上昇局面が続いた後の調整局面でみられがちな投資家心理

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上昇局面が続いた後の調整局面で見られがちな投資家心理

上昇局面が続いた後で、調整局面となった時に往々にして起こる投資家心理があります。

それは、「今回も下がったところで拾えば、反発で利が乗るだろう」という心理です。

「今回も下がったところで拾えば、結果オーライ」という成功体験

この心理は、

  • 自分で口に出して「うんうん、今回も下がったところで拾えば反発で利益がさらに増えるだろう」というわけではなく、
  • 頭の中で考えて、人によっては反射的に投資行動を起こすことにもなるので、
  • 「自分がそういう風に考えて購入ボタンを押した」と明確に客観視できていないことも多々あるでしょう。

投資家心理や投資行動というのは、自身であまり明確に客観視していない中で起こることもあるため、自分がそのような心理で投資行動をおこなったと認識できていない場合があります。

本記事の主旨をもう一度述べておくと、「上昇局面が続いた後で、調整局面となった時に往々にして起こる投資家心理」です。

この局面でさらに厄介なのが、「上昇局面が続いてきた」という事実です。つまり、「一時的に市場が調整しても、そのあと上昇トレンドに戻ってきた」という経験が直近に至るまでよくも悪くも自身に蓄積され、目にしてきたということです。

これはどういうことを意味するかと言えば、「調整しても、まもなく上昇トレンドに回帰してきたので、調整したときに株式を買えば、それが成功体験になってきた」ということを意味します。この何度かの成功体験が、当人の判断を中立的にさせづらくするのです。

特にコロナショック初期は私もふくめて、経験の長い投資家もそのような感覚におちいっていることが散見されました。端的に言えば「今回も下げは限定的で、買えば上がるだろう」というような感覚です。

そして結果的に、コロナショックにおける買い付け第一弾は時期尚早でした。何度かブログで自戒を込めて述べてきた通りです。買付第一弾は早かったです。

それまでの経験を踏まえ、弾を切らさないように一気に入れすぎず、徐々に入れていったことに加えて数か月という超短期でのちに相場が急反発したので結果オーライではありました。

しかし仮にその後に長期低迷していた場合は、拾うのが早すぎると中期的には資産に対して相応の禍根を残すことになります。

SNSに注意

また、現在はSNSがあります。

投資家は似た状況の投資家をフォローする傾向がみられます。その場合、耳障りのよい言葉に目を向けがちです。投資家同士で励まし合うことは、長期投資を続ける上で時に好影響をもたらすこともあるでしょう。

一方で当人の目を曇らせる要因にもなり得ます。投資家はその利害関係上、将来の良好なリターンを期待するため、心理的に市場に好都合な見解や情報が耳目を集めやすくなります。そうした情報に日々接しているうちに、楽観に支配されてしまうリスクが同時にあるということも認識しておいた方がよいと思います。人は日々接する情報や環境に多分に左右されるのです。

また、人にもよりますが投資情報の発信者というものは、楽観的な見方や市場に好意的な見方を示した方がアクセスも評価も短期的に見込みやすいでしょう。ゆえに、楽観にやや傾いたポジショントークも働きやすくなることには注意が必要です。この点も認識した上でご覧になった方がよいでしょう。

現在の状況を確認

では現在の状況を確認しておきましょう。下図はS&P500のチャートです。

2022年始4,800から一時的に4,250近傍まで10%超の下落。そして4,600まで半値戻しに近い60%ほど戻している状況です。

このような状況のとき、「やっぱり今回も反発した。米国株は下げた時に買っていれば報われる(‥①)」と思いがちです。

確かに過去その通りで今回もそうなる可能性はあります。ただし上述①のような心理的処理の仕方というのは私はおすすめしません。そのうち必ずそうならない局面が来るからです。ましてや金融緩和という株価の強力な推進力となってきた金融政策が転換点を迎える可能性がある今なら、なおのことです。

下落局面は、何度かの反発を経て下落していく

下落局面というのは、反発を何度か繰り返しながら下落していきます。

今回が下落局面かどうかは現時点では不明ながら、いくつか過去の事例を確認しておきましょう。

2001~2002年

2008~2009年

2018年

いずれの下落局面も、約20%の反発をはさみながら時間をかけて下落しています。

仮に今回が下落局面入りとなる場合、直近の反発でトレンドが転換したと考えるのは尚早であり、楽観するには早いという状況です。

繰り返しながら、金融緩和という株価の強力な推進力となってきた金融政策が転換点を迎える可能性がある今、安易に直近の反発に大きく乗ろうとする投資行動は相応の注意を要すると思います。

もちろん、今までの米国株の推移としては、低迷しても長期では上昇を続けてきました。これは長期投資家にとって強力な心理的支えであり、よりどころになりやすいと思います。

ただしいずれにしても特に上昇相場が続いたあとは気が大きくなりがちです。常に客観視はしておいた方がよいと思います。長期低迷の可能性もゼロではありませんから、くれぐれもリスク点検と資金管理は冷静にしておいた方がよいと思います。これは今の状況でなくとも平時から同じことが言えますね。

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