米国株は急激に楽観へ振れた状態
個人投資家の心理を表す「AAII Sentiment Survey」によれば、米国株市場は足もとで大きく楽観へ振れた状態となっています。
市場心理:2022年以降、最高水準の楽観へ
1つ目のグラフは1987年~で、2つ目のグラフは2022年~です。2つ目のグラフを見ると、投資家心理とS&P500に相関性を確認できます。
とくに2022年以降はFRBの金融引き締め期で、足もとではじめて市場心理が+20%という楽観的な値を示しました。
米CPIの雑感:コアインフレ率は依然高い
昨夜発表の米国物価指数(CPI)は、全体としてはやや減速したものの、内訳を見るとエネルギー・食品による寄与度が大きく、エネルギー・食品を除くコアインフレは前年比上昇率5.3%。3月の5.6%、4月の5.5%から低下したものの、依然として高い水準です。
したがって特に楽観する内容ではないと思いますが、S&P500は堅調で市場はおおむね好意的に受け止めているようです。
しかしコアインフレが下がらないことには利下げに転じても先延ばしにするだけであり、基本路線としては小休止をはさむにせよ、利上げ余地は本来まだあるだろうという見方ができる数字でした。
金利先物:市場は「理想的な状態」を織り込む
市場は次回FOMCがある7月に利上げ、2023年末まで横ばい、2024年から利下げを見込んでいます。
つまり、あと1回だけ利上げをすればインフレが減速し、減速傾向が続いて2024年になれば利下げに転じると予想していることになります。
本当にそうなれば金融市場にとってもFRBにとっても、かなり理想的ですね。ただ逆に言えば、現在の市場は「理想的な状態」を織り込んでいる状態であり、仮にその通りにいかなければ楽観は打ち消されることが予想されます。
引き続き米国株は長期資金のみを残して、慎重な見方を維持したいと個人的には思っています。