このようなご質問を頂きましたので回答申し上げます。
また、ISM製造業指数が2ヶ月連続で50割れとなり、リセッションが意識される今、おさらいしておきましょう。
リセッション(景気後退局面)における投資戦略
まずリセッションと株安には一定の相関関係があります。過去3回のリセッションは全て株安も誘発しています。
下図は筆者集計の以下3つの要素の関係を1988年~2018年において示したものです。
- 米国長短金利差
- S&P500推移
- 景気後退期
上表が示す通り、赤枠で囲まれた期間である過去3回のリセッション局面において、いずれも株安が起こっていることがわかります。
また、ご参考までに下表に過去3回の米国景気後退期の期間を示します。
不況開始 | 不況終了 | 不況期間 (月数) |
直前の好況期間 (月数) |
1990年7月 | 1991年3月 | 8 | 92 |
2001年3月 | 2001年11月 | 8 | 120 |
2007年12月 | 2009年6月 | 18 | 73 |
ではこのように株安をも誘発するリセッションという景気後退期において、投資家はどのような対応をとれば良いでしょうか。
入金力の高い投資家とそうでない投資家で戦略は若干異なる
投資家と言っても様々であり、入金力の多寡によって対応方法は異なってくると私は考えています。
・本業の年収が高く入金力の高い人、リスク許容度が高い人、資産形成期の人
→ リスクを取ってリターンを得たい場合、現金比率にこだわる必要性は低下
・そうでない人、リスク許容度が低い人、保守性を重視する人、資産形成を終えて守るステージの人
→ 現金比率を高めるなど、追加投資余力をしっかり確保しておく
本業/副業からの入金が太い人
本業や副業で定常的に太い収入を確保できている人は、今まで通りその太い入金力で、せっせと株式市場に投下して株式を積み立てていく形がやはり一案です。
入金力が相応にあるならば、株価低迷時に買い増し余力が限られる懸念もあまりなく、日頃から株式を買い付けていくことで、市場成長の果実を着実に得ていく形です。
更に配当金収入もある程度に達していれば、リセッションにおける買い増し余資は配当金からも確保できます。
明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付にまわす単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投下資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで。
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) May 24, 2017
入金が太くない人、平均的な年収の人
入金力がそこまで高くない人、と言っては語弊あるやもしれませんが、平均的な収入の場合は、やはりリセッションの足音が徐々に近づいているような今のような時期は、市場にあまり肩入れせずとも良い時期と思います。
淡々と買いつつも、次の景気サイクルである景気後退に備えてポジションを大きく持ちすぎないようにしたいところです。
いくら市場が長期的に成長するからと言っても、やはり相場の天井で大きくポジションを持つことは、リターンを押し下げます。
市場低迷時に果敢な買い増しを狙い、種銭を増やしてセミリタイア時期の前倒しを狙うのも一案です。
ゆえに、リセッションを控えた局面であれば、現金比率をしっかり、例えば30%以上は確保した上で、積み立てを行うのも一案と思います。
いずれにしても、リセッションは景気サイクルの一環でしかない
いずれにしても、あまり焦らないことです。長期投資目線であれば、腰を据えてどっしり構え、市場とも淡々とお付き合いしていくことが肝要と思います。
私も経済学を学んできましたが、景気にはサイクルがあり、需要と供給のズレが長期にわたって生じないということはないでしょう。
つまり必ず、景気サイクルの中で山と谷があり、好況不況を繰り返しながら需要と供給のバランスが崩れては自律反発するものです。
終わらない好況はなく、終わらない不況もまた、ないというのが過去の傾向ではあります。長期投資とはこの大きな流れに身を委ねながらかじ取りをしていくことになります。
ですから、「終わらない好況はなく、終わらない不況もまたなし」との大局的な観点で以て、相場に臨みたいものですね。ただし、過去は未来を映すとはかぎりません。
どれだけリスクを取ってリターンを追求するのか、という命題に最終的には帰着します。
ご参考になれば幸いです。
Best wishes to everyone!