S&P500、数字上は過熱感も見られる
先日、「ダウ平均株価が団子天井を形成中か」と記した以降も、米国株は好調が続いています。
一部指標を見てみましょう。過熱感ある数字も見られます。
ただし、数字は数字であって、過度に依拠するのも考えもの。1つの材料として適度な距離で見ておくことがよいと思います。
たとえば、後述しますが予想EPSや予想PERを用いて足もとの割高・割安は判断するに適していません。
なぜなら、予想EPSは外部環境が変わればいかようにでも変わるからです。コロナショック・リーマンショックでも年初の予想EPSは、のちに大きく下方修正されました。
S&P500、PSRは最高値を記録
さて、S&P500におけるPSR(price/sales ratio)が2021年6月28日以降、最高値を記録しています。長期平均(1.55)、5年平均(2.26)を上回る3.12まで上昇。
Price to Sales Ratioの略称。株価売上高倍率。時価総額を年間売上高で除したもの。
この倍率が高いほど、株価は割高と判断される。
債券スプレッドは2007年以来最低を記録
下図は、ハイイールド債・投資適格債の利回り差(スプレッド)を表しています。2007年以来の最低水準を記録しています。
これは、リスクの高いハイイールド債にも資金が流れていることを表し、投資家がリスク選好的になっていることを示唆します。
以上2つの指標からは、市場は非常に好調であり、過熱感のあることを示唆しています。
これがどこまでいくのか、はたまた調整されるのか、というところですね。
予想EPSに基づいて足もとの割安・割高を判断するべからず
ちなみに、リーマンショック前もコロナショック前も、予想EPSに基づいて割高ではないという見解もみられました。
ただし冒頭に述べたとおり、予想EPSというのはあくまで予想であって、ショックが起きると大幅にのちに修正されるのは往々にしてあることです。
「下がったら買えばイケる」は、毎々奏功するとはかぎらず
もうひとつ、コロナショック前に起こっていたことを振り返っておきましょう。
2018〜2020年は、調整や急落が起こっても、すぐにリバウンドして上昇局面へ回帰ということが何度もありました。
「今回の下げも大したことなかったな」となるのです。これを何度も経ていくと、人間は「下がったら買えばイケる」という確信を深めていきます。
それを何度かやったあとで、往々にしてコロナショックのようなことが起きることがあるのですよね。
すると、結果的に第一次の買い出動が早くなる事象がみられます(私も1回目の買い出動は早かったです)。
いずれにしても慢心は禁物と思います。悲観になりすぎず、楽観になりすぎず、ポジションと傾けすぎず、どちらに転んでもよいようにしておくのが個人的には心地よいと感じます。
コロナショック後はあまりに好調すぎます。こういう時こそ現金比率を徐々に上げていきたいと思っています。
Best wishes to everyone.
関連記事
信用スプレッドは、投資家心理を表す指標とされています。
こういった低迷時期も存在します。一例としてご参考まで。
とはいえ、将来成長性に賭ける場合は、つみたてを継続することが合理性を帯びます。