調整局面の投資シミュレーションは、地合いがよい時に練っておく
株の暴落は、「多くの人が予期せぬこと」が起きたときに起こります。
過去の傾向から事前に心づもりをしておくと、いざ暴落局面となっても、冷静に対処しやすいかと思います。
過去の傾向
「今までどれぐらい株価が下落してきたのか」を知るために、過去の傾向を確認してみましょう。
株価下落率(S&P500)
1947年以降の「米国の景気、S&P500」は、下表の通りです。
景気 | 株価 | |||
山 | 谷 | 天井 | 底 | 下落率 |
4Q 1948 | 4Q 1949 | 6/15/1948 | 6/13/1949 | -21% |
2Q 1953 | 2Q 1954 | 1/5/1953 | 9/14/1953 | -15% |
3Q 1957 | 2Q 1958 | 8/2/1956 | 10/22/1957 | -22% |
2Q 1960 | 1Q 1961 | 8/3/1959 | 10/25/1960 | -14% |
4Q 1969 | 4Q 1970 | 11/29/1968 | 5/26/1970 | -36% |
4Q 1973 | 1Q 1975 | 1/11/1973 | 10/3/1974 | -48% |
1Q 1980 | 3Q 1980 | 2/13/1980 | 3/27/1980 | -17% |
3Q 1981 | 4Q 1982 | 11/28/1980 | 8/12/1982 | -27% |
3Q 1990 | 1Q 1991 | 7/16/1990 | 10/11/1990 | -20% |
1Q 2001 | 4Q 2001 | 3/24/2000 | 10/9/2002 | -49% |
4Q 2007 | 2Q 2009 | 10/9/2007 | 3/9/2009 | -57% |
キューバ危機 | 12/12/1961 | 6/26/1962 | -28% | |
ブラックマンデー | 8/25/1987 | 12/4/1987 | -34% | |
コロナショック | 2/19/2020 | 3/23/2020 | -34% |
※キューバ危機・ブラックマンデー・コロナショック以外は、全てリセッション時期
これら下落率は平均して 約30% です。
株価下落率ごとの発生確率
次に、「株価下落率ごとの過去発生確率」は、下表の通りです。
下落率 | 発生確率 | 発生回数 |
~20% | 29% | 4回 / 14回 |
20~30% | 29% | 4回 / 14回 |
30~40% | 21% | 3回 / 14回 |
40~50% | 14% | 2回 / 14回 |
50~60% | 7% | 1回 / 14回 |
- 過去14回の平均下落率:30%
- 過去の暴落のうち、約6割は下落率30%以下
逆ピラミッディングのシミュレーション
では、過去を振り返ったところで、実際にシミュレーションしてみましょう。
逆ピラミッディングとは、「株価下落率が大きくなるのに応じて、投入する資本も多くする」という手法です。
① 20%までの下落を想定(過去発生確率:29%)
下落率 | 投下資本 | 元値回復時リターン |
10% | 30% | + 3% |
20% | 70% | + 17% |
- 下落率10%の時に資本30%投入の場合、元値に回復した時のリターンは、+3%
- 下落率10%の時に資本30%投入し、さらに下落率20%の時に資本70%投入の場合、元値に回復した時のリターンは、+17%
(以下3ケースも、同様です)
② 30%までの下落を想定(過去発生確率:29%)
下落率 | 投下資本 | 元値回復時リターン |
10% | 20% | + 2% |
20% | 30% | + 8% |
30% | 50% | + 23% |
③ 40%までの下落を想定(過去発生確率:21%)
下落率 | 投下資本 | 元値回復時リターン |
10% | 10% | + 1% |
20% | 20% | + 5% |
30% | 30% | + 14% |
40% | 40% | + 30% |
④ 50%までの下落を想定(過去発生確率:14%)
下落率 | 投下資本 | 元値回復時リターン |
10% | 10% | + 1% |
20% | 15% | + 4% |
30% | 15% | + 9% |
40% | 25% | + 19% |
50% | 35% | + 36% |
- つまり、(あくまで元値を回復する前提ですが)「大きく下げたほうが高いリターンが期待できる」ことが逆ピラミッディングの利点です。「ピンチはチャンスだ」と頭を切り替えやすくなる、とも言えます。
- 逆にデメリットは、想定以上に株価が下がると、底で買う資金が枯渇する可能性が高まること、が挙げられます。あくまで定期つみたても一案ですね。
理論と実践
以上、シミュレーションという理論的なことを記しました。
理論を実践できるかは、また別のお話でもあります。
人間には感情があり、実際には「さらに下がったらどうしよう」といった不安が生じて、実践できないこともあります。その点も、あらかじめ認識しておきたいですね。
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暴落局面では、継続性が試されることにもなります。
暴落を経験することは、経験値が1つ増えることにもなりますね。
「遠くで、さざ波来とるなぁ」という受け止め方もひとつです。