【DPZ】ドミノ・ピザ、過去10年で最も割安
2023年6月14日現在、米宅配ピザチェーン大手ドミノ・ピザ(DPZ)は、1株利益13.28ドルに対し株価305ドル。したがって、株価収益率(PER)は23倍。
PER23倍という値は、過去10年で最も低く、PERの観点にかぎれば現在の株価は割安と言えます。
下図は、上から順に「①株価・②1株利益・③PER」の推移を表しています。
同社はこの10年、PERが30倍以上の株価でしたが、ここに来て23倍と指標上は割安感があります。
もちろん、一般的にPERが下がっているときは、
- 競争激化による利益の低下を織り込む動き
- 景気後退による需要減
などの先行きの暗さが背景にあるケースもあるたため、必ずしもPERが低いからといって割安とはかぎりません。
たとえば直近のトピックでいえば、学生ローン返済再開によって、小売りや外食産業の需要が低迷する見方があります。
米国で学生ローン返済再開が刻々と迫っている。多くの市民は厳しいやり繰りを迫られる家計への打撃に身構えている。
バイデン大統領が3日署名した連邦債務上限に関する法律には、学生ローンの3年間返済休止措置を終了する条項が盛り込まれた。ローン返済は8月末に再開される予定。
既に家計がひっ迫している多くの人々は出費が増えることになる。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時の返済休止前に返済が遅れていた借り手比率は15%余りだったが、債務救済措置がないまま返済が再開されれば、この割合はさらに上昇する見通し。
バイデン氏が発表した借り手1人当たり最大2万ドル(約280万円)の債務免除計画がたとえ連邦最高裁で認められても、債務を完全に帳消しにできるのは借り手の45%に過ぎず、残りの人は毎月の請求額が急増する。
業績低迷をメインシナリオとしなければ、妙味あるか
ただ、個人的にはドミノピザで300ドル台割れ~前半の水準は、興味深いところです。
2021年始の当時は、300ドル台後半で拾い、2022年に400ドル台半ばで売却。当時400ドル台割れでもコロナ禍で絶好調ゆえに割安感がありましたが、現在は約300ドルと安い水準。業績の悪化を見込まなければ、妙味があるのではないか、というところ。
ただしもちろん、米GDPのうち投資はすでに金融引き締め以降落ち込んでおり、消費にも今後金融引き締めの影響が大きく出て、米国内の業績が低迷する可能性はあります。
多額の資本支出を必要としない業態
マクドナルドはこの数年でフランチャイズ化を進めて利益率を上げました。ドミノ・ピザも約99%の店舗が独立系フランチャイズです。
フランチャイズゆえ、多額の資本を必要とせず、ブランド価値による収入(ロイヤリティ)を得ることで、現金を多く確保できる傾向があります。
旺盛な自社株買い
実際、ドミノ・ピザは自社株買いが多く、発行済み株式数は2005年から半減。これによって1株あたりの利益と配当は増え、株主のリターンは向上することになります。
配当
配当は直近5年で倍。ただ、コロナ禍で絶好調だった反動か、2023年の増配率は10%と減速しています。
まとめ
- PER23倍であり、過去10年で最も割安な水準
- 今後の業績低迷を見込まなければ妙味ありか
- 業態上、一定の自社株買いと増配が見込まれやすい
※追記:6/15に株価は6%上昇。投資銀行Stifelの目標株価引き上げを材料視か。
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