日本株に中長期的に期待できると思う理由
私が今年に据えた中長期的な投資方針は、
- 妙味を感じる日本株の個別銘柄を、中長期目線で買い進めていく
というものです。
背景には、主に以下3つの要素が挙げられます。
- 金融政策
- インフレ
- 株主還元
金融政策:実質金利がマイナスで、株価に追い風
まず、「実質金利=名目金利-期待インフレ率」という式が成り立ちます。
現在、日本の金融環境はどういう状態かというと、名目金利は日銀のYCC(イールド・カーブ・コントロール)政策により、1%以下におさえられている一方で、期待インフレ率が1.2%程度なので、実質金利がマイナスという状態です。
実質金利と日経平均株価の関係は逆相関で、実質金利がマイナスになるほど、日経平均株価は上がりやすい傾向が見てとれます(下図)。
したがって、金融環境の観点からは、たとえば以下3つのシナリオ等とならなければ、日本株には追い風だと考えています。
- 日銀がYCCを撤廃し、名目金利が上昇する(=実質金利が上昇)
- 日本の物価見通し(期待インフレ率)が下がる(=実質金利が上昇)
- 米国の長期金利上昇に連動して日本の長期金利も上昇
補足
ちなみに、直近の状況としては、期待インフレ率は4月から上昇傾向で、実質金利は-0.9%まで低下。それに呼応するように日経平均株価は大きく上昇。
その後、YCC柔軟化によって日本の名目金利が上がったことで、実質金利は-0.5%まで上昇し、それに呼応するように日経平均は調整しています。
インフレ:コスト上昇を、企業が値上げで反映するようになった
上図は、日本の企業物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)です。
PPIは2021年から急上昇し、しばらくCPIは反応していませんでしたが、2022年からCPIも急上昇していることがわかります。
これは、企業が当初は、輸入物価の上昇などによるコスト増を企業努力で吸収していたものの、吸収しきれず製品の値上げに踏み切ったことがうかがえます。
つまり、企業が値上げする環境になれば、売上や利益が圧迫されにくくなり、企業業績には追い風になると考えられます。現に、食品系の日本株は今年大きく値上がりしています。
インフレ + 低金利=「名目価値のさらなる上昇」
また、インフレは、名目GDPと資産価格(名目株価や不動産価格)を押し上げることになり、加えて前述のように実質金利がマイナスであれば、「借金してでも資産を買ったほうがよい」という状態を意味します。
たとえば、来年にかけて不動産価格が5%上昇するならば、住宅ローンの変動金利が1%なら、借金してモノを買ったほうがよくなります。
インフレなのに金融緩和をつづけてしまうと、こういうことが起きて、資産価格がさらに上昇しやすくなるのです。
株主還元:日本企業は余力が大きい
米国企業は、株主還元に積極的で、企業によっては人件費の削減や借金をしてまで自社株買いや増配の原資にします。
よくいえば株主に対して超過リターンをもたらしますが、逆に言えば株主還元余力にとぼしいと言えます。
対して日本株は、長きにわたって内部留保を貯め込み、株主還元余力が大きい状況。東証のPBR1倍割れ是正要請などを追い風に、今後は株主還元が積極的になる兆しが出ています。
会計上、理論的に配当は株主リターンに対して中立的です。しかし配当を好む投資家が多ければ、割安に放置されていた日本株が見直される契機や、超過リターンをもたらすことにつながるでしょう。
理論は机上のものなので、実際に人間が理論通りに行動しなければ、理論は現実にはならないですね。
まとめ
- 実質金利がマイナスという金融政策
- 値上げでコスト増を反映しはじめた日本企業
- インフレ + 金融緩和 = 資産価格の上昇要因
- 日本企業の株主還元余力の大きさ
- ほか、日銀短観が示すような景況感の良さ、新NISA開始、政治的安定、地政学的に重視されやすい状況 など
日本株は10年以上やっていますが、今までとにかく日本株は割安で放置されていました。いわば、世界の投資家からも、国内の投資家からも見放されていたような状態。
PER5倍、PBR0.3倍などの個別株はザラです。それだけ今後の成長にとぼしいと見られてきた証左でもあります。
しかしこの現象に目をつけたバフェット氏が日本株を買ったことで、がぜん日本株の割安さに注目しはじめる中東をふくむ海外投資家も現れ、割安さが大きく是正される銘柄があいつぎました。
依然として割安に放置されている銘柄は多々みられるので、そのような投資妙味を感じる個別銘柄に対して買い進めたいと考えています。
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また更新していきますが、先月時点の日本株ポートフォリオです。
音声番組で話してきた日本株への認識です。
多数の要因に左右されますが、割安さが是正されれば、中長期的には十分あり得る数字だと認識しています。