婚予定、両親は健在。
今後は資産の8割〜9割を米国株ETFもしく投資信託に入金予定。
(米国株ETFと投資信託の割合は、自身の価値観と相談しながら最適化を図ろうと思っています。)
【相談内容の詳細】
①について
投資金額の目標を6500万円(年間240〜250万円の配当を狙う)と考えているのですが、下記状況をふまえ妥当な数字と言えますでしょうか。
希望の居住地:自然に囲まれていて、かつ電車の駅が近くにある場所。大阪、兵庫、京都のいずれか。(当方が兵庫県出身のため。)
セミリタイア後の収入:株の配当+夫婦それぞれ週2,3日の労働収入or新たな収入源を作る
子供について:高校までは基本公立、大学も学力によりますが国公立で考えています。
他にも色んな条件を加味する必要があるかと思いますが、大枠でいうと上記のように考えています。
ちなみに、パートナーも私も特別お金のかかる趣味はなく、運動や料理、自転車で色んなところをウロウロする、みたいなことをよくしております。
(三菱サラリーマンさんの海辺で焼き鳥を食べることに幸せを感じるというブログ、共感の嵐でした。笑)
不確定な要素が多すぎて、「結局なんぼあったらいいんやろ。」と迷い続けております。
セミリタイアに必要なのはお金が1番ではない、ということも理解はしているのですがいかがでしょうか。
②について
仮に目標の投資金額を6500万円だとして、今後はやはり入金力に注力すべきだと考えております。
そのために仕事を精一杯するべきだとは思うのですが、「これって目標に近づいているのかな。」と迷うことが多いです。
というのも、私の思慮が浅く就活時の企業選びの軸を給料ではなく「人間として成長できるか」「自社のサービスに自信を持てるか」という観点で考えてしまっていました。
その点では非常に恵まれていて良い会社だなと思うのですが給与は平均的で、「頑張っても頑張らなくてもセミリタイアにはそんなに関係なくない?」と思ってしまいモチベーションを維持するのが難しいです。
社会人でありながら甘えてしまっていて「仕事のモチベーションを高める」というなんともありきたりな質問ではあるのですが、客観的な意見を下さりますと幸いです。
長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。
今後の人生の方向性をより明確にしようと勇気を出して質問いたしました。
ご返信くださいますと幸いです。
はい、海辺の焼き鳥はめちゃおすすめです(笑)
関西も適度に自然が豊かなところが多く、魅力的ですね。京都は水も綺麗ですよね。
運用に関して
6,500万円で年間240~250万円の税引き後配当をねらう場合、率にすると3.7%ですから、もう少し低く設定すると手堅さを見込めそうです。
税引き後3.7%を高配当ETF(記載されているVYM、HDV、SPYD、QYLD)でねらうことでQYLDの比重が大きくなると、やや懸念が残ります。
QYLDは平時の分配利回りは高いですが、弱気相場での動きが気になるところです。特殊なETFです(ご参考:【QYLD】NASDAQ100・カバード・コールETFとは。特徴とリスク。)
QYLDは軽めにして、主力は既存のVYMなどとし、それなりの分配を受け取っていく形もひとつと思います。もちろんsp500を主力とするのもひとつです。
仕事のモチベーション維持に関して
>就活時の企業選びの軸を給料ではなく「人間として成長できるか」「自社のサービスに自信を持てるか」という観点で考えてしまっていました。
仕事を「経済的な自立を達成するための手段」として求めるならば、確かに給料で企業を選ぶのは合理的です。
とはいえそれどころか、たいへん立派な観点で就職先をお選びになっているように見受けられます。経済合理性のみでは仕事は測れない部分がやはりあるからです。
「やりがい」「充実感」「人として勉強できる」など仕事に見いだせる意義は人によって様々あるでしょう。
>非常に恵まれていて良い会社だなと思うのですが給与は平均的で、「頑張っても頑張らなくてもセミリタイアにはそんなに関係なくない?」と思ってしまいモチベーションを維持するのが難しいです。
たしかに日本の雇用体系では、頑張っても頑張らなくても給与の差がほぼ生じない会社が多くを占めると思います。
ただ、仕事に努めるか否かで、給与以外の面では大きな差が生じると思います。以下2つの観点でみてみましょう。
「義」の観点
まず「義」の観点からは、仕事というのはなんらかの形でだれかの役に立っていることが多いですね。
心を込めて仕事をすれば、やはりだれかが見てくれていたり、相手がよろこんでくれたり(サービス供与先のエンドユーザーが遠かったり間に会社が入っていると、よろこんでいるかは見えてこないことも多いのですが)するものです。
そして公共サービスやレストランでの給仕・料理、登山道の整備などあらゆるサービスによって私たちの生活が支えられています。であるからには、社会の構成員であるひとりの人間が、その社会的な役割の一翼を担うのはひとつの義を通すことになると思います。
上に述べた観点から、やるからにはちゃんとやるだけの意義は確実にあると思います。
ちなみに、「義を通す」美徳や高潔性は、映画「海賊と呼ばれた男」「燃えよ剣」を見ると感じられると思います。
実利的な観点
義で動く(=大義や道義的な責務を感じるから動く)人もいれば、利で動く(=自分に益するから動く)人もいて、その両方で動く人もいますね。
義だけで自分のモチベーションが上がらない場合は、自ら利に訴える(=仕事に努めることが、どう自分を益するのかを考える)のもひとつです。
では「利」の観点とはなんでしょうか。もうすこし実利的な観点を述べてみます。
プレゼンも、会議の司会者も、飲み会の下働きさえも、場数を踏んではじめて見えてくることがあります。これはあらゆることに言えるでしょう。
たとえば、今の勤め先はなんらかの業界の属していると思います。業界のことを深く知るには、やはり一定程度の時間と熱量をかけてはじめて見えてくるものもあります。
1つの対象を深く知れば、ほかの対象と比較する際も、深い比較・分析もしやすいということです。
業界にかぎらず、社風の比較、はたらきかたの比較、サラリーマンとフリーランスの比較など、対象を深く知ることはあらゆる観点で物事を考える際に必ずといってよいほど活きてきます。
1つのことを深く掘り下げると、根幹的なことを把握しやすくなり、ほかに応用しやすくなります。手駒がどんどん増えていくような感じです。これら体験は、当人の独自性・独創性を結果的に高めることになります。その後の人生に益すると思います。人生を重ねるごとに円熟味が増す要素にもなるのではないでしょうか。
給与のみに着目せず、「人生全体に益する」と考えて現在の仕事のモチベーションを高めてみるのはいかがでしょうか。これならば、実利的でモチベーションも高めやすいかもしれません。もちろん、精神的に無理のない範囲でですが。
蛇足ながら、セミリタイアを達成された後は、自分なりにどう地域や社会・周囲の役に立っていくかもゆっくり考えていくと、結果的に豊かな精神・経済状態でよりいっそう充実した生活を送れると思います。ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone.
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これも根っこでつながるところは同じだと思います。ある程度までやらないと見えてこないことがありますね。
先人が人生で学んだことから学ばせていただくことも、ヒントになると思います。
投資も経験しては学び、そして自分なりのスタイルを確立するのもひとつですね。