シニアの方やアーリーリタイア後など、資金はあるが今後収入がない人のための株式積み立て方法

Twitter

シニアの方々やアーリーリタイア後などにあり得る「まとまった資金があるが、今後はほとんど増える見込みが無くなる場合の積み立て方法」として、以下どちらが良いのかというご質問に回答申し上げます。

・ある程度の資金を投入してから、月々積み上げていく方がいいのか。

・手持ちの資金を投資期間で分割して、月々コツコツ積み立てていく方がいいのか。

以下はご質問頂いた内容です。

ご質問

初めまして。

1年前からブログを拝見させていただいている44歳です。

年齢は違えど、FF11は発売日からどっぷりはまり、仕事仲間と徹夜でPOP待ちや金策に明け暮れたのがとても懐かしいです。

そんな私は、自営業で週一休みな生活を長年続けてきたのですが、最近の売上状況と健康面の心配もあり、@1-2年程度で潮時かなぁと思い、手元にある資金を運用しつつ、セミリタイヤを考えております。

資金的には3,000万程度現金があり、ペイオフ対策で分散させています。

あと店を畳む時にもある程度まとまった現金が入ると思いますので、50歳までに投資に回せる合計は5,000万程度だと思います。

とりあえず、初心者でも出来そうなウェルスナビを半年前から月々10万で始めました

ただ今後の事を考えると、自分で地道にVYMなどに積み立てていく方がいいのか。

その場合、手持ちの資金をある程度一気に入れるべきなのか。

ただもうすぐ景気後退が始まりそうなので、一気に資金を投入するのではなく、

月々の金額を引き上げてコツコツ積み立てていくべきなのかなどとても悩みます

理想は60歳になった時に、月々10-15万程度手元に入ると嬉しいのですが。

お忙しいかと思いますが、お時間が出来た時にでも

シニアにありそうな「まとまった資金があるが、今後はほとんど増える見込みが無くなる場合の積み立て方法」として、

・ある程度の資金を投入してから、月々積み上げていく方がいいのか。

・手持ちの資金を投資期間で分割して、月々コツコツ積み立てていく方がいいのか。

みたいなテーマで、三菱サラリーマンさんの意見を拝見させていただければ幸いです。

まとまった資金があるが、今後はほとんど増える見込みが無くなる場合の積み立て方法

ご質問ありがとうございます。FF11のPOP待ち、懐かしいですね~。

ウェルスナビに対する考え方

初心者でもできそうなウェルスナビを始めていらっしゃるということで、確かに投資になじみのない方は特に「いったい、何を買えばいいんだ?」と感じるでしょうし、最初に投資に取り組む際に、ウェルスナビは一定の有用性があるものだと思います。

「VTIやVEAというETFでこのような構成で運用していると、これぐらいの値動きになるんだなぁ」という実感も得やすいですね。

ただし、1点、ウェルスナビの注意点としては、やはりその手数料ですね。1%の手数料というのは、正直安いとは言えません。

可能であれば、ご自分でやはりVYMやSPYD(どちらも手数料は0.1%以下)を積み立てていくことを、やはり私としてはおすすめします。1%の手数料というのは、投資期間が長期になる、ボディブローのようにリターン押し下げに効いてきます。

ただ繰り返しになりますが、投資を始める際に、お試しというか「投資ってどんなもんだろう?」という時に、まずは少額ウェルスナビを体験してみるというのは、アリだとは思います。

ただ、ウェルスナビを経由する必要性は必ずしもありませんし、たとえ経由したとしても、最終的には自分でETFを積み立てる方が手数料の観点からは良いですね。

ですので、積み立て先をウェルスナビから、VYM・SPYD・HDVなどの高配当株ETFに切り替えるのは、やはり有力な案です。(後述します)

資金を投資期間で分割して投じるのは、汎用性あり。

では本題の「まとまった資金があるが、今後はほとんど増える見込みが無くなる場合の積み立て方法」として、以下2案どちらが良いかということについて回答申し上げます。

  1. ある程度の資金を投入してから、月々積み上げていく方がいいのか。
  2. 手持ちの資金を投資期間で分割して、月々コツコツ積み立てていく方がいいのか。

結論から申し上げますと、私なら目下の状況においては2を採ります。

1は相場低迷期に適し(理由は、単純に安い時期に多く買えるため。しかしその時期が相対的に安い株価だったのかは後々にならないと不明ではあります)、2は資金を平準化して投じるため、相場の状況に関わらず一定の適性があります。

