2010年代、米国株への長期投資が報われた10年だった

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1927年以降のデータ上、長期的には株式運用が債券より有利でした。

S&P指数・米10年債の累積投資のリターンはS&P500が年率5~6%に対し、債券は1%に留まったことから、長期的には株式100%のポートフォリオが過去合理的であってきました。

では、直近10年はどうでしょうか。直近10年もやはり、米国株式は良い投資対象であったと結論付けることができそうです。

2010年代、米国株への長期投資が報われた10年だった

米国経済は2019年7月、景気拡大の期間が121か月、10年と1か月となり、最長期間となりました。

全米経済研究所によれば、景気サイクルとして2008年9月のリーマンショックを経たのち、2009年7月から景気拡大局面入りしています。

景気拡大局面の最長期間は下表のとおり、1991年4月から2001年3月にかけての120か月だったわけですが、これを抜いて最長となりました。

不況開始 不況終了 不況期間
(月数)
直前の好況期間
(月数)
1990年7月 1991年3月 8 92
2001年3月 2001年11月 8 120
2007年12月 2009年6月 18 73

伴い、下図の通りS&P500は、10年間で約3倍と、良好も良好な恵まれた相場環境であってきたと言えます。

赤枠:景気後退局面

「減速すれども不況なし」はいつまで続くのか

リーマンショック以降、株価も右肩上がりが続き、ダウ平均株価は、8,500ドルから28,000ドルとこちらも3倍以上となりました。

つまり、この10年間のいずれかの期間から米国株に長期投資した投資家は程度の差はあれ、株価上昇を享受し、株式を保有するという一種のリスクを取った行動が報われた結果となりました。

過去は将来を決定づけるものでは勿論ありませんが、2019年7月には、日銀短観では2か月連続の景況感悪化が示された一方で、米国では好調な企業業績と個人消費に下支えされているのは対照的な事例でした。

同年7月には景気拡大期間が最長を更新しようとする中、FRB(連邦準備制度理事会)は利下げに転換する可能性を示唆しました。

「我々は、そうした状況(貿易交渉やその他の問題の不透明感)が米経済の見通しに与える影響を注意深く観察し、これまでと同様、力強い労働市場と上下対称的な2%の当局目標(FRBは2%を上回っている場合と同様に下回っていても2%の目標を達成する義務を負う)付近のインフレ率をと もなった景気拡大を維持するため、我々は適切な行動を取る」

とパウエル議長は述べ、この「適切な行動」という文言が、利下げの思惑を掻き立てました。

実際に、FOMC参加者のうち、3月には17人全員が「年内金利据え置き」か「利上げ」を予想していたわけですが、7月は、うち8人も「年内利下げ」予想に転じていました。そして2019年は合計3度の利下げをすることとなります。

  1. 低インフレ
  2. 低成長
  3. 低金利

これら3要素が混在する象徴的なのは日本でした。しかし、この現象はもはや日本だけでなく欧州に波及し、米国にも及ぶ中、今までの景気サイクルの期間の長さはあまり参考にならなくなる可能性もあります。

「”非伝統的な”金融政策」という枕詞が示す通り、現在の主要国の金融政策自体が前例のないものです。

「減速すれども不況なし」というまさに低成長時代がじわじわ長期間続くような、そして反落を挟みつつも株価のじり高継続というような局面が続くことも頭の片隅に入れておく必要がありそうです。

つまり、今までのデータや一定の法則性が当てはまらない可能性があるわけですね。もしかすると、長期低成長というのが今後の「新常態」になるかもしれないことは、頭の片隅に置いておきたいです。

よって「景気拡大が10年以上続くことから直ちにリセッション入りしてもおかしくない」との想定と同時に、「非伝統的な金融政策により過去の景気拡大最長期間が比較材料にならない可能性も考慮しておく」という両睨みの形で構えておきたいところです。

普遍性・汎用性の持つ投資手法を改めて認識しておく

では、そのようなニューノーマルなことが起こり得る状況下、1つの投資手法に焦点を当てるとすれば、一定の普遍性・汎用性を持つ以下投資手法です。

1.定期的に

2.定額を

3.長期的に

4.積み立てる

定期つみたてです。定期的に積み立てるのは、市場局面に関わらず、また今後の不透明感に関わらず、精神衛生上は悪くありません。

また市場動向は読めないという、諦観に立脚したものでもあります。

更に、高値圏で一括で資金を投じることに繋がらず、機械的に積み立てることで、「あの時こうしておけばよかった」という後悔や雑念が混ざる余地が限定的です。

ただ一方で上昇相場では「一括投資しておけばよかった」となる可能性も否めないのも事実。

ですから、現在のようなマクロ経済環境においても、あくまで中庸的な形で勧められる投資手法というのは、「長期的に、定期的に、定額をつみたてる」という方法です。私は投資が趣味化していない家族にはこの手法を勧めています。

ただし、先述の通り上昇相場において、最初に一括で投資をしておいた方がトータルリターンは高まります。ゆえに、定期つみたてが万能の投資手法というわけではありません。

万能な投資手法を探すというよりは、自分の精神的なリスク許容度に合う形で、長期的に心地よく続けられる投資手法を定めることが肝要と思います。

Best wishes to everyone!

なお、ETFにおいて、平均配当利回りを参照するという方法も一応あります。

【SPYD】米国高配当株ETFの購入タイミングの目安とは?

中央銀行が利下げの際、どのような影響があったかを検証したものです。

過去FRB利下げ局面で「株価」はどうなった?「景気後退」は?解説します。

リセッションにおける投資戦略については以下ご参考に供します。

リセッション(景気後退局面)における投資戦略

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公開日:2019年7月6日

コメント

  1. 亀鯖で活動してた自営業 より:

    初めまして。
    1年前からブログを拝見させていただいている44歳です。
    年齢は違えど、FF11は発売日からどっぷりはまり、
    仕事仲間と徹夜でPOP待ちや金策に明け暮れたのがとても懐かしいです。

    そんな私は、自営業で週一休みな生活を長年続けてきたのですが、
    最近の売上状況と健康面の心配もあり、
    @1-2年程度で潮時かなぁと思い、手元にある資金を運用しつつ、
    セミリタイヤを考えております。

    資金的には3,000万程度現金があり、ペイオフ対策で分散させています。
    あと店を畳む時にもある程度まとまった現金が入ると思いますので、
    50歳までに投資に回せる合計は5,000万程度だと思います。

    とりあえず、初心者でも出来そうなウェルスナビを半年前から月々10万で始めました。
    ただ今後の事を考えると、自分で地道にVYMなどに積み立てていく方がいいのか。
    その場合、手持ちの資金をある程度一気に入れるべきなのか。
    ただもうすぐ景気後退が始まりそうなので、一気に資金を投入するのではなく、
    月々の金額を引き上げてコツコツ積み立てていくべきなのかなどとても悩みます。
    理想は60歳になった時に、月々10-15万程度手元に入ると嬉しいのですが。

    お忙しいかと思いますが、お時間が出来た時にでも
    シニアにありそうな「まとまった資金があるが、今後はほとんど増える見込みが無くなる場合の積み立て方法」として、
     ・ある程度の資金を投入してから、月々積み上げていく方がいいのか。
     ・手持ちの資金を投資期間で分割して、月々コツコツ積み立てていく方がいいのか。
    みたいなテーマで、三菱サラリーマンさんの意見を拝見させていただければ幸いです。