株式投資における王道として、「長期・つみたて・分散」があります。
短期トレードではなく長期投資が王道です。その理由として客観的な過去データを以下ご紹介します。
つい目先の相場に振り回されがちですが、長期的に何かに取り組む際には、ある程度「過去の傾向や特徴」があった方が、取り組む確度・継続性が上がると思います。
株式投資の基本は、長期・積立・分散。その長期投資のメリットとは。
長期投資のメリットは端的に、過去の傾向として以下2つあります(過去の傾向は将来を保証するものではありません)。
- 投資期間が長いほど、リターンが安定しやすい
- 投資期間が長いほど、複利効果を享受できる
長期投資のメリット①:投資期間が長いほど、リターンが安定しやすい
株式投資は基本的に、FXのように限られたパイを奪い合うゼロサムゲームではなく、全体のパイが増えていくプラスサムゲームであってきました。
株式投資は、市場参加者全員の損益合計が年を経るごとに増してきました。
長期投資は、このメリットを享受することが期待できます。
【日本株】投資期間20年以上で元本割れしなかったケース
例えば、下表は「1966年~2005年における東証1部上場の時価総額による加重平均収益率」のブレ幅を表しています。
要すれば、投資期間ごとに「リターンが最も良かった年のリターン」と「リターンが最も悪かった年のリターン」のブレ幅を示しています。
1年間だけ投資した場合、年によっては+72.1%のリターンを得られる年もあれば、-24.8%となる年もありました。
ところが投資期間が20年になると、1年あたりのリターンは年によっては+20.5%、リターンが最も悪くなる投資時期であっても+4.4%とプラス。1966〜2005年においては、どの年であっても元本割れするケースがなくなりました。
下表の通り、投資期間が長くなればなるほど、最低リターンと最高リターンのブレ幅も収れんしていき、リターン幅が安定していきます。
投資期間 | 最低リターン | 最高リターン |
1年 | -24.8% | +72.1% |
5年 | -7.3% | +32.9% |
10年 | -3.5% | +22.8% |
20年 | +4.4% | +20.5% |
30年 | +6.8% | +12.8% |
【米国株】投資期間15年以上で元本割れしなかったケース
下図は1988~2016年における、投資期間別の米国株(S&P500)の年率リターンのブレ幅です。
米国株においても、日本株と同様に投資期間を長くとればとるほど、リターンのちらばりが収れんしていきます。
そして、1988〜2016年において、投資期間が15年を超えると最低ケースのリターンでも+1.7%となり、元本割れするケースが消失しました。
投資期間 | 最低リターン | 最高リターン |
1年 | -48.7% | +60.7% |
5年 | -8.6% | +29.2% |
10年 | -3.6% | +19.0% |
15年 | +1.7% | +11.3% |
長期投資のメリット②:複利効果を享受できる
例えば、1,000,000円を年利5%で複利運用すると、20年後に2,653,298円、約2.65倍になります。
一方、単利運用では 2,000,000円となり、その差は 653,298円(=元本に対する比率は65%)です。
この試算では元本が100万円ですが、元本が大きければ大きい程、複利効果は更に増大していきます。
単利 | 複利 | 差額 | |
0 年後 | 1,000,000 | 1,000,000 | 0 |
1 年後 | 1,050,000 | 1,050,000 | 0 |
2 年後 | 1,100,000 | 1,102,500 | 2,500 |
3 年後 | 1,150,000 | 1,157,625 | 7,625 |
4 年後 | 1,200,000 | 1,215,506 | 15,506 |
5 年後 | 1,250,000 | 1,276,282 | 26,282 |
6 年後 | 1,300,000 | 1,340,096 | 40,096 |
7 年後 | 1,350,000 | 1,407,100 | 57,100 |
8 年後 | 1,400,000 | 1,477,455 | 77,455 |
9 年後 | 1,450,000 | 1,551,328 | 101,328 |
10 年後 | 1,500,000 | 1,628,895 | 128,895 |
11 年後 | 1,550,000 | 1,710,339 | 160,339 |
12 年後 | 1,600,000 | 1,795,856 | 195,856 |
13 年後 | 1,650,000 | 1,885,649 | 235,649 |
14 年後 | 1,700,000 | 1,979,932 | 279,932 |
15 年後 | 1,750,000 | 2,078,928 | 328,928 |
16 年後 | 1,800,000 | 2,182,875 | 382,875 |
17 年後 | 1,850,000 | 2,292,018 | 442,018 |
18 年後 | 1,900,000 | 2,406,619 | 506,619 |
19 年後 | 1,950,000 | 2,526,950 | 576,950 |
20 年後 | 2,000,000 | 2,653,298 | 653,298 |
長期投資のメリットまとめ
長期投資で期待できる2つのメリットを、以下再掲します。
- 投資期間が長いほど、リターンが安定しやすい
- 投資期間が長いほど、複利効果を享受できる
短期売買ではどうしてもタイミング投資となったり、ややもすると運の要素が強くなりがちです。
一方、長期投資では過去長期データからリターンも安定し、プラスサムゲーム・複利効果を期待できます。
天才的なトレーダーなら別ですが、投資初心者や一般的な個人投資家にとって1番安定的なリターンが期待できるのは、やはり長期投資と思います。
そのためには、日々の値動きに過度に一喜一憂しないことも肝要ですし、このような過去の傾向を脳内に据えて置き、長期で分散投資・積立投資によって投資収益の獲得をめざすことは一案と思います。
もちろん、これらデータは過去のものであり将来を規定するものではありませんので、その点をご承知おきください。
Best wishes to everyone!
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株価には過度に一喜一憂する必要はなく、泰然と構えていたいところですね。
おすすめの資産運用、一例です。投資のキホンは「長期・積立・分散」と思います。
長期投資に暴落はつきものです。メンタル面にも配慮しておきたいですね。