米国株や全世界株で「東証ETF」と「eMAXIS Slimシリーズ」、どちらを選ぶか迷っている際の判断基準
以下ご質問に回答しています。
(前略)
- 前提条件
金融資産 8500万 - 使途内訳
当面の生活防衛費 3500万
子供の大学費用(学費と仕送り)1500万(10年後から使う予定)
投資可能額 3500万(最低15年間運用予定)
と考えています。
ブログを拝読してましたら、2月23日アップの
「投資初心者です。手間なく、ハイリスクを避けて、月10万円の分配金がほしい」
が、私の希望とよく似ていましたので、参考にさせていただきました。
全世界株式から月10万円を得るには、の具体的な流れのところですが、約3000万を投資に充てて、新NISA枠を全世界株式で埋める、と書かれていますが、取り崩しを開始するのは、特定口座も含めて、約3000万を投資完了してから、ということになりますか?
→ その通りです。
投資しながら取り崩し、では元本が増えないので、当然、投資完了後から取り崩しという考え方で合っているでしょうか。
→ その通りです。
夫のカラのNISA口座と特定口座を活用するとして、一部を一括で投資して、残りを積立で投資する場合の具体例など教えていただけると助かります。
→ 一例として投資金額の半分を一括で投資し、残りを数年かけて毎月つみたてる、といった案が考えられます。
次にブログを読んで、1655、2558のような東証のETFについて、初めて知りました。
投資信託一択で運用しようと思っていたのですが、1655なども良いかなと思っています。
東証ETFは外国税の還付の手間がないことに加えて、どのようなメリットがありますか?
例えば、値下がり時にリアルタイムで一気に買える?とかでしょうか。
→ 下段①で回答します。
投資可能額3500万を15年は運用するならば、債券は組み入れなくても良いのではと思ってきました。
どう思われますか? 私のリスクの取り方次第でしょうか。
→ 下段②で回答します。
子供の大学費用を10年間手付かずで置いておくなら、やはり国債などで少しでも利息を得た方が良いかと思いますが、どう考えますか? 何か該当する投資先があれば教えていただきたいです。
→ 下段③で回答します。
子供が未成年のため、夫が、すべての財産を妻に相続させる旨の遺言をしています。
もし、夫の投資口座を私が相続で受け継ぎ、その一部をさらに子供に相続させることができれば、超長期投資も可能になるのでは、と考えたのですが、その場合、夫の取得価格が相続によって受け継がれていく、という認識で良いでしょうか?
→ 下段④で回答します。
以上です。。長々とすみません。しかも、浅はかな考えが散らばった質問文ですが、できる範囲でお答えいただけるとありがたいです。
① 「投資信託」と「東証ETF」の特徴
ブログを読んで、1655、2558のような東証のETFについて、初めて知りました。
投資信託一択で運用しようと思っていたのですが、1655なども良いかなと思っています。
東証ETFは外国税の還付の手間がないことに加えて、どのようなメリットがありますか?
