いまから老後資産の形成にむけて、「月30万円×5年つみたて」は多すぎるか
読者
定年まであと8年。
老後の資産形成で、月30万円を5年つみたてるのは、多すぎるでしょうか。
初めて連絡させていただきます。
すこし前からブログを拝見しており、貴著もこれから拝読予定です。
お金の相談を希望し、連絡を差し上げました。
本ブログや色々な記事を拝見し、FIREという手段よりも「主体的に生きる」ということに共感をおぼえています。
資産と投資状況
- 預金:1,300万
- 投資資金:320万
- 収入:23万/月
- 支出:7.5万/月
- 全世界株式に18万円、国内外のリートに2万円
現在の状況
- 2023年より日系医療企業の正社員で現職入社
- 60歳定年、65歳まで嘱託社員で再雇用あり
- 勤続年数短いため、退職金ほぼなし。再雇用は年収下がる予定
- 履歴としては日経金融企業正社員12年半で長く、退職後のこの8年くらい、弁護士法人など企業の正社員や派遣社員で勤務するも、荒々しいブラック企業や勤務が多く、長く勤務できず。
今年正社員入社で今に至る - 履歴はアメリカ人のように転職数多くなってしまいましたが、過程で英語を勉強したり、何度も就職活動したりで、ある程度の社会サバイバル能力がついて、今に生きています
- 以上の状況で、定年まであと8年しかないので、FIREというより、まずは定年前に資産3000万円を目指し、その後も収入のあるうちに、出来る限り積み立てようと思っています。
今の会社の土壌は穏やかで、上司からも評価していただき、仕事環境もかなり楽なので、これからしっかり蓄財したいと思っています。
サイドFIREくらいまで持っていけ、心の余裕を持ちながら、働ければいいなと思っています。 - 今の資産が少ないのは、恥ずかしながら10年前に投資詐欺に遭い、貯蓄の半分くらいと仕事も失ってしまったためです。自分の当時の無知さを反省するばかりですが、この10年は人生を立て直すのに精一杯な状況でした。とはいえ、今となっては、ある程度実力もつき、生き方も会社や他人に依存しなくなったので、よかったと思っています。
投資への考え
- まだまだ勉強不足ですが、世界株式インデックスを中心に、毎月積立投資してゆくのが、自分に合っている気がします。
- 以前の失敗もあり、投資は怖く遠ざかっていたのですが、この2-3年、3万円~10万円くらいでNISAや投資信託で毎月積立を始め、+-しながらもインデックス投資やドルコスト平均法に安心感を感じ、先月くらいから毎月の積立額を20万円に増やしました。
また、来年から新NISAが始まるので、そちらでの積立を開始し、今ある旧NISAや投資信託の積立は中止し、売却はせず、そのまま放置し、運用は継続予定 - 最終的には、妥当な現金を残しつつも、投資額を3000万円くらいまで持っていきたいです。
- 米国株や高配当株は、勉強不足でまだ未知の世界です。
- 投資については、過去の失敗から、人任せにせず、自分でしっかり勉強して、選択しようと思います。
- 資産構築は目的ではなく、あくまで手段なので、常に人生に大事なことを考えて、検討してゆきたいです。
投資に関する質問
- 毎月30万円×5年間の積立は多すぎるか。
まず、回答としては以下のようになります。
Q.毎月30万円×5年間の積立は多すぎるか。
A.53-57歳の期間と理解します。
それでは、つみたて投資について判断材料となる4つのポイントを、以下確認しつつ、考えてみましょう。
つみたて投資を考える際、4つのポイント
- 精神を良好に保てるか
- 投資目的に合う資産配分か
- 最終的に価値が上がると期待できるか
- 老後の暴落リスクを認識しているか
① 精神を良好に保てるか
投資はよほど劣悪な商品でないかぎり、メンタルが大きく影響します。
実際に積み立ててみて、「こんなにつみたててよいのだろうか…」と不安を感じるようならば、リスクをとりすぎている(投資額が多すぎる)可能性が考えられるため、適宜ご自分で調整されるとよいと思います。
そうしていくことで、自分なりの投資観が確立されていきます。
私なんかは学生時代にFXで過剰にレバレッジをかけて多額の資金を運用していたとき、夜も気になって眠りが浅いことが多々ありました(笑)
そのように実生活に支障をきたす場合は、運用資金額がリスク許容度や身の丈に合っていない可能性が高いと思います。
- 株価:精緻に予測するのは基本的に不可能
- 株式投資:資本が成長する未来に賭ける行為
以上の事実をふまえると、「心地よく続けられるか」がたいせつになってきます。
② 投資目的に合う資産配分か
投資対象は大きく分けて、以下があります。
- 株式:ハイリスク・ハイリターン
- 債券:ローリスク・ローリターン
基本的にリスクとリターンは比例します。株式は、債券に比べて値動きが大きく、暴落するリスクがあるぶん、期待できるリターンも高いです。
このような投資対象ごとの特徴を理解したうえで、投資目的に合っているか判断することが肝要かと思います。老後に向けて積極的に資産増をめざす場合、株式が適していることになります。
③ 最終的に価値が上がると期待できるか
沈みゆく舟に荷物をせっせと運べば、最終的に多くの荷物を失いますね。
一定期間にわたってつみたて投資をするということは、最終的に価値が上がるものを買い続けないと、資産がどんどん減っていくことになります。
したがって、投資対象を慎重に判断する必要があります。オーソドックスなのは、世界経済の成長に応じて成長が見込める「全世界株式」が挙げられます。
ただし、全世界株式とはいえ先進国で9割を占めるので、今後新興国への成長に賭けるならば、
- フロンティアマーケットETF(FM)というピカピカの新興国へ投資するETF
- 「SBI・i シェアーズ・インド株式インデックス・ファンド愛称:サクっとインド株式)」というインド投信
などが候補になるかと思います。
④ 老後の暴落リスクを認識しているか
株式市場というのは、近年高い成長をみせています。
しかし、インフレと不景気に悩まされた1970年代の米国株や、バブル崩壊後の日本のように、数年にわたって低迷する可能性もあります。
老後に、運悪く市場の低迷期に入ると、最終的に価値が上がっていない可能性もあることを認識したうえで、投資をすることが肝要かと思います。
つまり、最悪のケースを頭の片隅に置いておくことで、いざ似たような状況になっても心の準備が整い、パニックにならずにすむことが期待できます。これは、①「精神を良好に保てるか」にもつながってきますね。
まとめ
- 精神を良好に保てるか
- 投資目的に合う資産配分か
- 最終的に価値が上がると期待できるか
- 老後の暴落リスクを認識しているか
お決めになるうえで、これらがポイントかと思います。
メンタル的に問題なく、そして適切な投資対象であれば、投資額が多いほど期待できる収益額も多くなります。
月30万円が無理のない金額であれば、そして老後の暴落リスクも認識のうえであれば、市場の成長に賭ける戦略として一案かと思います。
株式の最もよい買い時は、暴落したときです。しかしいつ暴落するかは予測できず、株式を買わないことによる機会損失もふまえると、「つみたて投資」は中庸的な投資手法ですね。
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