高値から70%下落、サイバーエージェント(4751)は買いか

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高値から70%下落、サイバーエージェント(4751)は買いか

株価チャート(出所:Yahoo!ファイナンス)

サイバーエージェント(4751)の株価は、高値2,441円から「半値八掛け二割引」は、781円。その値に迫りつつあります。

「半値八掛け二割引」とは

天井を付けたあと下落局面に入った時に、底の水準を判断する目安となる相場の格言。

高値×0.5×0.8×0.8=0.32、つまり 約1/3 まで下げるという1つの目安。

ということで、購入しました。

「Abemaの赤字」と「ウマ娘の配信停止リスク」を抱える

同社は、売上高が多い順に以下で構成されます。

  1. インターネット広告事業
    広告運用やアプリ開発を広告主へ提案

    出所:セグメント別業績(サイバーエージェント)

  2. メディア事業
    ネットテレビ「Abema」、マッチングアプリ「タップル」、「Ameba ブログ」

    出所:セグメント別業績(サイバーエージェント)

  3. ゲーム事業
    スマホゲーム:収益の柱は「ウマ娘」

    出所:セグメント別業績(サイバーエージェント)

リスク①:「ウマ娘」の訴訟による配信停止シナリオ

サイバーエージェントは2020年頃から株価が一気に上昇、これは人気アプリゲーム「ウマ娘」のヒットが背景に挙げられます。

ゲーム事業の利益は以下の通り、急成長しました。

  • 2020年:303 億円
  • 2021年:964 億円
  • 2022年:605 億円

ただし、2022年には失速。同様に育成ゲーム「パワプロ」を手掛けるコナミから2023年5月、特許侵害で訴訟され、損害賠償40億円を求められています。

同社の現金は2,000億円以上(2023年6月時点)あり、利益水準から見ても40億円は軽微な影響ですが、敗訴で配信停止となればウマ娘による利益を一気に喪失するリスクが考えられます。

同社は決算資料で「2021年に提供開始したタイトルの反動や新規タイトルのリリースがない端境期がありつつも、2023年以降は複数の大型タイトルのリリースを控え、安定した事業を目指します」としており、実現するかが焦点となりそうです。

ただ浮沈の激しいゲーム事業はそもそも同社の本丸ではないかと個人的には思います。本丸はやはり今後の産業構造を左右しうる後述のAI(人工知能)ではないかと。

リスク②:Abema黒字化へのハードル

出所:Abema

Abema TVはNetflixと同様、オリジナルドラマがいくつかあり、Netflixも先行投資で制作費がかさみ、黒字化に6年かかっています。

昨今「Disney+の新規加入者低迷」や「Netflixの新規加入者低迷」が象徴するように、コンテンツビジネスは人間の可処分時間の奪い合いで、消耗戦の色彩が出てきています。

出所:サイバーエージェントIR

ただ、Abemaは有料会員による月額課金より周辺事業の割合が多く、様相はやや異なるように映ります。

出所:サイバーエージェント

周辺事業とは「Winticket」という「競輪(KEIRIN)・オートレースのライブ映像の視聴・ネット投票が可能なインターネット投票サービス」のことです。

いわば公営ギャンブルですから、胴元や周縁はそれなりに手堅い収益が入るかもしれません。

こうした周辺事業を追い風に損失改善が続いており、同社は「2026年の黒字化をめざす」としています。これも実現するかが注目されます。

AI重視の経営戦略

カリスマ創業者でもある藤田晋氏は、かねてよりAI重視の姿勢で、AI専門部署を設け、AIの自動広告生成などに注力。個人的には注目ポイントです。

ソフトバンクグループ孫正義氏と同様、経営者である藤田晋氏が今後描いていくAI戦略に賭ける、最終的にはそういう整理もできるかと思います。

この手の中長期のテーマ性は、期待先行または晩成型などいくつかのシナリオに分けられ、紆余曲折を経てからうねりを形成する傾向が認められます。長い目で見る必要もあるでしょう。

まとめ

  • 株価は高値2,441円から「半値八掛け二割引」の781円に近づく
  • 「ウマ娘の配信停止リスク」と「Abema黒字化へのハードル」
  • 中長期的な展望としては、AI戦略が奏功するか

不透明感が多く、また直近は日本株はグロース株が不人気です。こういうときはさらに下を掘る可能性も十分ありつつ、この株価は個人的に一定の納得がいく水準なので打診買いとしています。

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