グロース株とバリュー株、比較してわかる2つのポイント
株式投資で認識しておきたいことがありますね。それは、過去の傾向として、グロース株とバリュー株の優劣は、循環してきたということです。市場にも栄枯盛衰がありますね。
- グロース株とバリュー株、それぞれ強い時期・弱い時期が過去みられてきた
- トレンドに乗ってリターンの最大化をねらうか、あるいは両方持って平準化されたポートフォリオにするか
グロース株・バリュー株とは
そもそもグロース株・バリュー株の一般的な語義は、以下の通りです。
- グロース株
企業の成長性や将来性に特徴的であり、業績の伸びが期待できる銘柄。「成長株」とも。最近でいえば、GAFAM・Saas・半導体など。 - バリュー株
株価が割安と期待できる銘柄。PERやPBRが市場平均より低いことなどが要素の1つとされる。割安株とも。
代表的なETFで挙げるならば以下です。
QQQ:グロース株で構成されやすい
VYM:バリュー株で構成されやすい
大衆心理・投資行動
データは後述しますが、近年はグロース株優勢となってきました。
こういった時によく見られる見解として、以下のようなものがあります。
- 「バリュー株よりグロース株」または「グロース株よりバリュー株」の方が優れている
一貫してどちらかが優れているのではなく、時期によって変わるということですね。高配当株も同様です。
大型グロース株・大型バリュー株を比較
過去の傾向を確認してみましょう。
下図はセントルイス連銀のデータに筆者が加筆した「米国大型グロース株指数÷米国大型バリュー株指数」の値を示したものです。(期間:1980年~)

Federal Reserve Bank of St. Louis: Wilshire US Large-Cap Growth/Value Total Market Index
赤色で示した棒線が「米国大型グロース株指数÷米国大型バリュー株指数=1」を示します。
つまり、以下整理が可能です。
- 赤線よりグラフが上の期間
→ 大型グロース株優勢 - 赤線よりグラフが下の期間
→ 大型バリュー株優勢
もう一度みてみましょう。
- 1980~2000年:交互に循環
- 2000~2001年:グロース優位
- 2001~2018年:バリュー優位
- 2018~2021年:グロース優位
VYMがVTIにトータルリターンが劣後しはじめた時期が、ちょうど2018年です。仮にまたバリュー優位のトレンドが来た場合には、VYMとVTIのトータルリターンが拮抗するかもしれないですね。
世の中には時流・トレンドが存在し、「特定のセクター・特定の投資対象が優位な時期もあれば、劣位となる時期もある」ということです。
グロース株・バリュー株を比較(過去リターン、15年間)
次に、大型ではなく全体として比較してみましょう。
以下ETFを比較します。
- 【VTV】バンガード・米国バリューETF(349銘柄)
- 【VUG】バンガード・米国グロースETF(257銘柄)
- 2000年代後半:バリュー優位
- 2010年代以降:グロース優位
時流に乗って投資対象を変遷するか
特定のセクター・投資対象の優劣が循環してきたことは、定期的に強調してきた部分でもあります。ゆえに、あくまで中立的に見ておくことが肝要と思います。
対策として、長期的に心地よく続けるには、グロース株・バリュー株を両方ポートフォリオに加えておくこともひとつですね。一方、どちらかに偏重型は、期間別トレンドに乗ってリターンの最大化をめざす際には適切な手法にはなります。
まとめ
要点を再掲しておきます。
大型グロース株・大型バリュー株の比較
- 1980~2000年:交互に循環
- 2000~2001年:グロース優位
- 2001~2018年:バリュー優位
- 2018~2021年:グロース優位
グロース株・バリュー株の比較
- 2000年代後半:バリュー優位
- 2010年代以降:グロース優位
これらの平準化を一定程度は実現しているのが、インデックス投資でもありますね。
流行りの銘柄に飛びつくことは、短期的にはパフォーマンスを押し上げる可能性もありつつ、タイミングを逃すとその逆回転も然り。いずれにしてもタイミングに左右されます。
最終的には以下、留意しておくとよいのではないでしょうか。
- グロース株とバリュー株、それぞれ強い時期・弱い時期が過去みられてきた
- トレンドに乗ってリターンの最大化をめざすのか、あるいは両方持ってバランスの取れたポートフォリオにするのか
グロース・バリュー、どちらかに偏らずにポートフォリオを構築しておくと、どちらが優位な時期でも平準化されたポートフォリオにはなりやすいでしょう。
いずれにしても投資は継続していくことで、経験が蓄積されます。そして、リターンも平準化されてきた事実があります。
心理面にも配慮しつつ、継続することが肝要と思います。
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コロナショックで顕著な変化が見られたのは、ハイテク株でした。
バリュー株・グロース株と同様に、セクターにも盛衰が見られてきました。
あくまでどんな投資対象についても、中立的な観点を持っておきたいところです。