また、現在の好調な相場状況・景気拡大期間が最長に達するというマクロ経済環境を考えますと、1より2です。

いずれにしても汎用性があるのは2の案ですね。なぜならいつ相場低迷期・相場好調期が終わるのかを予想するのは困難だからです。

現在の相場・経済環境はどのような状況か

では現在の好調な相場状況・景気拡大期間が最長を迎えようとしている経済環境を以下観点から見てみましょう。

  • ISM製造業・非製造業指数と景気後退期
  • 信用スプレッドと米国景況感

米ISM指数と景気後退期の関係

下図は米ISM指数と景気後退期(網掛け部分)の関係を示したものですが、ISM製造業指数とISM非製造業指数が共に下落した時期が過去2回の景気後退局面のサインとなっています。(赤丸部分は片方のみのデカップリング、景気後退に至らず)

2019年からISM製造業指数・ISM非製造業指数ともに下落傾向にあります。更に既に景気拡大期間は史上最長を2019年7月に更新することから、現在ことさら無理にポジションを新規で大きくとる必要はないと考えます。

信用スプレッドと米国景況感

「米国の景況感を表すISM製造業指数」と「投資家心理を表す信用スプレッド」は概ね上図の通り連動しており、信用スプレッドの拡大は投資家心理の悪化を表し、ISM製造業指数の低下は景況感の悪化を表します。

上図の通り、直近において景況感が減速している一方で、投資家心理はさほど悪化していません

つまり、これが何を示すかと言うと、「本来の景況感よりもマーケットはやや楽観的であり、今後景況感がさらに悪化すると、やや楽観的な投資家心理の悲観に傾く反動が大きくなり得る(=下落幅が大きくなる)こと」を示します。

以上、株価の値動きというのは読めないものの、経済環境はやや減速の兆候が見られ、少なくとも相当長い上昇相場が続いてきたことは確かです。

FRBの利下げ観測および大統領選挙を控えていることから、景気拡大期間は延命が図られる公算が高いものの、更に5年以上の長期で拡大が続くというのはかなり考えにくい状況です。

そのため、先述の通り、今後給与などの定常的なキャッシュフローが見込めるならまだしも、あまり見込めない状況であれば特に、無理に新規で大きくポジションを取る局面ではないと思います。

ご質問者さんの希望としては、「60歳時点で月々10-15万程度の配当金額を希望。50歳までに5,000万まわせる」とのことなので、税引後配当利回り2.4%~3.6%が月々10-15万円の配当額に相当しますから、VYMやSPYDを期間分散して積み立てていく形で十分可能です。

(SPYDの税引き後配当利回りは概ね3%程度です。)

ですから、積み立て先をウェルスナビから、VYM・SPYD・HDVなどの高配当株ETFに切り替えるのが有力な案と思います。

更に、以下は主要な論点からはやや外れるご参考程度ですが、多額に積み立てて売却して乗り換える際に実現益に課税されて目減りした後に高配当株ETFに乗り換えるより、早期に乗り換えてしまった方が前述の課税を繰り延べられるのも好適な点です。

どういうことかと言うと、たとえば投資信託やウェルスナビに1,000万円投資をして、1,100万円で売却した際、100万円の実現益に約20%課税され、高配当株ETFに投じる額が1,080万円に減る一方、最初から高配当株ETFに投じ、その後配当を享受すれば一気に先ほどのように目減りすることはありません。(ただ、配当には少額ながら同様に課税されますし、あくまで実現益が生じた前提です)

まとめ

まとめますと以下の通りです。

  1. 5,000万円の投資資金で60歳時点で月々10-15万程度の配当金額を得ることは配当利回りの観点から高配当株ETF(SPYDなど)で実現可能
  2. 現在の相場状況・経済環境では、新規で大きくポジションを取るのはややリスキーか、現在は手持ち資金を投資期間で分割して定期つみたてで十分
  3. 積み立て先をウェルスナビから、高配当株ETFに切り替えは有力

ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone!

新刊「#シンFIRE論 経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法」
騒がしすぎる世界で、「主体的」であれ
スポンサーリンク

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

外国株式ブログランキング

Follow me by FREETONSHA

公開日:

コメント

  1. 亀鯖で活動してた自営業 より:

    こんばんは。
    記事として取り上げていただき、誠にありがとうございます!
    とても参考になりました。

    ウェルスナビはリスク許容度5で1年間運用した事によって、
    ポートフェリオ(VTI・VEA・VWO・AGG・GLD・IYR)、
    分配・リバランスなどの年間フローなど雰囲気はつかめましたので、
    三菱サラリーマン様のご助言通り、早い段階で切替を検討します。

    当面は手持ちの資金をから毎月10万円分のドルを住信SBI銀行で購入し、
    SBI証券でVYM・SPYD・HDVを中心に分割購入。
    景気後退が始まったら少しずつ毎月の購入資金を増額して、
    60歳の時点で5000万投資を目標に計画を建てていきます。

    またここで追加の質問なのですが、
    資金の一部を「つみたてNISAで楽天VTIに割く」というのはどう思われますか?
    もしお時間が許すようでしたら、ご助言いただけると幸いです。