日本の高配当株ETFに投資してこなかった理由

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日本の高配当株ETFに投資してこなかった理由

高配当株ETFは、米国の高配当株ETFだけではなく、日本にも高配当株ETFがあります。

日本の高配当株ETFについて、少し例を見てみましょう。

下図は、野村アセットマネジメントが示す、日本の高配当株群のパフォーマンスがよかった一例(1995~2019年)です。


リバランスあり・配当込みのトータルリターンにおいて、理論的に「配当利回りが高い株の方が、配当利回りが低い株式よりパフォーマンスが高かった」期間になります。(ただし、業種分散・取引コスト・税考慮なし)

ちなみに高配当株は、日本に限らず下図の通り米国株でも、1957~2012年において同様の過去傾向がみられました。

出所:Jeremy J. Siegel, Stocks for the Long Run” 5th Edition, McGraw hill 2015 Figure 12-2, Returns to S&P500 Stocks Ranked by Dividend Yield, 1957-2012, page 180-181

ただし、中立を期すために述べておくと、この手のシミュレーションは、「税考慮なし」であるため、やや差し引いて考える必要もあります。トータルリターンは抽出期間によっていかようにも変わるので、あくまで中立的に数字の「一例」としてご理解ください。

さて、以下ご質問をいただいています。

ご質問

日本株の高配当ETFについて

はじめまして。

いつも貴ブログを楽しく拝読しております。

タイトルのとおり日本株の高配当ETFについて気になり調べているのですが、関連する記事がなかったように思いましたので、質問させていただきました。

私は30代サラリーマンで2020年後半あたりから資産運用を開始し、現在は米国高配当ETF(HDVとSPYD)をNISA口座2つを活用して毎月10万円ずつ積み立てております。

ただ、配当金の通貨や為替リスクの観点から、日本の高配当株への投資を検討しはじめています。

ただ個別株の分析や分散投資の観点からETFを活用できないか模索しているところです。

三菱サラリーマン様のブログを読ませて戴いた中でも、日本のETFについて触れられておらず、おそらく何かしらが原因で投資対象にはなっていないものと推測しております。

私が思うには

  1. 株価の上下が激しい
  2. 信託報酬が割高(米国ETFに比べて)
  3. 日本経済の成長に期待しづらい

あたりかなと思っています。大変長くなり申し訳ありませんが、何かしら理由がありましたら、コメントしていただけるとありがたいです。

今後もご活躍を期待しております。失礼いたします。

上記ありがとうございます。

回答としましては、③が最も近しいと思います。

ETFを保有するということは、どういうことか

ETFというのは、それなりに流動性を持つ株式を多く保有することになりますね。

必然、個々の企業選別ではなく、企業群に資金を投じることになります。すると、傾向としてたとえば日本の高配当株ETFであれば、個別企業というよりは、日本の総体的な資本市場・日本企業群によるインパクトが応分に大きくなりますね。

「安心できるか」「目配りがどの程度必要か」といった観点

米国ほどの新陳代謝が起きていない日本企業群に投資する際には、目配りが欠かせないと思っています。ETFである以上、運用資産会社によるスクリーニングが入るので一定程度は安心です。

ただし、日本の投信の高かった手数料といった沿革などを考えると、どこか安心しきれない部分があります。ゆえにETFであっても日本株の場合は、

  • どこか長期的な上昇をメインシナリオとして据えづらい
  • スクリーニングが適切になされているか等の目配りは欠かしづらい

と個人的には感じます。

ETFであるのにも関わらず、目配りが欠かせないと思わせるものがある」というのは、ETFの大きなメリットである「多大な注意力・時間をかけずとも一定の分散を図りやすい」という点が打ち消されてしまっています。

未来は不明であるため、日本の高配当株ETFを全面的に否定するスタンスではありません。ただ、米国の高配当株ETFと比べると長期投資という観点からは「心地よく継続できるか疑問符あり」というのが正直なところです。人口動態のインパクトも然りです。

であれば、日本の場合は個別株、またはインフラファンド・優待株といった日本ならではの特徴がある株式に投じた方が、納得感があると個人的には思います。

日本の高配当株ETFで良好なパフォーマンスを示したものも

なお、中立を期すために申し添えますと、日本の高配当株ETFも良好なパフォーマンス自体はみられます。

たとえば、日本高配当株ETF「野村日本株高配当70」は、2018年時点で過去7年間の年率運用成績は9.4%で、TOPIX(4.2%)を上回っています。

ですから、日本の高配当株ETFそれ自体が、投資対象に適さないという理由にはならないとは思います。

ただ、私個人の嗜好というか、

  • 『長期投資において、重要な要素と考えている「精神面への配慮」という観点からは、日本高配当株ETFには食指が動かない』

という言葉に集約されそうです。

ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone.

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公開日:2021年2月2日