過去FRB利下げ局面で「株価」はどうなった?「景気後退」は?解説します。

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米FRBが景気減速を避けるべく「予防的利下げ」が実施される中、本記事では、過去FRBが利下げを行った際に、

  1. 株価(S&P500)がどのぐらい上昇下落し、
  2. 利下げ時期近傍で景気後退が起こったのか、

についてのデータを集計の上、振り返ります。

先般、リセッション入りが公表され、過去の「01年・07年型」に類することにはなります。

過去FRB利下げ局面の「株価」への影響と「景気後退」有無

そもそも過去30年間の米FRBが利下げを実施した初回のタイミングは以下の通り5回です。

過去の利下げ時期
  1.  1989年6月5日
  2.  1995年7月6日
  3.  1998年9月29日
  4.  2001年1月3日
  5.  2007年9月18日

そして、そもそも米国FRB(連邦準備制度理事会)における利下げとは、以下を意味します。

利下げとは?
FRBが、FOMC(連邦公開市場委員会)でFFレート(短期金融市場を操作するために調整する政策金利)の誘導目標を下げること

この利下げによって、FFレートに代表される短期金利が下がるわけですね。

FF金利・長期金利・S&P500の推移

下図・下表は以下3つの関連性を示したものです。

  1. FFレート(FF金利)
  2. 米10年国債利回り(長期金利)
  3. S&P500指数

データソースは米連邦準備理事会(FRB)・全米経済研究所(NBER)。

※網掛け部分は景気後退期、赤丸は利下げ局面

S&P500 景気後退
1か月後 3か月後 6か月後 1年後 2年後
1989 3% 7% 9% 12% 19%
1995 -1% 5% 7% 15% 64% ×
1998 16% 30% 37% 36% 43% ×
2001 -1% -6% -8% -13% -30%
2007 1% -3% -14% -21% -32%

上表の通り、過去30年間で5回利下げが行われており、うち2回は株価が大きく下落も、うち3回は2年後も上昇しています。

1989年の利下げ

1989年の利下げでは、翌年の景気後退局面入りにも関わらず、株価は2年後も上昇しました。

1990年の景気後退は、4%台のインフレが進み、利上げを続けていた中での湾岸戦争による原油価格高騰が原因とされ、その後も高い失業率と財政赤字拡大で95年まで低成長に。

1995年・1998年の利下げ

1995年・1998年の利下げは、景気後退との関連性はなく、景気先行指数がたれ始めたタイミングで景気の腰折れを防ぐ「予防的な利下げ」です。つまり今回のFRBの狙いと同じです。

結果、株価は大きく上昇しました。

2001年・2007年の利下げ

2001年・2007年の利下げは、景気後退局面入り前に実施され、ITバブルの崩壊・リーマンショックを後に迎え、株価は大幅に下落しました。

過去FRB利下げ局面での株価影響・景気後退との関係まとめ

以上から、地政学的なリスクが引き金となった1989年を除くと、サンプル数は4と限定的ながら、帰納的に以下整理が可能です。

利下げ影響まとめ

利下げ後に景気後退入り

→ 株価下落誘発

(01年・07年のケース)

利下げ後に景気後退入りせず

→ 株価上昇継続

(95年・98年のケース)

S&P500 騰落率 景気後退
1か月後 3か月後 6か月後 1年後 2年後
1995 -1% 5% 7% 15% 64% ×
1998 16% 30% 37% 36% 43% ×
2001 -1% -6% -8% -13% -30%
2007 1% -3% -14% -21% -32%

更に95年・98年の利下げは、景気の腰折れを防ぐための予防的措置であり、今年2019年の状況とその点では酷似しています。

2019年11月に、以下の通り記載していました。

ただ、既に米国の景気拡大局面は最長更新中であり、景気サイクルの観点からはいつ景気後退になってもおかしくはない状況が続いてはいます。

その状況での利下げということで、株価上昇・景気拡大の「延命」にはなり得ても、いずれ必ず景気後退を迎えることには留意しておく必要があります。

先般、リセッション入りが公表され、過去データ上は、上表01年・07年型に類することになります。

私は引続き、資産の相当程度をリスク資産として置いておく予定です。

ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone!

本記事に関連する記事として、以下をご参考に供します。

【世界経済減速の兆候】2019年~2020年にかけて景気後退局面の始まりか

過去リセッションで株価は何%下落したか【リセッションと株価の相関性】

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公開日:2019年7月28日