私がFIRE達成するまで、インデックス投資をしてこなかった理由
ついに、ついに、7年半毎日思い描いていたセミリタイアを実現しました。振り返れば、労苦ありとも実り多きサラリーマン人生でした。愛すべき豚舎を含め、全てに感謝です。
【念願】30歳で本当にセミリタイアしました。【FIRE】 https://t.co/uvR6aKuC8C
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) October 18, 2019
私が上記FIREを達成するまで採ってきた投資手法は以下の通りです。
- 支出の最適化を通じて、給与の約8割で「高配当株・連続増配株・Jリート・インフラファンド」などを買い続ける
シンプルに言えば、こうなります。つまり、インデックス投資を避け続けてきました。
なお、ここでいうインデックス投資とは、いわゆる【VTI】【VOO】といった市場全体またはS&P500に連動する投資信託またはETFに投資することを指します(VTIは厳密にはパッシブ投資)。
インデックス投資は、「最も一般的に勧めやすい投資手法の1つ」であり、「理論上の最適解と呼べる対象の1つ」です。過去傾向としても右肩上がりで、手間をかけずに市場の平均的な収益を享受することが可能であってきました。
私もブログ開設初期から、以下記事のようにインデックス投資も高配当株と並んで一案として言及してきました。
では、その私がなぜインデックス投資をやってこなかったかを明文化すると、以下の通りになります。
※あくまで、20代の私の状況・目的・環境から過去に導出された私の結論なので、誰しもに適用できるわけではありません。また、インデックス投資を否定する意図もなきこと、申し添えておきます(「どの投資手法が優れているか」という論旨ちゃうで~)。
理由:私のセミリタイアに至るまでの投資目的
端的に言うと、私の状況・環境に鑑みると、インデックス投資は「当時の私の目的には合致しない投資手法・対象」だったからです。
私の目的は以下の通りです。
- 支出の最適化・収入の複線化に取り組むことで、
- 給与から可能な限り多くの額を投資に回し、
- 1日でも早く生活支出を賄える水準の配当金を得た上で、(=経済的自由)
- 自身が望む生き方をする(=FIRE)
もう1度、時を10年前に戻しても、また同じように高配当株・連続増配株をひたすら積み上げ続けているかもしれません。
上記③が私にとって極めて重要でした。
なぜなら、給与を捨て、従来の生き方と決別し、新たな一歩を踏み出す上で、「配当金」という「経済的自由の達成度を測るに明解な指標」は不可欠でした。
私もFIREする際は熟慮を重ねましたが、その時に背中を押した1つの要素は、なんだかんだ配当金という「非常に分かりやすく実感の持てる後ろ盾(≒保険)」です。(減配リスクあるため、分散は必要)
仮に私がVTIに投資していたら、資産がいくら増えても水物であり、配当金という目に見えるキャッシュフローが高位に安定した形で傍らに存在しなければ、FIRE達成時期が後ずれした可能性もゼロではありません。
こういった「実感」を持てる存在は、決断に際して間違いなく1つの材料にはなったでしょう。それなりの配当金を得ている方は、実感としてご承知と思います。
なお、本論から逸れるのでこちらと詳細は拙著に譲りますが、出口戦略が基本的に生じないという点もあります。
ストック(資産)ではなく、フロー(配当金)がなにより重要だった
私のセミリタイアという決断の「経済的な側面」として必要だったのは、ストック(資産額)ではなくフロー(配当金)でした。
ある意味、そう切実に思うぐらい、自由を渇望していたとも言えます…(笑)
私が以前、「5,000万円でもなんの問題もなくセミリタイアできたと思う」と言った背景に、こういったことがあります。フローさえあれば、当時の私にとってストックは大した意味をなさなかったのです。
疑問①:でもでも、「インデックスファンドを定率で取り崩す」のは?
もちろん、拙著でもご案内の通り、「FIREを達成するにあたり、インデックスファンドを購入して定率で取り崩す案」も言及しました。
しかし、理論的に理解できても、私はセミリタイア達成度を測る評価指標を優先しました(そもそも私が投資を始めた頃は自動取り崩しはなかったと理解しますが)。
自動取り崩しを設定しても、下げ相場では取り崩したくなくなる心理が想像可能。下げ相場では、同額を取り崩すために取り崩す口数が増えるからです。そういう局面で、心理的な抵抗が生じ得ます。意志力は有限なので、できるだけ割かずに済めば理想的。
私は心理的に抵抗があることは、やらない。理論を現実化するには、実践できねば意味がなし。こういった極めて人間的な心理的ためらいによる理論行動の未実現は、パフォーマンス低下に繋がります。
そもそも心理的に抵抗あることをやると、のちに後悔する自分も容易に想像可能。アカン。
逆に言うと、取り崩しに心理的な抵抗が生じない方は、この点において無問題ですね。
あくまで「セミリタイア前の私はそうだった」というだけです。将来的にはもちろんインデックス投資をする可能性もゼロではありません。でも多分やらないでしょう。
疑問②:でもでも、「VTI・VIG等でも将来は高配当化する」のでは?
