FIRE達成が視野に入る場合、どこまでリスクを取りに行くのか
40代 女性
という方からのご相談です。2021年3月に記したものです。
穂高さん、はじめまして。
3~4年程前に、ウェルスナビから投資を初め、コロナ相場の短中
FIREが視野に入ってきたように思うので、今月から色々調べて
お手隙の時に、自分だったらどうするかという視点で、いくつかア
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- 単身女性 43歳
- IT系専門職
- 都心賃貸(趣味の為引っ越し予定なし)
■ 支出
- 年間 250万~200万
■ 年収
- 年収 710万前後(手取り)
- 不動産投資物件 55万(1戸、税・補修費分差し引き)
■ 資産構成
- 401K(全世界)、社債(日本株)、NISAなど 300万前後
- 現物プラチナ 2.5kg 時価税引 950万前後(リーマンショック直後購入)★
- 高配当株 2650万分 税引後利回り 5.46%(日本株・リート:米国株=1:2、145万分程度)
- 米ドル 2000万★
■ 指向性・事情
- 投資志向
元々は投資などに興味が無かったので、逐次勉強中。詳しい人に勧
- 今後の予定
職場環境が悪い現職を辞め、失業手当のコロナ特例と合わせ、1年
その後は週1程度で、スキルを活かした仕事をし、200万程度稼
■ 相談事項
★をつけた資産について迷い中なので、アドバイスを頂けると有り
- 現物プラチナ
⇒ 今換金して投資資金にするべきか。年収が低い時換金するべきか
- 米ドル
⇒ 残り2000万分を、高配当株に回すか、今までと同じグロース
節約寄りに生活すれば、今のインカムでも大丈夫そうだけれども、
- おすすめ銘柄
⇒ 資金を高配当株に振り分ける場合の、おすすめ個別銘柄を教えて
現在の構成は、JT、みらい、タカラレーベン不動産、ARCC、
配当利回りが税引き後、5%後半になるようにしていたり、値上が
※NEEは増配銘柄なのとESGなので、政策対策で少額購入して
配当を気にせず長期積立の場合は、VOOかVTIにするかと思い
本当は中国株やベトナム株なども入れたかったのですが、楽天証券
ありがとうございます。
「高配当株 2650万分、税引後利回り 5.46%」の5.46%という数字は高水準ですね。よい時期に購入されたと推察します。
よい時期に高配当株を購入できれば、インカムもキャピタルも追加的に得られ、心地よい投資を実現しやすい手段の1つと思います。
現物プラチナ
こればかりは後で答え合わせをしてみないとわからないですが、目下の相場環境であれば、コモディティは保有を続ける分散先として、保有継続に一定の意義は見いだせそうです。
コモディティのくくりから、現状を振り返っておきましょう。

主要コモディティの長期トレンド(石油・金属・農産物・畜産)
上図のように、コモディティは過去の傾向として、サイクルが見られますね。
また、上図の通り、CRB指数(代表的な商品先物指数のひとつ)は、「2020年4月時点で1972年以来となる低水準」でした。
その後、下図の通り、2021年3月時点では190まで値を戻しましたが、歴史的には依然として低水準の範疇ではあります。
追記:その後、2022年には311まで上昇。ただしプラチナは横ばい程度。
将来の値動きは不明ながら、株式市場が依然として高位継続であることも踏まえると、保有を続ける分散先としては一定の意義は見いだせそうです。
ただ、いずれにしてもどこまでリスクを取りに行くか、ということですね。株式で、より積極的にインカムを伴ったキャピタル等も求めにいくのであれば、プラチナ売却という展開になります。
私ならば、プラチナで既にキャピタルを得ている状態であれば、売却してたとえば直近やや調整気味だったコストコ【COST】などへ、今後の値動き次第で検討するでしょうか。
米ドルの活用
⇒ 残り2000万分を、高配当株に回すか、今までと同じグロース
株で資産UPを狙うか。 節約寄りに生活すれば、今のインカムでも大丈夫そうだけれども、
米国株の配当がドルで、為替等の関係で不足気味かと思う。でも今 後1年は生活費に困らないのもあり、迷ってます。
また、「単身なのと好きな仕事があるので、ある程度リスクは取ってもよく、余剰資金は基本フルインベスト」とも記載いただいています。
2021年に入り、米NASDAQが調整していますから、グロース株の入りどころとしてはむしろ検討しやすい局面ではあると思います。ただし金利上昇に弱いため、FRBの金融政策に左右されるでしょう。
高配当株は、エネルギー・たばこに限っては、底値から既にずいぶんと上昇しました。コロナショック後と比べると、比較論ながら妙味は薄れていますね。
現在の株式比率は全体の4割強と理解します。私が同じ状況でしたら、保守的シナリオとしては、「ガンガン攻めるステージでないかぎりは、配当で生活をまかなえる額までのETF【VYM】(…※)積み増し程度にとどめ、残りは現金として確保し、相場局面に応じて資金を入れられるように余白を設けておく形」を検討します。
逆にリスク選好的シナリオとしては、もっと多くの資金を入れる形ですね。
補足
私は個人的に個別株を選好しますが、一般的にはETF・投資信託がやはり簡便ではありますね。申し添えておきます。
今は「これは」と思える状況は、市場全体としては見いだせない
個人的な今の投資スタンスとしては、コロナ後のエクソンモービルや、1月末のJALのように「これは」と思う時には資金を大きく入れます。
一方で、ガンガン攻める資産形成ステージでない場合は、「これは」と思う状況でないかぎりは、ある程度の現金を確保して余白を持たせておく方がリスク許容度の観点からは心地よいとは思います。
FIRE達成が視野に入りつつあるのであれば、切迫性はなさそうですね。その前提条件下では、今の市場環境で資金を大きく入れるかと言えば、私なら入れない方に傾きます。大きく入れるのは確度が高い時ですね。
もちろん、市場は往々にして行き過ぎるものですから、それに賭けることも一案ですね。ただし、積極的にリスクをとる切迫性がないのであれば、いま大きく動く必要性もまた見いだせないというのが率直なところです。
結局は、切迫性の有無、そしてリスクをどこまで取りに行くのか(リスク許容度)、というポイントに帰着すると思いますが、いかがでしょうか。
それにしても、目標達成間近ということで、誠におめでとうございます。伴い、わくわくする毎日も間近、といったところでしょうか。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone.
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市場が高位継続である時こそ、意識したい観点ですね。
保守的なポートフォリオを構築するフェーズであれば、以下も選択肢になってきます。
よい時に事前に準備しておくと、着実に実行に移しやすくなりますね。