高揚感が漂う相場が続く中、ジャンク債は2007年以来の水準を記録
高揚感を感じやすい相場が続いています。
毎週のようにダウ平均株価・S&P500は最高値を更新。個人投資家の資産も最高値を更新できる相場が続いています。
こういう時は、往々にして投資家は高揚感を得やすく、資金をさらにリスク資産に投じたくなるものです。
暴落の回復期から日が浅ければ、警戒心が残っています。しかし、高値更新が継続する相場を一定期間経ると、いつしかその警戒心は鳴りを潜めます。
高値更新が続いている間に、警戒心はいつしか楽観に変わり、高揚へ。株式などのリスク資産はどんどん高値を更新していくため、「現金をどんどん株式に変えたい気持ち」が大きくなっていきます。
もちろんそれがビッグウェーブへ乗ることにつながればよいのですが、その成功がなまじ続くと、さらに警戒心は薄れ、フルポジに近いまま下落を迎えることに繋がりかねません。
ジャンク債利回りが2007年以来の水準を記録
若干、気になる指標も出始めてきました。
たとえば、2021年5月3日には、ジャンク債利回りが2.86%と2007年以来の最低水準を記録しました。

Bloomberg Barclays US Corporate High Yield Average
ジャンク債とは、格付けが低く、債務不履行リスクが高い債券のことを言います。信用リスクが低い分、利回りが高い傾向です。
そのジャンク債利回りが最低水準を記録するということは、投資家がリスク選好に傾いていることが示唆されます。
ジャンク債利回り3%は1つの目安
上図チャートを眺めると、ジャンク債利回りが3%近傍を境目として反発(=リスク回避・市場下落)していることがわかります。
ただし、ただちに反発するのかはもちろん不明であり、たとえば2017-2018年には、ジャンク債利回り3%程度の水準が1年継続し、株式市場は同期間に上昇を続けました。上昇余地は依然として考えられます。
なお金融政策に目を移せば、2020年から続く株高の因子である金融緩和の縮小時期が焦点です。
雇用統計の観点からはリーマンショック後の水準に達していないことからただちに縮小される公算は高くなさそうです。その一方、金融市場の過熱感を指摘するFRB理事も出始めるなど、その過熱感を金融正常化で対応となれば縮小が意識されるところです。
そのケースが現実化した場合、金利上昇に弱い銘柄の下落幅は相対的に大きくなることが想定されます。
リスク点検と現金比率
いずれにしても高揚感を得やすい現下のような相場で、リスク資産にポジションを傾けすぎることは、厳に慎んだ方がよいと考えています。
あくまで自身にとって心地よい現金比率を保ち、安全運転を心がけることが長期的な投資につながるものと思います。
もちろん、リスクを承知の上で資産を拡大させることに賭ける時期が必要だと感じる人もいます。そういう方は、リスクを客観的に認識した上で、上昇期待に賭けるということですね。
結局は「どこまでリスクを取ってリターンを狙いに行くか」という問題に帰着するため、当人の人生ステージ・状況等によって適切な現金比率は千差万別です。
そうではありながら、以下①・②は、たとえ同じ投資行動であっても、その後にまったく別の結果を招きかねません。
- 高揚感を得やすい相場であることを承知の上でリスクを取りに行くのか、
- 市場や周囲の雰囲気に流されて、自分の頭で考えないままに資金を市場に投じるのか、
ゆえに、あくまで現在の市場の状態を冷静に眺め、自身の心理状態とリスク許容度を客観視した上で、それでも承知の上でさらにリスクを取りに行くのかを考えるのがよいと思います。
Best wishes to everyone.
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