まとまった資金を、どのような時間軸でETF・高配当株に投じていくか

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2019年7月に記したものです。当時のような相場好調時こそ、やはり保守的にいきたいところです。

相続財産である定期預金2,000万円を、どのようにETF・高配当株に投じていけば良いか(なるべく含み損を抱えたくない)

このようなご質問を頂きましたので、回答申し上げます。

ご質問

題名: 定期預金の投資先について。

メッセージ本文:

三菱サラリーマンさんこんにちは。

いつもブログを楽しく拝見させていただきます。

私は、主に個別株に値上がり益重視で投資しているのですが、三菱サラリーマンさんのブログを拝見しているうちに、配当金目的での投資にも興味を持ち初めています。

4年前程に契約した10年定期預金(1,000万×2本)があるので、それを解約し全額投資したいと考えているのですが、三菱サラリーマンさんなら、どのようにETF、高配当株に振り分けるでしょうか。

ただ、この定期預金の原資は、祖母の相続財産であり、なるべく含み損をかかえたくない気持ちが強いです。

なので、一度に購入するのか、何年にも分けて購入すべきかなのかもわからず、この度問い合わせさせていただきました。

僕は、現在30歳ですがおそらく死ぬまで配当金を再投資して、将来の孫に引き続いであげればくらいの気持ちなので、配当金を生活に充てるというよりかは、定期預金以上の金利で堅実に増やしたい。という考えになります。

突然の質問で大変恐縮ですが、何卒、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。

まとまった相続資産を、どのような時間軸分散にてETF・高配当株に投じていくか

ご質問ありがとうございます。

値上がり益重視でしっかり結果も出ていらっしゃるのであれば、それはそれで素晴らしいことだと思います。

配当金目的での投資も、定期預金が追加で2,000万円あるのであれば、十分スケールメリットが生かせる規模感だと思います。

そして、

  1. 2,000万円を時間軸的にどのようにETF、高配当株に振り分けるか
  2. また含み損を極力抱えたくない

ということで理解しました。

高値掴みリスクを避けつつ、長期投資でリターン享受

まず現在の米国株(VOO)は下図の通り、随時高値を更新しているほどの好調さです。

また、景気拡大期間は2019年7月に120か月を超えて最長を更新する勢いです。

短中期的に上昇を見込み、利益確定をする場合は一括で投入も一案ではあるものの、あくまで長期目線では一括で2,000万円を投じるのは、おすすめしづらいです

高値掴みになるリスクを抱えるからです。やはり王道としては、今後たとえば3年間にわたって毎月定期的に定額を積み立てるかたちが一案と思います。

高値掴みになるリスクを一定程度抑えられるからです。

ただ、含み損を極力抱えたくないということですが、これは株式投資をする以上は、どこかの局面で直面するリスクは常にありますし、必ず避けることは難しいです。

ただし、下段に示す通り、「投資期間が長くなればなるほど、損失を被る可能性は小さくなる」という過去データがあります。

【日本株】投資期間20年以上で元本割れリスク消失したケース

例えば、下表は「1966年~2005年における東証1部上場の時価総額による加重平均収益率」のブレ幅を表しています。

要すれば、投資期間ごとに「リターンが最も良かった年のリターン」と「リターンが最も悪かった年のリターン」のブレ幅を示し、20年以上の投資期間であれば、マイナスリターンのケースがないことがわかります。

下表の通り、投資期間が長くなればなるほど、最低リターンと最高リターンのブレ幅も収れんしていき、リターン幅が安定していきます。

投資期間 最低リターン 最高リターン
1年 -24.8% +72.1%
5年 -7.3% +32.9%
10年 -3.5% +22.8%
20年 +4.4% +20.5%
30年 +6.8% +12.8%

では米国株はどうでしょうか。米国株も同じ傾向が確認できます。

【米国株】投資期間15年以上で元本割れリスク消失したケース

下図は1988~2016年における、投資期間別の米国株(S&P500)の年率リターンのブレ幅です。

米国株においても、日本株と同様に投資期間を長くとればとるほど、リターンのちらばりが収れんしていきます。

そして、投資期間が15年を超えると最低ケースのリターンでも+1.7%となり、元本割れするケースが消失しました(あくまで当該抽出期間において)。

投資期間 最低リターン 最高リターン
1年 -48.7% +60.7%
5年 -8.6% +29.2%
10年 -3.6% +19.0%
20年 +1.7% +11.3%

もちろん抽出期間によって当然、数字上のデータは異なりますし、今後を保証するものではありませんが、傾向をつかむには良いでしょう。

よって、やはりある程度は株式投資というのは長い目で見る必要があるとも言えます。この10年間は相場が概して好調でしたから忘れそうですが、相場低迷期というのもいずれ必ず迎えるでしょう。

その際にもどっしり構えておく必要があります。そのどっしり構えるためには、やはり配当金はその心の支えになるものですね。下落相場でも配当金の再投資による効果がしっかり表れてきます。

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ご質問文にある通り、相続財産であれば、確かに含み損を抱えたくないですよね。

もし、含み損を抱えたくなくて仕方ないということであれば、AGGやBNDなどの値動きがマイルド(それでも含み損を抱えるリスクは株式に比べてマイルドであるものの、可能性は有り)な債券ETFも投資対象にはなってきます。

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しかし債券は株式に比べて長期リターンは低下することが過去データ上明らかになっています。つまり値動きがマイルドな分、含み損を被る幅は限定的という低リスクな一面がある一方、その分リターンも限定的ということですね。

まとめ

まとめますと、以下の通りです。

  1. 高値を順次更新する現在のマクロ環境で一括投資は、やや高値掴みリスク懸念
  2. たとえば3年程度の時間軸で定期つみたて
  3. 株式に投資する以上含み損は避けられないが長期では損失リスク低下傾向
  4. 長期投資する際、配当金投資は仕組み上、好適
  5. 大きな含み損を避けたければ債券ETFも一案

以上ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone!

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公開日:2019年7月7日

コメント

  1. より:

    三菱サラリーマンさん、早速記事にしていただきありがとうございます。

    投資期間が流れければ、元本割れリスクが消失することには驚きました。確実でないにしろ、安心して投資できそうです。

    過去の記事も参考にしながら、数年に分けて投資して行きたいと思います。

    大変参考になる内容でした、ありがとうございました。