石破新総裁誕生で、同氏の発言内容を振り返る
民主主義である以上、政治は一国民と切っても切り離せない分野ではないかと思います。
日常的には以下番組を見たりします。テレビは多分に中立的ではない可能性は承知しますが、BSフジLIVEプライムニュースは切り取りようがない構成であり反町キャスターを含めて比較的客観性に基づいて進行されているように見えます。
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石破新総裁が選出された当日9月27日にWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)出演時の以下発言内容をあらためて確認します。
―新総裁誕生で円高・株安が進んだ。高市さんと比べて金融緩和や財政出動に消極的との見方が背景にあるが、率直な感想は?
必要あらば財政出動はやる、あたりまえのこと。金融緩和を変えることは基本的に致しません。
―アベノミクスと距離を置いてきて、日銀の金融政策の正常化を進めるとの見方がある一方で先日は利上げを今すぐするのは反対との発言もあった。実際、今後の金融政策についての考えはどうか?
金融政策は物価の安定を主任務とする日銀が判断すべきこと、日銀は政府の子会社だとは思っていない。
―日銀に対して政府が何か要請していくことはない?
そのようなことは致しません。
―金融緩和を手仕舞いしていくなかで、丁寧にやってくださいということか?
そういうことです。
―金融所得課税への言及が以前あったことで株安が進んだと思われるが、総裁選の途中からはあまり聞かなくなったが現在の考えは?
税制は公平公正であらねばならない。貯蓄から投資へという流れは加速していかねばならない。と同時に、所得が上がると税率が下がるのはどうなんだろうねというのはある。
―金融所得が多い人にしっかり課税するということ?
それはこれから税調(税制調査会)の議論になるのであって、総理たるもの「こうだ」と決めつけることは致しません。貯蓄から投資へという流れを棹(さお)さすようなことはいたしません。
中央銀行の独立性確保、税制という2点が主に論点かと思いますが、総じて「原則にのっとって、本来あるべき姿に」という姿勢。
中央銀行の独立性については、「物価の安定を主任務として担うのは政府ではなく日銀である」という原則・本来あるべき姿を土台として議論を発展させています。独立性を確保しないと、物価の安定や通貨価値の維持よりも政府の台所事情(予算・債務)が優先される動機が働きやすいことが念頭にあるのでしょう。これはやはり中央銀行の本来あるべき姿ではない、やはり独立性を確保して、物価の安定という主任務を全うしてもらおうという「本来あるべき姿」いわば原則を大事にする姿勢でしょうか。
税制についても同様で、まず土台にあるのが「税制は公平公正であるべき」というこれまた「本来の姿」を念頭に置き、そこから議論を発展させる姿勢にみえます。
公平公正という観点で言えば、金融所得(≠金融資産)のみでたとえば1億円を超えるような超富裕層については、二重課税などの制度的な欠陥がないかぎりは「税制の公平・公正」という観点からは労働者と同等の税率でもおかしいことではないと思います。
こういう議論の発展のさせ方というのは、昨今の政治家であまり見られなかったように思います。昨今注目される政治家というのは、基本的に劇場型やパフォーマンスが注目され、「なぜこういう政策になるのか、どういう概念が土台にあって議論が発展したのか、どう考えているのか、政治信条は何なのか」といった原則論や本質的な部分がなおざりにされてきた印象が強いです。
こうした姿勢が就任後も続くのか注目しています。もっとも、首相就任前は毅然と「あるべき姿」を提唱していても、田中角栄氏や橋本龍太郎氏よりあとの総理は、就任した途端に人が変わったように冴えない沈鬱な表情に変わり、従前の気勢が退潮したかに見える事例が複数確認できます。
おそらく党内のしがらみ等もあるのでしょうし、「宗主国」の圧力もあるのでしょうけども。
日米同盟(地位協定)の見直しについても言及していたので、その点もどうなっていくのか注目しています。地位協定は条文を確認すれば瞭然、片務性のある不平等条約なので、まずはそうした実態を国民が知ることが出発点ではないでしょうか。韓国やドイツでは改定されているのに日本だけそのままです。とくにドイツの対応と日本は対照的だと思います。
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