老後に向けた資産形成。配当目的でない場合、投資信託とETFどっちがいいか【迷った時のポイント】(米国株)
40代 女性
というご質問にお答えしました。
株式で分散投資する場合、選択肢は「①ETF、②投資信託」に大別できます。どちらにするかは好みの範疇ですが、目的が明確であればある程度の整理は可能ですね。
ご質問
以下は、いただいたご質問です。
題名: 老後の資金形成に向けての最適な方法を教えていただきたいです
メッセージ本文:
いつもブログを拝見させていただいており勉強させていただいております。
もしもよろしければご意見をお聞かせいただきたくメールをさせていただきました。
私は40代後半で60歳の定年までにある程度老後の資産を作りたいと思っていて、現在約1千万程度の預金があります。これを運用するのに何が良いのか迷っています。
現在、NISA口座で
- 投資信託つみたて(毎月10万)
- iDeCoで自動つみたて(23,000円)
しており、現在気になっているのは米国ETFの自動積立などはどうかと考えています。
ただ配当金は目的とはしていないので配当金を再投資する手間や税金などを考えるとどうかという事と、買い付けにかかる手数料などどうなのかとも思っています。
穂高様ならどのようにされるか、ご意見を伺えれば幸いと思います。
回答
- 配当目的ではない
- 資産形成の目的は、老後資金
ということで、ご自身の好み・目的が明確なケースですね。
配当金目的でない老後の資産形成でしたら、
- 投資信託「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)」
を積み立てることが一案と思います。
理由
今回、投資信託が適している理論的な理由は、以下です。
- 配当金目的ではない
- 配当再投資の手間なし
- 課税を先送りしやすい
【ETF・投資信託】主な特徴・違い
簡便に分散投資できる金融商品として、①ETF・②投資信託の2つに大別できます。主な特徴・違いは下表の通りです。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
分配金 | 出る | 出る / 出ない(えらべる) |
分配再投資 | 手動 | 自動(再投資型の場合) |
分配金に対する課税 | あり | なくせる(再投資型の場合。ただし売却時に利益に課税) |
出口戦略 | 必要なし | 必要 |
購入通貨 | 米ドル(NY上場) 日本円(東証上場) |
日本円 |
主な指数連動商品 (米国株) |
|
|
分配金
- ETFは分配金というキャッシュフローが生じるのに対し、投資信託はキャッシュフローが生じません。
(キャッシュフローが欲しい方は、ETFが適しています。キャッシュフローが不要な方は、投資信託が適しています。つまり、価値観・目的次第です。今回ご質問いただいた方は後者ということですね)
分配再投資
- ETFは手動で再投資が必要なのに対し、投資信託(再投資型の場合)は自動で再投資されるため、手間がかかりません。
分配金に対する課税(国内税:20.315%、外国税:10%)
- ETFが課税されるのに対し、投資信託(再投資型)は課税されません。
(ただし投資信託は、最終的に売却・利益確定の際に課税されます。両者ともいずれは課税されますが、投資信託は課税の先送りがしやすいです)
出口戦略
- ETFは分配金が自動的に振り込まれるため出口戦略が必要ないケースもあるのに対し、投資信託(再投資型)は定期売却・手動売却が必要です。
以上より、配当金目的でなければ、ETF(VTI)より投資信託(楽天VTI)が、
- 「配当金目的ではない」という目的に合致し、
- 「配当再投資の手間がない」ため簡便に実行でき、
- 課税を先送りしやすい
というかたちで整理できます。
出口戦略については、売却額の平準化という意味で、「定期売却」が理論的にはひとつの方法ですね。ただし、下げ相場では心理的に抵抗がある場合もみられますから、こちらも人によって好みは分かれるのでしょう。
よい値段で売却をねらう際は、時期によってご自身の裁量で売却数を変えていく形になります。この方が納得感があるという方もいらっしゃるでしょうね。
目的・好みが明確ですと、答えも直進的にしやすいです。ありがとうございました。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone.
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楽天VTIについては、こちらをご参考に供します。
ETFの中でも、1655・2558といった東証上場のS&P500連動ETFであれば、外国税額控除の手間を省けます。