また、VTIも将来的に高配当化(あくまで長期投資による過去の買値基準で)するという論調も理解できますが、私のセミリタイアまでの時間軸には適しませんでした。時間がかかりすぎます。フロー(配当金)ではなくストック(資産)の最大化を狙っているうちに年を重ねて、一歩踏み出す時期が万一にでも遅れたら、元も子もなし(ちなみに、そもそもVYMの方がVTIより増配率は高い傾向がみられます)。
ゆえに、私が拙著でもさらに一案として示したのは、上述取り崩しに加えて、VTI→VYMなどのように、高配当株ETFに移し替える手段です。(もちろん、この手法は手数料・課税等効率性の観点から数的なデメリットもあるも、人生の決断の前にはさして重要ではなし)
投資目的をまず定義してみよう
以上からもわかる通り、結局その人の時間軸と目的(いつまでに、何をしたいのか)が重要だということですね。
こういった部分を抜きにして投資対象を論じるのは、飛車角落ちで将棋の戦略について話し合うようなものです。
だからこそ、私は「そもそも投資の目的・価値観・人生の目標といったものを、まず明確化しよう」と述べてきました。
高配当株だって、人によっては短期的にお金持ちになるに最適とは言い難い側面も内包する投資法です。目的に合った投資を考えたいですね。
20年後に経済的自由をねらう
拙著と一部内容が被りますが、たとえば今から20年後に株式からキャッシュフローを担保したいのであれば、高配当株以外にもVTI等に投資して将来の高配当化も狙いつつ、資産額増大の平均点近傍を狙う形も選択肢と思います。(20年間ちゃんと長期投資を続けられるという「言うは易し行うは難し」な前提条件付きであることに注意)
10年後に経済的自由をねらう
今から10年後に株式からキャッシュフローを担保したいのであれば、個別株に投資しない場合、VYMなどの高配当株ETFが有力な選択肢と思います。拙著でも詳述の通り、高配当株ETFの中で過去に最も安定感が見られたのは、現時点に限ればVYMです。
私はとにかく1日でも早く配当収入を増やしたかったので、個別株で分散して配当収入の積み上げを図りました。
SPYDは、逆ピラミッディングが奏功したので結果的にキャピタルも取れましたが、コロナ以降に限るとタイミングの巧拙が如実に出る上に変動率も大きめなので、人を選ぶ馬。VYMは、現時点では相対的に人を選びにくい馬、とでも言えるでしょうか。
まとめ:投資目的を明確にしてみよう
結局、資産形成は人生における「手段」ですから、その手段を活用して
- どこに到達したいのか、
- いつまでにしたいのか、
- なにをしたいのか、
- なにを得たいのか、
が、やっぱりやっぱり重要になってきます。私の投資哲学では、結局はここに帰着しますね。
要は、投資目的を明確にして、その目的に到達したい時間的制約があるのであれば、投資対象・手法も応分に変化する余地が生じます。
拙著でのケーススタディは、まさにそれを意識したものでした。
私に言わせれば、「5より6の方が大きいから6が優れている」という類の物ではないのです。
‥でも、1と6なら、6です(笑)
そしてケーススタディの1つでもある「私」の場合は、インデックス投資ではなく、高配当株・連続増配株が目的に合致していたというだけのことです。目的が変われば、応分に変化もありえるでしょう。
たとえば、配当以外に確たるキャッシュフローが見込めるケースにおいては、「フローは株式以外で担保し、投資でフローを求めず」という考えも当然ありうべしと思います。
このように、私の例を1つとっても、適した/目的に合致した投資対象というのは人(目的・時間軸など)によって変わり得ます。そして、弊ブログでの資産運用のご相談では、その個々人の方に合わせて私なりに回答してきました。
そういった視点でご覧になられたり、ご質問されると、また違った見え方もあるかと思います。
Best wishes to everyone!
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こういった嗜好も、人によって当然でてきますね。投資対象は、当人の価値観も多分に映すものと思います。
こういった考え方もありますね。理論的なお話と、実践論は、分けて考えないと結論は変わってきます。
なぜなら、人生の目的・手段は、理論や数字だけでは語れないからです。
コメント
三菱サラリーマン様
いつもありがとうございます。
今回の「インデックス投資をしなかった理由」、自分の頭の中をすっきり整理出来た素晴らしい内容でした。
私はやはり高配当株、ETFでいこうと新たな決意を持てました!
いつも痒いところに手が届く投稿をありがとうございます!!
もし可能であれば今年ポートフォリオに変更をなさったのであれば、参考までに教えていただけると嬉しいです。
仕事終わりに投稿を拝見するのが本当に楽しみとなっております!
ご無理なさらず、今後もFIRE生活を満喫なさってください!私も早く辿り着きたいです!