【支出の最適化】ドル建て終身保険は契約する必要があるか、その考え方

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ドル建て終身保険を契約する必要性はあるか

資産形成におけるポイントとして、以下2点挙げられます。

  1. 運用利回りは外部環境に影響されるため、自身でコントロールしづらい
  2. 対して、支出の最適化は努力次第・リテラシー次第でいかようにでもコントロール可能

ゆえに、②がもたらす効果はやればやるだけ確実に生じます。

拙著「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」でご紹介した、私の支出最適化15選のうち「保険には入らない」というものがありました。

では、生保・損保のうち、ドル建て終身保険はどうでしょうか。やはり「保険は運用益を求めるものではなく、あくまで保障を求めるもの。運用は株式で」というのが基本的な考え方です。今回のご質問への回答としても大前提になります。

ご質問

以下はいただいたご質問です。

ご質問

こんばんは!毎日ブログを楽しみに拝見させて頂いてるやまだと申します。

本日はやまだ家の大きな一歩を踏み出す前に三菱様のアドバイスを頂きたく思い切って質問致しました。まずは現状です。

収入状況

私31歳 妻31歳の子なしで共働きです。
幸運なことに2人とも年収800を超えました。

家は賃貸で毎月10万支払っておりますが勤務先から近くて便利なので家を買う予定はまだありません。

また、いずれ子供は欲しいと考えております。

貯蓄状況

預金800万
持株190万
ドル建て終身保険積み立て300万
→10年積み立てで年110万くらいで3年目がもうすぐ終わります。

投資タイミングと拠出金について

来年6月には現金貯金1000万超えるのでこれを安全資産として7月以降は私の残る給料全て投資に回したく考えております。

給料から家賃、ドル建て、公共料金、携帯料金と全て引いて11万くらいは毎月投資に充てられボーナスを含むと年200万くらいは投資に充てられます。

妻の余剰分は積み立てニーサ以外全て現金貯金を考えています。

投資についてご相談

投資を始める前に水瀬さんのインデックス本、広瀬さんのマーケットハック流、シーゲル教授の赤本と毎日米国株ブログも多数拝見し米国企業の未来に投資をしたく考えております。

つみたてNISA

楽天証券でカードも作って夫婦で満額積み立てようと思います!楽天VTIもしくはemaxis米国に集中しようか全世界に分散した方が良いか迷ってます。
>(穂高)米国の成長に賭けるなら全米株式、世界はリスク分散するなら全世界株式

ドル建て終身保険

このまま残り6年積み立てても良いのですが途中で払済にして60歳まで寝かせてその分を株やETFの投資資金に充てるか迷っております。外資系の保険会社で予定利率は3.7%と聞いてますが証券のシミュレーションみると年2.3%の試算になってます。。。

つみたてNISAを引いた残り毎月約7万とボーナス100万の運用について

こちら一番悩んでますが米国ETFのどれかを考えています。個別株は素人なので手を出さないつもりです。

>(穂高)VTI / VOO / VYM / HDV  など

一つ不安な点はドル建て終身保険もドル運用で米国ETFでもドル運用すると日本円とドルの資産が半々、もしくは逆転する事です。

ですが、私の目指す投資は三菱さんのようにインカムメインで配当金を増やして55歳でリタイアしたいと思っております。

余談になりますが日本株は不祥事や業績悪化で減配と株主に優しくないのと人口減も含めて投資する気は今のところございません。

まとまりのない文章で長くなりましたがご指導のほど何卒よろしくお願い致します。

ご質問ありがとうございます。

つみたてNISAとNISA以外の運用(米国ETF)については回答を質問文中に青字で挿入しました。詳細は以下2記事をご覧頂ければと思います。

関連記事:

ドル建て終身保険の必要性はいかに

では以下ドル建て終身保険の要否について詳述します。

まず、金融商品はシンプルで良いと思います。

なぜかと言うと、シンプルなものを複雑にして、その複雑にする過程で間に業者・会社が入ると、一番好ましくない影響を受けるのは往々にしてエンドユーザーです。

本来必要でなかった工程・需要を生むと、業者や金融機関にとっては合理的ですが、その負担はエンドユーザーに転嫁されやすくなります。

商品が複雑になると、上述した「本来不要であった供給サイド(商品提供側)のコストを需要サイド(消費者)が負担する」という実態が見えにくくなってしまいます。

複雑化して「どんなものに、誰が、いつ、どう投資して、どんな運用がなされているのか」これらが総体的に見えにくい商品はなるべく避けた方がよいというのが個人的な考えです。

今は個人でETFに投資できますから、間に金融機関を挟まずとも、ネット証券会社だけを介して取引できる良い環境に恵まれています。これは活かしたいところですね。

ドル建て保険のポイント

では、以上踏まえた上でドル建て保険について2つポイントがあります。

ポイント
  1. インフレを加味しているか
  2. リスクフリーレートの説明はあるか

まず米ドル建ては円建てより見かけの利率が高く見えます。ドルだからです。

どういうことかというと、ゼロ金利ではない米ドルとは対照的に日本がゼロ金利政策(またはそれに近しい政策)を採って以降、恒常的に米ドルの金利の方が日本円より高くなっています。(2020年3月以降は、FRBも同政策)

米国債の利回りも日本より高いです。国債の利回りはリスクフリーレートと呼ばれるぐらい財政破綻等がない限りは無価値リスクは高くないとされます。

例えば米国債の利回りが3%ならば、間に金融機関が入って「ドル建て〇〇保険」と言って2.7%に予定利率を設定すれば、0.3%の利ざやが確保できます。実際に日本の企業でも円建てで同様のことをしているところもあります。

以上からドル建てだと利率が高く見えるのは当たり前ということですね。

もう1つ。問題はその商品にインフレリスクが説いてあるのかということですね。説いてなければ直接的な表現になってしまい恐縮ですが、ユーザーフレンドリーではないと考えられます。

予定利率が3%でもインフレ率も3%なら、理論上そのぶん減価してしまいます。

以上述べてきた通り、金融機関が間に挟まることで、品を変え形を変え、様々な方法でマージンが抜かれるリスクがあります。

シンプルにETFを使って投資するとよいと思います。

シンプルであれば商業的な意図が過度に介在する余地を少なくしやすくなります。

まとめ

以上から、個人的には収益性を目的とした場合、ドル建ての保険は積極的におすすめする意義は見いだしづらいと考えます。

運用と保障は分けて考えることが一案です。資産運用は株式で、保障(=貯蓄性保険を除く)を求めるなら保険で、ということですね。

家庭の事情でケースバイケースながら、私は生命保険自体に入るつもりはなく、シンプルに自分で運用するのが一番と考えます。

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Best wishes to everyone!

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公開日:2019年2月28日