日経平均株価はトレンドラインを割り込む、今後の展望
テクニカルの観点からは、日本株で変化が起きています。
先々週と一昨日の記事ですこし触れましたが、日経平均株価がトレンドラインを割り込みました。
週足チャート:レンジ下限を割り込む
下図は日経平均の週足です。
ご覧の通り、この半年ほどは概ね38,000円~40,000円のレンジで推移してきたわけですが、長期MAを割り込み、レンジ下限の節目となっていた38,000円を明確に割り込む動きとなりました。
ファンダメンタルズ的な背景としてはトランプ関税による世界景気の後退が懸念されているとされますが、日本企業の業績上方修正が昨年比で鈍いことも挙げられるかと思います。
先々週に高値を切り上げられなかったこと、加えて今週に入り下値を切り下げましたことで、下値を切り上げてきた上昇トレンドが崩れました。短中期MAも下向きに転じています。こうなってくると押し目買い目線から戻り売り目線に変える必要が以前より生じてくるかと思います。
レンジ相場を下抜けると、考え方をどう変えるか
基本的にトレンドラインを割りこむと、想定レンジを下げることがテクニカル的な定石にはなります。レンジを割り込んだことで「従前の下値支持線が上値抵抗線に変わる」という寸法ならば今後の想定レンジの上限を38,000円近傍とし、下限を直近安値の35,000円程度と見ることになります。
たとえばテクニカルに基づいた売買は実際どのようにするかと言えば、昨日は前日7,800円で買っていたソフトバンクグループを日経平均株価が38,000円に近づいたところである8,100円程度で利確しました。
要は「レンジ下限に向かって買い下がり、レンジ上限付近になったら売る」という行動がテクニカルに基づいた一案にはなってきます。
ちなみに、TOPIXはまだレンジ下限を割っておらず踏ん張っています。
上値を切り下げつつ下値は切り上げている「三角保ちあいの状態」となっており、上下どちらに抜けるかが重要な分水嶺となってきます。
昨今は米国株とくにナスダックが崩れていますから、半導体やハイテクなどで構成される日経平均株価がTOPIXに比べてナスダックに対する感応度が高いため、TOPIXに比べて日経平均が弱いといった構図を指摘できます。
したがって日本株全体に対してはまだそこまで弱気になる必要はないかと思いますが、日経平均の主力銘柄である半導体やハイテク、値がさ株についてはトレンドラインを割り込んだことを念頭に置いておく必要があるかと思います。
もっとも、以上はテクニカルの観点であって、仮にファンダメンタルズが著しい好転をみせる(例:トランプ関税をとりまく状況の大きな変化、企業業績の好転など)となれば、また考えを変える必要があります。
市場というものは常に水物で流動的ですから、時々刻々と変わっていくわけですね。それが難しい面でもあり、おもしろく探究できる部分でもあると思います。
なおテクニカル分析は、経済指標やイベント等による大きな流れが生じると効かなくなることもありますし、あくまで傾向として意識される可能性がある、といった位置づけと言えようかと思います。大前提として将来の株価はわかりません。
いわば「暗中模索、五里霧中という株式相場のなかで、暗闇をほのかに照らす懐中電灯にはなる可能性がある」といった塩梅。
一方、昨今はAIによる売買が隆盛を極めており、その売買判断にはテクニカルが用いられていると思われ、以前よりは有用性が高まっているのではないかと個人的には想像しています。ただし、いずれにしても特定の売買を推奨するものではありません。
関連記事
2月20日の記事の時点で日経平均は上値を切り下げました。