三菱商事(8058)の株価、テクニカルと過去PER・PBRから現状を確認
三菱商事(8058)の株価について、以下2つの視点で最新の状況を確認します。
- テクニカル(日足、週足)
- 過去PER・PBRレンジ(おさらい)
日足
今週は週初と比べて日経平均株価が1,000円近く下げるなか、商事はなんと陽線4つ(上図ご覧の通り、今まで陰線がいかに多かったか)。しかもほぼすべて下ヒゲをつけた下影陽線です。これは売り方の勢いが当初優勢であったものの買い方の強い抵抗があり、最終的に買い方の優勢で終わったことを意味します。
そして、さすがに上値切り上げとまではいかなかったものの下値を切り下げることなく、短中期MAは上向きを維持しています。
日本株全体の大勢と比べれば堅調な推移であり、バフェット氏買い増し意欲報道以降に好転した需給やテクニカルを順当に反映した動きとも見えます。
下段の週足と同様に、次の焦点は前週高値2,604円を超えていけるか、そして長期MAと上値抵抗線を割り込まずに推移できるかに注目します。
また、三角保ちあいが形成されつつありますから、上下どちらに抜けるかも焦点です。
ストキャスの観点からは70以下ということで、先週2,600円を付けた時ほどの過熱感は確認できません。
週足
週を終え、週足が完成しました。今週は日経平均株価、TOPIXともに陰線で引けたわけですが、商事は陽線です。それも上ヒゲの長い上影陽線ではなく、上ヒゲと下ヒゲが同程度の「コマ」ですから、「市場平均より底堅かった」と表現して差し支えない動きと言えます。
中期MAはまだですが、短期MAが上向きに転じてきました。引き続き上値抵抗線を超えて推移していますし、来週中期MAを超えて先週高値2,604円付近を超えられるか注目します。
一方、先日の記事の通り傾向としては上ヒゲの長い上影陰線が出現すると翌週は週間で下がることが多かったわけですが、それを覆しての陽線引けとなりました。
PER・PBRレンジの観点:下落めど1,900~2,500円程度
なお、おさらいとして、バフェット効果切れを考慮したPER・PBRレンジの観点から見た下落余地は、以下のように整理することは可能です。
今後の変数を除いて過去に依拠した机上の計算で、かつPERレンジがバフェット効果前の上限までの下落にとどまるという前提条件を付した場合、株価の下落めどは2,500円~1,900円程度という結論が導出されました。
三菱商事(8058)の過去PER・PBRレンジから株価下落余地を探る 三菱商事の株価は軟調が続いています。 有名投資家ウォー...
まとめ
以下のようにまとめられます。
- 週足:テクニカル的には上影陰線の翌週となる今週は弱い動きが意識されやすかったものの、日経平均、TOPIXが陰線で引けるなか商事は陽線と市場平均に比べて堅調な推移。
- 日足:陽線4本ながら先週2,600円付近を付けた時ほどの過熱感はみられず、前週高値2,604円を超えていけるか注目。三角保ちあいが形成されつつあり、上下どちらに抜けるか焦点
- バフェット効果切れを考慮したPER・PBRレンジから機械的に算出される下値めどは「1,900~2,500円」という値に着地
久しぶりに週間で市場平均より底堅い推移をみせました。加えて、陰線続きの日足でしたが陽線が増えてきました。バフェット氏買い増し意欲報道後に好転したテクニカル・需給を素直に反映したような動きかに見えます。
以下日本株全体のおさらいです。
- ファンダメンタルズの観点からは昨年と異なり予想EPSの上方修正の足どりが鈍い状況が続いています。昨年は市場予想より2ケタ%増の上方修正が通年で相次いでいましたが、今年は2月時点では予想対比でやや弱い状況
- 日経平均株価はレンジ下限を割り込んだため形としては弱くなりました。他方TOPIXはまだ下限を割っておらず上昇トレンド維持の望みは繋がれている状態
- アノマリーとしては彼岸底という格言があるように節分から3月20日頃にかけてはファンドの決算売りで需給が悪化しやすいとの見方も傾向としては認められます
なおテクニカル分析は、経済指標やイベント等による大きな流れが生じると効かなくなることもありますし、あくまで傾向として意識される可能性がある、といった位置づけと言えようかと思います。大前提として将来の株価はわかりません。
いわば「暗中模索、五里霧中という株式相場のなかで、暗闇をほのかに照らす懐中電灯にはなる可能性がある」といった塩梅。
一方、昨今はAIによる売買が隆盛を極めており、その売買判断にはテクニカルが用いられていると思われ、以前よりは有用性が高まっているのではないかと個人的には想像しています。ただし、いずれにしても特定の売買を推奨するものではありません。
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