幸福感につながる、お金の3つの使い方
- 「価値観や信条に沿うものに金銭を投じ、そうでないものには投じない」
という私の資産形成期における基本スタイルであってきた、支出の最適化。
FIRE後は、前半部分である「自分の価値を感じるものに金銭を投じる」という部分に、より重点を置くことになります。つまり「どう使っていくか」という部分です。
お金はあの世には持っていけません。どのように “生きた使い方” をするのかも大切なことですね。
では、幸福感につながるお金の使い方とは、どのようなものでしょうか。
① 経験を買う
モノより経験に使った方が幸福の持続時間が長い傾向がみられます。
都内のよいマンションに住んだり、高級レストランに行って感じたのは、「幸福の持続時間が限られている」ということです。
レストランはその日中、マンションは数か月で、その効用は逓減します。人間はよくもわるくも慣れてしまうのですね。
対して経験は、以下3点が顕著です。
- 人生が広がる
- 個性が出る
- 共有できる
経験:人生が広がる
経験は、人生に広がりを持たせます。物事の両端を知っていれば、持てる観点の幅は広がります。
除雪でも、トラクターショベルの作業を見ている人と、実際に乗って仕事としてやってみた人では、観点・経験・知見・勘所・大変な点・気苦労など、まったく見える部分が異なってきます。大変だと知ってるからこそ、お歳暮のひとつでも、となるでしょう。
この経験が増えれば増えるほど、その立場の人に対する想像力が働きやすくなるのではないでしょうか。
人の特徴的な嗜好や考え方というのは、なんらかの背景が必ずあるとみてよいと私は思います。その想像力を働かせるには、多様な立場に立てることが欠かせない。
経験:個性が出る
経験は個性が出ます。たとえば就活でもポイントになったのは「今までの人生でどんなことをしてきたか」という経験がひとつあるでしょう。
同じ留学をしても、どれだけ個性的な過ごし方をして、多くの人と異なる経験を積んだかは大きな分水嶺になります。
どういう経験を積んだか。それ自体に個性が反映されます。経験の内容それ自体が、人の個性を個性たらしめると思います。
経験:共有できる
経験は、共有することができます。
独りで得た経験と、他者とともに得た経験。
両方たいせつですが、他者と得た経験は、経験知・感じ方の違い・反応の違い、そのすべてが独りの時とはまた異なる発見をもたらしやすいと思います。
同一の事象に対して異なる観点を知ることができるからです。女性は女性に厳しく男性は男性に厳しくなりやすい、なんてことも男性だけでは知り得ないことではないでしょうか。
② 禁欲したものに使う
人間は、快楽を享受し続けると堕落する傾向もみられます。
なんでもやりすぎは禁物ですね。
人間は先史時代からの悠久の時を経て遺伝子が淘汰されてきました。テクノロジーが急激に進化し、飽食の時代も長い歴史のうちのほんの一瞬に起きた変化です。
私たちの脳は、原始時代から大きく変化していないでしょう。「本能のままに生きると、節度が時に必要になる時代」になったと言えます。
- 食べすぎ
- 飲みすぎ
- 運動しすぎ
いずれも臓器・身体を痛めつけることになります。
対して、適度に禁欲した後に得たものは、追加的な愉悦をもたらします。日常生活に適度に禁欲を組み込むと、QOLは向上するのです。
たとえば、船員の夫婦は、夫婦関係が良好である一因に「夫が洋上勤務なので、会えない期間があるから」が挙がりますね。
これもある意味で、適度な禁欲です。「週末にだけ会う夫婦」といったスタイルが、一時期注目されましたよね。これも同様の原理と思います。
- 「確実に得られる」と事前にわかっているもの
- 既に何回か得たもの、「あたりまえ」になっているもの
こういったものには、満足感や幸福感は徐々に下がっていくものですね。対して少し切り口を変えて、ちょっぴり我慢したものに使うと、満足感の向上や幸福につながるお金の使い方にもなると思います。
③ 他者のために使う
FIREして以降、近しい人や友人など他者にご馳走することが増えました。
書籍執筆に際して、金融・法律・税務・初学者目線などの領域で友人の意見は非常に参考になりました。書籍にかぎらず、近しい人や友人から多くのことを学ばせてもらっています。先日は、ある固定資産を家族にプレゼントしました。
なにも打算的なものではなく、「感謝を示す1つの形」という位置付けです。
自分のためにお金を使う、これももちろん1つのお金の使い方ですが、一方、他者のために使うと、結局は自分の満足度もそれ以上に上がるんですよね。
これは実際に研究結果としても出ています。
カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究によると、以下2つのグループに分けて実験がされました。
- 自分のためにお金を使うグループ
- 他人のためにお金を使うグループ
①のグループは、化粧品や食べ物・アクセサリーなどを買いました。
②のグループは、友達に食べ物を買ったり、兄弟におもちゃを買ったり、寄付をしました。
両グループの幸福感を測定すると、結果は後者の方がはるかに高い満足感が認められました。
実証結果として知らずとも、なんとなく「そうやろなぁ」と思う方も少なくないのではないでしょうか。もちろん子供もいわばその対象のひとつになるのでしょう。
おそらく人生を終える頃には、「自分がなにを得たか」ではなく、「他者になにを与えたか」「他者になにを遺せたか」が大きな要素になってくるのではないでしょうか。
まとめ
以下再掲します。
- 経験を買う
- 禁欲したものに使う
- 他者のために使う
やりすぎない範囲で、バランスよくこれらの要素を織り交ぜて金銭を使っていくと、より満足度の高い生活につながりやすいのではないでしょうか。
お金は貯め込んでもあの世に持っていけないばかりか、突然明日この世から去るかもしれないのです。
だからこそ日頃から他者や家族になにかを遺していく姿勢は追加的な意義も生じるのでしょう。
やはり何事もバランスが大事であり、資産形成期を終えた後は、日頃から生きた使い方を意識することがたいせつだと思います。
Best wishes to everyone.
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幸せというのは、絶対的なものもあれば、相対的なものもありますね。何が自分にとって大事でしょうか。ラオスのお話です。
お金というのは手段ですね。ほかのあらゆる手段についても、受動的ではなく、能動的に選択することが重要と思います。