新NISAでNTTなどの高配当株投資は、割高で控えたほうがよいのか
以下のご質問に回答します。
読者
人気化する高配当株投資
今年は書店に「配当株投資」「日本株」「高配当株投資」といった文字が躍っていますね。
また、Twitterでも高配当株が人気です。JT、三菱UFJ、三菱商事など。減配しない「累進配当」を掲げる日本企業が増えましたね。
背景に「マクロ的な要因」あり
現在、日本企業は業績が伸びやすい状況だと考えられます。

出所:日本相互証券株式会社
期待インフレ率(上図)が高まっているにもかかわらず日銀が金融緩和を続けているので、実質金利がマイナス。つまり、低利で借金ができて、値上げがしやすいという業績に追い風の状況かと思います。
これは企業物価指数と消費者物価指数の推移を見比べると見えやすいです。
そして企業業績が伸びている状況に加え、東証によるPBR1倍是正勧告があったことで株主還元に積極的な企業が増えました。
とくにバリュー株が昨今は上昇し、その割安具合が大きく修正されました。
ここまで日本の高配当株が注目されるのは初めてです。それぐらい今は人気化しているということでもありますね。
以上、時系列的な流れをざっと振り返りました。
NTTの株価
では具体例として、ご質問いただいているNTTの株価を見てみましょう。
2021年以降、急激に株価が上昇していることがわかります。
日本の高配当株がトレンドになりはじめた頃ですね。指標を見てみましょう。
PER:過去5年で平均値より高い
過去5年レンジで平均値より高いです。
PBR:過去5年で平均値より高い
過去5年レンジで平均値より高いです。
したがって、PER・PBRともに過去推移と比べると割高という状態です。
これはあくまで私の好み(逆張り好き)も入ってくるわけですが、こうしたすでに大きく値上がりした銘柄は、成長性を見込める等の事情がないかぎりは新規投資の候補から外すことが多いです。株を安く買いたいためです。
たとえば直近の新規投資は、いずれもたたき売られていた株でした。サイバーエージェント、セリア、イオンFS、フューチャー、日本ビルファンド、ジンズ、ベネフィット・ワン、オイシックス。
これらは直近で軒並み上昇しました(反面、エムスリーやSBGは反落中)。
こうした「下値がかぎられ、上値余地が大きい」と思しき銘柄が、負うリスクに対するリターンが相対的に良好だと感じています。
もちろん、今後のNTTの株価成長を否定しているわけではありません。業績は安定感があり配当性向も3割程度と低め、ただちに減配も考えづらく、以前より割安さは薄れているとはいえ上値余地も依然ありそうではあります。
このあたりは好みの範疇にもなってきそうですね。ただ、買値はやはり低いに越したことはありません。
なお、保険業界(個人的には損保系)は業態上、継続的に成長が見込みやすいと思っています。下押しがあれば拾いたい業界です。カルテル疑惑で下落したときに買いました。
個人的な好みとしては、負うリスクとリターンを天秤にかけると、下値がかぎられ、上値余地が大きいと思える銘柄に投資することが、「安い買値」と「結果的に良好なリターン」という心地よい投資が可能になる、と今年は実感しています。
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