【米国株】投資を始めるタイミングは、「今」でよい理由
米国株(ETF)を始めるタイミングとして、以下①・②のどちらが良いかというご質問がありましたので回答申し上げます。
- 「近いうちに下落が懸念されるので下落を待ってから始める」
- 「思い立ったが吉日、今始める」
結論的には、私でしたら今すぐ始めます。
なぜなら、いつ下落するかは誰にもわからないからです。
ただ、精神面を踏まえると、いきなり余裕資金を全て注ぎ込むことは避け、定期積立が広くおすすめできる手法です。そして、何よりつみたてで大事なのは継続することです。下段に本論を詳述します。
以下ご質問文です。
はじめまして。当方米州在住のマウスと申します。
お忙しい中恐縮なのですが、ご意見頂きたく、失礼ながらご連絡させて頂きました。
私は日本では1度だけ株を買っただけで、全くの初心者です。ですので、とりあえずETFから始めるべきかと考えておりますが、「これから近いうちに値が下がるよ」との書き込みも多く見受けられます。
下がるのを待って始めようと思っていたのですが、「思い立ったらすぐ始めるべきだ」との意見を目にしました。
米国株/株式投資(資産運用)を今始めるべきでしょうか?それとも下がるのを待って始めるべきでしょうか?
当方はトランプ在任中は、このままの高値を維持するような気もしています。お返事頂けると幸いです。スルーしてくださっても結構です。
状況としましては、現在は貯蓄を全て2.75%のネット銀行に入れております。当方は35歳で小学生の子供がいます。失礼致します。
ポイント① 「マーケットの動きは読めない」という、”あきらめ”を持つ
2019年時点では、確かに米国の景気拡大は長期にわたり、さすがに私も今年か来年にはリセッション入りという懸念を持ち、投資を続けています。
しかしポイントは、「リセッションがいつ来るのか、そして株式市場がいつ調整するのかは誰にもわかり得ない」ということです。
これが「米国株投資を始めるタイミングを見計らうよりも、今すぐ始めるべき」と冒頭で述べた理由です。
投資を始める方がまず意識してもよいのは、「マーケットの動きを正確に読み切ることは非常に困難(というか無理)」という前提に立って投資をすることです。
世界三大投資家でも、マーケットを読み切れない
例えば世界三大投資家の1人にジム・ロジャーズという方がいます。彼は1973年にジョージ・ソロスと共に10年間で3,365%(同時期のダウ平均は20%)という驚異的なリターンを得たクォンタム・ファンドを立ち上げた人物です。
彼は2016年3月に「米国は100%の確率で1年以内にリセッション入り」と言明。2019年時点の結果は以下の通り。
結果は、S&P500は最高値を更新。このように、予想に基づいて当時売却していると大きな機会損失を被ります。
タイミングを計るのは、あくまで玄人向けであり、一般的には定期つみたてを私なら勧めます。そして実際に私が行ってきた手法も、以下のとおり、定期つみたてです。
明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付にまわす単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投下資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで。
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) May 24, 2017
確かに株式市場の現状や先行きを示唆する指標は、以下のように種々あります。
- Fear and Greed Index
- バフェット指数
- 逆イールド化
- 景気サイクル
- 200日移動平均線
しかしこれらはあくまでセンチメントや過去データをもとに、「傾向を分析する帰納的な手法の一環」であって、未来の株価を正確に見通せるものではないことに留意しておきましょう。
ポイント② では、マーケットの動きが読めない中、どのように投資を続けていくか
未来を見通す水晶玉は存在せず、マーケットの動きは分からないものです。
さらに、S&P500が長期的に右肩上がりを描いてきたとはいえ、投資を始めるにあたって1度に余裕資金を全て投じるのは、合理的な面はあるものの、投資になじみのない方の精神面を考えると、積極的にはおすすめできません。
ご自身のリスク許容度を把握していない中で、そのリスク許容度を超えがちになるからです。
株式市場はボラティリティが高く、値動きも激しくなりがちです。
リーマンショック時に至っては半値になる銘柄も多数でしたから、そのような局面で狼狽売りに走らないようなポートフォリオをデザインする必要があります。
具体的には、一度に資金を投じずに、例えば余裕資金が1,000万円で、毎月の給与から投資にまわせる額が10万円の場合には、今から2年ほどかけて毎月50万円ずつ株式を積み立てることでリスクの平準化を図ることが一案です。(具体的な期間年数・金額は目安・一例)
とにかく自分のリスク許容度を測るべく、一定の資金をまず入れてみることです。そして半値になることも覚悟しながら、日々の値動きを感じながら、感覚をつかんで慣らしていきましょう。
そして2年経った後も継続して毎月10万円を投じることで定期的な積立を図り、毎月の配当収入を増やしていく算段とするのも一案です。
くれぐれも焦燥に駆られて売買判断を行わないことです。基本的に以下で紹介しているようなETFは焦って売るような類のものではないでしょう。
まとめ
以上、米国株投資を始めるタイミングとしては、私が初心者の方におすすめできるのは「下落局面を待たずに今すぐ始め、余裕資金の一部を定期的に積み立てて行く」方針です。
マーケットは読めないという前提に立ち、愚直に継続していくことが肝要です。
実際に投資する商品としておすすめできるのはETFであり、初心者の方でも出来るETFの投資スキームは以下に詳述していますので、ご参考に供します。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
ETFの自動つみたてサービスが、SBI証券にあります。これは投資になじみのない方でも、投資のしくみとして利用しやすいですね。
米国株投資を始めるタイミングについて、コロナショックの時期に別のご質問にお答えしたものです。
理論と実践、この両者はバランスよく意識したいところです。理論だけで語れないのが、株式投資でもありますね。