例えば、値下がり時にリアルタイムで一気に買える?とかでしょうか。
【1655】iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF のような東証ETFでは、確定申告で外国税額控除による還付の手続きの手間が省けることに加え、効率性などの観点から以下のような特徴を指摘できます。
税金による効率性の観点
- 東証ETF:【1655】iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF
分配金が出る際に、外国税10%が引かれず、国内税20.315%のみが引かれる - 投資信託:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
投信内部で分配金を再投資する際に、外国税10%が引かれて再投資されるのでそのぶん複利効果は落ちるが、分配金を出していないため、ETFに比べて解約時まで分配金にかかる課税(20.315%)を繰り延べできる
※NISA枠は、外国税額控除が適用されないので、無分配で最大限非課税枠を活用できるeMAXIS Slimがよいです
機動性の観点
- 東証ETF:【1655】iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF
9:00-11:30、12:30~15:00の時間内に値動きがリアルタイムで反映され、売買できる - 投資信託:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
1日1回決まる価格で売買する
指数との乖離の観点
- 東証ETF:【1655】iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF
ETFは、取引価格が指数と乖離することがある(一般に上下0.5%以下) - 投資信託:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
価格が指数と連動する
厳密に詳しく書くと以上のようになります。
誤解をおそれず簡便に述べるならば、以下のように整理できます。
- 分配金がほしければ、東証ETF
- とくに分配金が必要なければ、eMAXIS Slim 全世界株式、全米株式
- NISA枠なら、eMAXIS Slim
以下のようにも述べられます。
私がまったくの投資初心者に「どの銘柄がお勧めですか?」と言われたら、まずはETFと投資信託を挙げます。
ETFや投資信託を買うだけで、数十社以上に分散できるので、簡便です。課税口座(特定口座)ならETF、NISA口座なら投資信託が良案かと思います。
ETFから出る分配金を使うことで日々の生活を豊かにできますし、外国税額控除が適用される東証上場ETFならば、課税口座では効率がよくなる傾向(詳しい説明は割愛しますが、税引き後リターンが無分配の投資信託より高くなる可能性が高い)です。NISAは外国税額控除が適用されないので投資信託が適しているでしょう。
具体的には、「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2558】」や「MAXIS 全世界株式(オール・カントリー)上場投信【2559】」などが一案です。
あとは日本株や、インド株なども面白いかもしれません。日本株は外国税がかからないので、分配金がほしければETF、とくに分配金にこだわりがなければ無分配の投資信託といった整理でよいでしょう。最初はこういった有名で人気も高い銘柄を好みに応じて買ってみるといいと思います。そして「もっと株をやってみたい!」と思えば、個別株を買ってみてもいいと思います。
② 債券を組み入れるべきか
投資可能額3500万を15年は運用するならば、債券は組み入れなくても良いのではと思ってきました。
どう思われますか? 私のリスクの取り方次第でしょうか。
おっしゃる通り、リスク許容度次第ですが、
- 暴落でろうばい売りする可能性が高い等の理由で、値動きを小さくしてリスクをおさえたい(そのぶん期待リターンは下がってしまいます)
等の要望がないかぎりは、15年運用する場合は債券は組み入れないほうが期待リターンは高まる傾向にあります。
③ 学費を国債などにまわすべきか
子供の大学費用を10年間手付かずで置いておくなら、やはり国債などで少しでも利息を得た方が良いかと思いますが、どう考えますか? 何か該当する投資先があれば教えていただきたいです。
学費ということで、10年後にかならず必要になる資金かと思います。
株式にまわすことを検討する場合は、「元本割れのリスクを承知でリターンをねらうかどうか」という命題に帰着します。
国債か預金かは、一般に国債のほうが利息を多く得られます。とはいえ足もと「10年変動」の利率は1%以下ですから、絶対値として多くはありません。
個人向け国債は償還まで持てば、元本保証ですし、中途解約時でも額面での買い取りを国が約束しています。「変動10年」なら、変動金利であり半年に1回、その時の金利水準に応じて利率が見直されるので一定のインフレ対応になる場合があります。
預金もインフレ率以上に預金金利が高まれば、インフレ対応になりますが、昨今の米国のように預金金利は銀行が決めるので、預金金利が短期金利ほど上がるとはかぎらず、インフレで預金が目減りするリスクがあります。
適する投資対象を再度まとめると、どれだけリスクをとってリターンをねらうかによります。
- 預金<債券<株
の順に、リスクが高くなるぶん、長期的な期待リターンも高まります。もっとも、預金も先述のとおりインフレ率より預金金利が低いと目減りするリスクがありますが…。
④ 株を相続した際の取得価格
相続した株の場合、相続時点の時価ではなく、親の取得価額を引き継ぐことになる。
その時の株価と現在の株価を比較し、現在の株価が上回っていれば「利益がある」状態と言える。
相続人は取得費が1円も発生していないとはいえ、相続時に相続税、売却時に利益が出ていればその所得分の税金を払う必要がある。
出所:大和ネクスト銀行
株を相続する場合は、買値が引き継がれるということですね。
相続時に譲渡益による税負担がなければ、効率が落ちることなく投資を継続できることになるので、ありがたいですね。
回答になっていましたら幸いです。
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なお、「お金の相談会」に応募された当該ご質問者さまは、このあといろいろご状況や展望などをお話した結果、「東証ETFで、定期つみたて」を選択されました。