高値から60%下落、ジンズホールディングス(3046)は買いか

株価チャート(出所:Yahoo!ファイナンス)
アイウェア大手「ジンズホールディングス(3046)」を購入しました。
※アイウェア:メガネなど、眼や眼元を装飾する品物の総称
今後の成長を期待できる点がいくつか感じられます。直近の状況は、以下のとおり。
- JINSは2001年にアイウェア事業へ参入から23年目。売上高は約700億円、世界で約700店舗(うち、海外約240店舗)を展開
- 08年から19年の11年間で売上高を62億円から618億円に。約10倍の急成長も、その後は収益が伸び悩み、コロナ禍も重なって業績が停滞気味
- 株価は2021年につけた高値8,890円から約60%下落
同社に対する注目ポイントとしては、以下4つ挙げられます。
- アイウェア市場の成長
- メガネのファッション化・多機能化
- 「JINSは2005年のAppleに似ている」
- 月次売上がついに成長軌道か
① アイウェアは今後6%以上の成長を見込む
まずアイウェア市場全体としては、株式会社グローバルインフォメーションによれば、以下のような調査が出されています。
- 世界のアイウェアの市場規模は、2022~2028年の期間中に6.0%以上の健全な成長
- 主な要因は、老齢人口の増加、農村部での視力障害に対する政府の取り組み、視覚障害の増加、目の欠陥など
- ファッショントレンドの上昇や、様々なタイプのアイウェアの需要の高まりは、市場の全体的な成長を促進する可能性が高い
- しかし、レーザー治療の急増は、予測期間にわたって市場の拡大を阻害する可能性
上の太字で示したように、個人的に興味深いのは、メガネが「実用からファッション化」していることです。
② メガネのファッション化・多機能化による、「1人2枚持ち」
最近ZoffとJINSに行きましたが、特徴が以下のように異なります。
- Zoff:従来のメガネの機能(視力向上)がメイン
- JINS:多様な用途に合わせたメガネがある
チークカラーレンズ
実店舗に行くと、以下のように「こんな眼鏡もあるんか~」と感じる、他社とは一線を画すラインナップでした。

JINS店舗にて
- チークカラーレンズ
レンズの下部分に色味を入れることで、頬の血色がよく見え、肌を明るく見せる「チーク効果」がある
お化粧のようなファッション性を帯びるか。
各種アウトドアに合わせたレンズ

JINS店舗にて
- ドライブ、ランニング、トレッキング、ゴルフなど多様な用途に合わせたレンズ
私もスキーをやってきたのですが、雪目のよく見えるゴーグルは格段に重宝します。眼鏡もそういう感じで高機能化しているようですね。
サウナ用メガネ

JINS店舗にて
- サウナでも着用できる、耐熱メガネ
サウナ入るときって確かにメガネを外す必要があって、場所によってはメガネ置き場が入口になくて困ることがあるかと思います。そういうニーズに応えた商品なのでしょう。
以上、「メガネのファッション化・高機能化」といった特徴がJINSには見られます。
今までメガネは単に視力補助という機能で持つもの、つまり1人1本でした。しかしファッション化と多機能化で、用途にあわせてメガネを複数持つという需要の掘り起こしにつながるか、というところ。
③「今のJINSは、2005年当時のAppleに似ている」

出所:ジンズホールディングス
最大の注目点は、米アップルのデザイナーが、2023年6月にJINSの主要幹部に就任したことによる変革です。
JINSは6月1日、Appleの前クリエイティブ・ディレクターのポール・ニクソンをグローバル・チーフ・クリエイティブ・オフィサーに迎えた。スティーブ・ジョブズやティム・クックらと共に働き、Appleのプロダクトデザインや企業文化を醸成する役割を担ってきた人物だ。
ニクソンは「今のJINSは2005年当時のAppleに似ている」と語る。(中略)
ニクソンが在籍した約18年間で、Appleの時価総額は03年の300億ドルから22年11月の退社時には2兆5000億ドルまでダイナミックな成長を遂げた。まさにAppleの躍進に大きな貢献を果たしてきた人物の一人だ。
世界で成長する強い企業には、優秀なクリエイティブ・ディレクターの存在が欠かせない。経営者やチームとともに、商品やブランドだけでなく、顧客体験や企業の未来までデザインしていく重要な存在だ。JINSは6月1日、Appleの前クリエイティブ・ディ...
JINSのトップ、そしてニクソン氏が意気投合し、根本から変革し、高い熱量で企業理念の実現をめざしていることがうかがえる記事です。
④ 月次売上が伸び始めている

2023年8月期 上半期決算資料(出所:同社IR)
- 既存店売上は、コロナ禍以降は落ち込み、復調傾向
実際、先日発表された月次売上高は既存店で約10%と高い伸びを見せ、株価は10%近く上昇しました。この勢いが続くのか、注目されます。
海外は主に中国、台湾

2023年8月期 上半期決算資料(出所:同社IR)
- 海外展開は主に中国と台湾で、足もとでは中国が回復傾向、台湾は好調維持
4月に通期予想を下方修正

2023年8月期 上半期決算資料(出所:同社IR)
- 4月に発表した上半期の決算で、通期予想を下方修正・減配
つまり足もとの状況は悪く、上段で述べてきたような要素を追い風に、今後どうなるかという局面です。

2023年8月期 上半期決算資料(出所:同社IR)
ただ、コロナ禍の前年よりは復調を予想している、といったところですね。
まとめ
- JINSは2001年にアイウェア事業へ参入から23年目。売上高は約700億円、世界で約700店舗(うち、海外約240店舗)を展開
- 08年から19年の11年間で売上高を62億円から618億円に。約10倍の急成長も、その後は収益が伸び悩み、コロナ禍も重なって業績が停滞気味
- 株価は2021年につけた高値8,890円から約60%下落
- アイウェア市場の成長
- メガネのファッション化・多機能化
- 「JINSは2005年のAppleに似ている」
- 月次売上が成長軌道へ入るか

株価チャート(出所:Yahoo!ファイナンス)
株価はもはや8年前と同じ水準まで低迷しています。
国内のメガネ需要の取り込みが頭打ちとなるなか、新しいなにかを模索していたところにアップルのデザイナーとの意気投合での招聘。
アップルのような成長の再現なるか、という化ける可能性に賭けるかたちで購入としました。
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