逆ピラミッディング用に用意する資金額は、いくらが適切か
株式市場が下落した際の対策として、「株価が下落するごとに資金投入額を増やして購入していく」という方法があります。
たとえば以下のような具合です。
下落幅 | 投入額 |
---|---|
10% | 100万円 |
20% | 200万円 |
30% | 300万円 |
S&P500の過去推移をもとに、シミュレーションしたものが以下記事です。
上の記事についてご質問をいただいています。
題名: 【ご質問】逆ピラミッディング対策_投下資本金額について
メッセージ本文:
いつも勉強させていただいております。小生、49歳の会社員です。
「S&P500の過去株価下落率と逆ピラミッディングのシミュレーション」の記事を大変興味深く拝読いたしました。
1点、疑問が湧いてしまいました。
下落率を想定し、投下資本の比率が記載されていましたが、どの程度の投下資本金額を準備しておけばよいのでしょうか?
年齢等々により大きく異なるかと存じますが、例えば1億円の金融資産があるとして、「7000万円(株式等のリスク資産)+2000万円(生活資金として預貯金)+1000万円(下落対策の投下資本金)」はどうでしょうか?
ご多忙のところ勝手な質問で恐縮ですが、穂高様のお考えをお聞かせいただければ幸いでございます。
「リスク資産、現金、下落用の資金」の配分における一般論
「①リスク資産、②現金、③下落用の資金」の配分に関して、一般論としては以下が要素になると思います。
- ほかにどの程度の収入があるか
- リスク許容度
株式以外の収入が多いほど現金は少なくてよくなりますし、下落時にも図太いメンタルがあれば現金は少なくてよいことになりますね(ただし、その前提として市場が成長し続けることが条件です。下落後に反発しなければ、現金は多い方がよかったことになるからですね)。
1億円の金融資産があるケース
ではご質問者さまの場合です。
年齢等々により大きく異なるかと存じますが、例えば1億円の金融資産があるとして、「7000万円(株式等のリスク資産)+2000万円(生活資金として預貯金)+1000万円(下落対策の投下資本金)」はどうでしょうか?
「7,000万円を平時から入れておき、下落用に1,000万円」というのは、今後の市場成長を楽観的に見ている場合はそのようなかたちと思います。
逆に言えば、「今後の米国株に対してリスク回避的または中立的なスタンスを取るのであれば、1億円の半分である5,000万円をリスク資産、3,000万円が下落用の資金が妥当な水準」のように私は感じられます。
ただし、「日々の生活に要するキャッシュフローが、リスク資産に7,000万円いれないと配当等で賄えない場合」は、上記引用部の水準と思います。
ただ言ってしまえば、リスク許容度や生活に必要なキャッシュフロー額などは個々人によって大きく異なるため、一番よいのは実際に暴落局面をご自身で体感することにはなってくるかと思います。
シミュレーションは平時からしておきたいですね。そして、実際に下落幅や暴落の背景、不透明感は毎々異なります。
実際に暴落を体感してはじめて、「リスクを取りすぎていたな」「もう少しリスクを取ろう」など感じるはずです。その感じを丁寧に聞きとって、次に活かしていくのがより根本的な方法にはなってくると思います。
たとえば、「リスク資産の額が増えれば、そのぶん複数の資産クラスに分散した方が心地よくなる」こともあります。そのような都度感じたことを運用方針に反映させていくのがひとつですね。
以上、よかったらご参考にしてみてください。
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冒頭のものを再掲しておきます。
株価と金融政策は一定の相関性はみられます。
直近の状況について、点検していました。