米連邦準備理事会(FRB)は2019年10月11日、短期金融市場の安定に向け以下通り資産購入を再開すると発表しました。
- 短期国債を月600億ドル購入
- 少なくとも来年の4~6月期まで続行
そこで、現在のFRBの金融政策とその影響を振り返っておきます。
FRB量的緩和再開・バランスシート再拡大で、米国株なお堅調続くか
まず大きな転換点として、FRBは2019年に入り利上げから一転、予防的な措置として利下げに踏み切りました。
パウエル議長は今回の資産購入再開につき、「大規模な資産買取策と混同してはならない」としつつも、短期証券を買い入れることには変わり有りません。
伴い、FRBの保有資産はバランスシートの再拡大が既に始まっています。
上図の通り、リーマンショック以降、非伝統的な金融政策として、FRBが大規模に国債や短期証券等を買い入れることで、特にQE3の2013年以降、FRBの保有資産は急増。S&P500も1,500近傍から2倍近くに。
FRBのデータによれば、FRB総資産は、2019年8月28日の3兆7,600億ドルを底に、直近10月時点で3兆9,458億ドルと増加に転じています。(上図右端ご参照)
FRBが保有国債を増やすと、S&P500も上昇という相関性
さて、そんな中、昨日のモーニングプラスで以下グラフが紹介されていました。
図中ピンクで囲まれた部分「QE1・QE2・QE3」はいずれもFRBの量的緩和(Quantitative Easing)の第一弾・第二弾・第三弾を指し、量的緩和政策により保有国債が増加した時期です。この保有国債が増加した時期にS&P500も上昇していることがわかります。
一方、水色で囲まれたFRB保有国債が減少した時期は、S&P500は対照的に軟調あるいは調整を挟んだ横ばい。
さて、目下どういう状況かといえば、冒頭で述べた通り、FRBは保有資産(バランスシート)を再拡大する状況であり、実際にFRBのバランスシートは足もと上昇に転じています。
となりますと、ISM製造業指数が2か月連続で節目の50を割れるなど一部経済指標に弱さが見られるものの、このグラフが示唆する通り、「FRBがバランスシート再拡大に動く限りまだまだ一段高となる」公算が大きそうに思えてきます。
個人的には大きく下落した際には、ARCCを買い入れたいところです。一方、買い増しはしつつもMMFも積み上げ。どちらに転んでも良いようにしています。
リセッションの訪れを警戒しつつ、一段高の可能性にも留意という形で、結局どちらに転んでもよいように投資方針を都度柔軟に対応、あるいは予め自動積立や機械的に積み立てるなどの設定をしておくことが良案になりそうです。
Best wishes to everyone!
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リセッションにおける投資戦略は予め想定しておいた方が、心理的な準備はできるものと思います。
高配当株ETFと言えども、暴落するときは暴落しますから、その点には予め留意しておきたいですね。
いずれにしても、どんな局面でも一定の有用性があるのは、配当金を定期的に得ておくことだと私は思っています。
コメント
初めまして!三菱サラリーマン様。
いつも株式投資の参考にさせて頂いています。意外と北海道に行かれたときのコラムも楽しみにしています。
最近、香港情勢が緊迫しているよう(日本にいるとそう見える)ですが香港ドルやHSBCなどの香港ドル発行企業への投資についての見解をお聞かせ願えませんでしょうか?
かく言う小生も、上記企業に投資していることもあり気になります。
以上、お手数かけますが、よろしくお願いします。
はじめまして。コメントありがとうございます。
北海道は素敵すぎますね(笑)
香港ドルは結局米ドルとのペッグ制に近く、私はそこまで今回の事象で香港株への投資方針を変える予定はありません。
もちろん情勢次第ですが、投資については特段の悲観的なことはありません。