米国株の配当二重課税というデメリットはさほど気にせずとも良い

Twitter

米国株投資って二重課税っていう税制面でのデメリットがあるけど、大丈夫なの?二重課税にならない日本株の方が良いんじゃないの?

そんな質問にお答えします。

米国株の配当二重課税という税制面デメリットはいかほどか

以下はpeingで頂いたご質問です。

米国株が主体に見えますが、配当金が税金において外国株は不利になりがちですが、何か対策はしていますか?確定申告等での二重課税対策など、、

ご質問頂きありがとうございます。

結論から申し上げますと、特に対策はしておらず、確定申告で一部取り戻す程度であり、米国株投資のメリット(資本効率・営業利益率・株主還元など)が二重課税という税制面でのデメリットを上回ると感じています。

ですので、米国株か日本株どちらかを選べと言われれば、米国株を選ぶでしょう。

個人的な嗜好としては無類の分散・配当好きなので、外国株以外にも高利回りの日本株やREIT・インフラファンドにも実際には投資しています。

>> 配当金生活に向けたポートフォリオ – 2018年8月

私がKPIとする配当収入も、二重課税後の額でいつも集計しており、二重課税は米国株投資への必要経費程度に捉えています。

配当の二重課税とは、日本での20.315%の源泉徴収税に加え、米国現地でも10%が課税されることを言います。

配当の二重課税は、ないに越したことはありませんが、資本効率が高く、株主還元に積極的な米国の優良企業に投資する上での必要経費程度に捉えています。

日本企業は減配する際、配当政策全体において責任の所在が非常に曖昧で、米国CEOほどのコミットメントと比べるとやはり弱いと言わざるを得ません。(あくまで株主目線で「減配は不味」というだけで、従業員目線での影響は株主のそれとは全く異なります。)

先ほど米国の優良企業と述べましたが、その指標として具体的に以下2例を比較してみましょう。

  1. 日米企業の営業利益率
  2. 日米企業のROE

①日米企業の営業利益率比較

私は基本的に営業利益率の高い企業や営業キャッシュフローマージンが高い会社が好みです。

なぜなら、これらは「競争力の高さ」や株主還元の源泉となる「本業でキャッシュを稼ぐ力」を測れる1つの指標になり得るからです。

上表は2017年における「主な保有米国株の営業利益率」と「日本企業全体の営業利益率」の比較ですが、保有米国株は日本企業全体(約8%)の約2~5倍の水準と突出しています。

もちろん日本企業でも営業利益率の高い企業は存在しますが、「連続増配という過去長期にわたる積極的な株主還元の実績も兼ね備えた企業」は、米国に比べると僅少に過ぎ、層の厚さ・選択肢の多さは大きく見劣りします。

②日米企業のROE比較

次は、日米企業のROEを比較してみましょう。

ROEとは、Return On Equityの略称で、当期純利益の株主資本に対する比率です。要は、株主目線で見た投資に対する利回りとなる指標です。

以下は日米企業のROE比較です。

日本経済新聞より

米国が常に日本を上回っています。利益率の差もありますが、日本企業は手元資金を厚くしておく傾向があり、その一部は貸借対照表上では利益剰余金として積み上がり(2018年4〜6月期に日本企業全体で446兆円に達し6年連続過去最高を更新)、株主資本が厚い傾向にあります。

そしてその分、ROEは下がります。言わば手元資金を活かしきれていないとも解釈できますね。資本効率が米国企業より低いと結論付けることもできるでしょう。

※ROEの注意点基本的にROEは高い方が良いです。

ただ、「基本的に」と記載したのは、ROEは純利益を増やさずとも、借金を増やせば高く見せることができるからです。

財務レバレッジ(借入金を増やす)を利かせれば株主資本の比率が下がる分、ROEが高く出るので、借金をしてレバレッジをかければかけるほどROEが高く出ます。

ゆえに、ROEが高いことが絶対的に良いとは言えませんが、資本効率を測る1つの指標にはなり得ます。

補足:配当の二重課税より、資本力の方が影響大

10%の現地税は確かにない方がいいんですけど、その10%を惜しんで自分が本当に投資したいと思う会社に投資しないほどのデメリットではないかなというところです。

これを言うと元も子もありませんが、それよりも、本業や副業・その他投資からのキャッシュフローを増やすことに注力する方が肝要です。

例えば1,000万円を日本株の配当利回り3%の株式に投資した場合と米国の配当利回り3%の株式に投資した場合を比較してみます。(配当控除はない前提)

  • 日本株:24万円
  • 米国株:21.6万円

となり差は年間で2.4万円です。この2.4万円の差は、100万円の追加資本があれば回収できてしまいます。

投資効率や税金も確かに重要なファクターですが、最も影響が大きいと感じるのは資本力です。株式資本主義では、資本力こそが最も大きなファクターですから、まずはそこに全精力を注ぐ形で良いと思います。

米国株の配当二重課税デメリットまとめ

まとめますと、

米国株投資における配当二重課税は、米国の資本効率の高い企業に投資する上での必要経費程度と認識しています。

二重課税はないに越したことはありませんが、「資本効率や利益率が高く、株主還元に積極的な米国企業から享受できる金銭的メリットの方が、税制面における二重課税というデメリットを大きく上回る」との判断から、私はそこまで二重課税は気にしなくて良いと思います。

Best wishes to everyone!

外国株では米国株より更に現地での税負担が重い(15%)カナダ株にも投資しています。石油・ガスにおけるパイプライン輸送事業を行うエンブリッジ。この企業も営業利益率は30%を超え、更に向こう3年間の増配率10%を公言。

エンブリッジ(ENB)は連続増配23年、高配当6%、カナダの石油・ガス輸送企業
エンブリッジ【ENB】は、高配当を選好する投資家にとって、選択肢の1つになり得る企業と思います。 特筆すべきは、以下2点。 ...

預託証券として米国に上場(ADR)している企業に投資すれば、二重課税とならない銘柄群もあります。ウエストパック銀行は配当利回りが6%を超える高配当の豪州企業です。

【WBK銘柄分析】ウエストパック銀行は配当6%の高配当豪州銀行
伝統的に高配当のオーストラリア株であるウエストパック銀行【WBK】についての銘柄紹介です。 本銘柄には、2017年から投資して...

英石油メジャーのBPもADRとして米国に上場しており、二重課税とはなりません。

新刊「#シンFIRE論 経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法」
騒がしすぎる世界で、「主体的」であれ
スポンサーリンク

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

外国株式ブログランキング

Follow me by FREETONSHA

公開日:2018年9月4日

コメント

  1. AKIHIRO より:

    初めまして。会社員・海外出張などの共通点があり、投資や働き方やその在り方・姿勢について非常に共感できる部分が多く、楽しんで拝読しております。

    私も早期での経済的自由の達成を目標に日々淡々と株式投資に向き合っております。
    今後も大いに参考にさせていただきたく思います。

    宜しくお願い致します。