【書評】デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える (NHK出版新書)
最近、朝日新聞社さんの連載コラムでも「デジタル化の弊害」について私自身が感じていたことを論じたりと、ちょうど私自身もひとつの視点としてどういったことがあるのかを見ておくため、本書を手に取ってみました。
抽象的な概念が含まれますが、以下記しておきます。
デジタル化という現代的事象
まず以下のような内容が記されています。
- デジタル化による功罪、弊害、具体的事象
読んだ感想としては、「教育・行政・政治・経済などにおいて、確かにこういう視点はあり得なくはないよね」といったところでしょうか。
補足
ジャンルによっては多くの書籍に言えると思いますが、内容について「具体的かつ客観的な検証が付されているのか」という点までは不明なため、あくまで本記事の書評内容の一部も「本書の内容が真実であるならば」という前提条件を置いておきます。
そして、いかなる書籍についても内容の真偽を徹底的にただちに検証することは難しいため、後述の通り「こういう視点もあるよね」「こういうシナリオも可能性としては考えられるよね」という形で見るようなスタンスにとどめることとしています。
本書に通底する概念として、「デジタル化する際に、消費者側ではなく、為政者側またはサービス提供側に多大な利得がある」という側面でしょう。
仮に本書に記されていることが真である場合、厳しい状況であるということになります。逆に言えば、個人的にはなんとも言えない部分もあります。理由は黄色背景の上記「補足」の通りです。
新自由主義、個人的利得などに抗えなかったまたは理解できずに追従した人々、そしてそれら状況が継続していくことの帰結としてどういったことが予察されるのか。そういったことも触れられています。
結局デジタルというものはデジタルでしかなく、リアルにはなり得ないと思うんですよね。リアルに密接にかかわってしまってはいるけれども。
「本来の人間らしさを取り戻して、その声を丁寧に聞く」ということがひとつの答案であるように私には思えます。
「本来の人間らしさ」というワードはあいまいですが、要は「人間の脳のメカニズムや進化してきた歴史や経緯を踏まえて、本能(感覚)や脳の反応がどれだけ正しいのか」ということを客観的に把握した上で、物事を判断するようにする、ということです。
端的に言えば「直観にもとづいて行動する」という言葉に集約されるでしょうか。
脳のメカニズムがある程度すでに解明されている以上、サービス提供側やデジタル化によって、ある程度は人々の脳は程度の差はあれハック(操作または侵食的な意味合い)されやすい状況です。
その状況を自分で認識した上で、どれだけ受動的ではなく、中立的・主体的な判断ができるのか、ということです。
「まずは色々な情報を集め、知識や潜在的なシナリオとして蓄積し、それらの集積された情報をもとに自身で主体的に判断していく」ということを愚直に繰り返すことが一案ではないかと思います。
資産的リセット
テールリスクのひとつのシナリオとして、いわゆる経済的または政治的な「リセット」ということも頭の体操として、片隅に入れるのもひとつでしょう。
そういったお話も本書では軽く触れられています。これも「ひとつの視点として、あり得なくはないよね」というシナリオです。
こういう時は、実現性の議論はひとまず置いて、潜在的なシナリオのひとつとして自分の中にストックしておく感じですね。
リスクを回避するには、「種々のシナリオをある程度は自分の中でストックしておき、それらを集積し、紡いで、できるだけ全方位的なかたちで事前に対応策を構築しておく」ということが言えると思います。
情報の処理の仕方
いずれにしても私は基本的に、「なにかを直進的に信じる」ということは避け、「1つの視点としてストックして、のちの判断材料のひとつとして吟味する」というかたちを基本的なスタンスにしています。
情報の処理の仕方として、おすすめできる方法だと思います。本書にかかわらず、あらゆる情報に触れる際に意識してみてもよい点ではないでしょうか。
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