- 「Financial Independence and Retire Early」の略称
- 逐語訳は「経済的自由・早期リタイア」であるものの、
その実、以降仕事をしないわけではなく、自身が望む生き方を実現する「精神運動」に相当。 - 日本ではバブル崩壊以降(平成以降)に生まれた世代における時代背景・価値観等の変容が当該ムーブメントの背景として挙げられ、従来の単なる早期リタイアとは異なる概念。
資産形成やセミリタイア・FIREを達成するにあたって、
- 収入が要素として大きいですが、
- より本質的なのは、その収入の活用をも決定づける金銭的価値観
だと私は常々おもっています。
実際に、「いくら収入が多くてもお金が貯まらない」ことは散見されますし、私自身も金銭的価値観が定まっていなければ、FIRE達成は確実に後ずれ、あるいは無理だったと思います。
そこで、私より少し上の33歳で同じくFIREを達成されている「厚切りジェイソン氏」の考え方と比較しつつ、以下「重要な金銭的価値観10か条」を述べます。
- 私がブログで述べてきたこと
- 氏が述べること
この両者が、酷似しています。
セミリタイア・FIRE達成に重要な金銭的価値観、10か条
考えやスタイルが、私と概ね一致😊
厚切りジェイソンさんが収入の9割を投資につぎ込む理由とは https://t.co/t43RdfsTgp
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) April 25, 2020
私の会社員時代の投資方針は、概ね以下に集約されます。
明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付にまわす単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投下資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで。
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) May 24, 2017
件の厚切りジェイソン氏も「収入の大半を投資に回すスタイル」であり、酷似しています。
以下は東証マネ部さん記事からの引用を含みます。私と一致する金銭的価値観・スタイルが見られるので、青字でその部分をハイライトの上、私のスタイルを小見出しとして併記します。あまりに酷似していて、印象的かつ興味深いです。
私のスタイルと、厚切りジェイソン氏のスタイル
私のスタイルを項目ごとに以下小見出しとして記載し、同氏の発言引用部分にコメントを付記します。これらはいずれもFIRE達成に向けて継続的に資するポイントです。
- お金って、別にあまり使わない
- 物欲、そんなにない
- 節約? いいえ、支出の最適化です
- 「金銭的価値観」と「時間的価値観」の交わる場所
- 自身の欲望ぐらいコントロールできひんのかい
- お金に早くから興味を持ち、自分なりの考えを持つ
- やりたいことをやるためにFIREする
- 長期投資の合理性
- 頻繁に売買しない
- お金は時間的価値の観点から必要なだけ
① お金って、別にあまり使わない
- 投資を始めた頃とくらべて、今の投資スタイルに変化はありますか?
厚切りジェイソン(以下、厚切り):ないですね。僕はほとんどお金を使わないので、最低限必要なお金以外は全部投資につぎ込んでいます。たくさん稼いだからといって、物を買うことはしません。
青字部分、会社員時代も今もそうですが、メリハリはつけたり豪華一点主義にすることはあるものの、価値を感じないものにはお金を使いませんでした。だからこそ、セミリタイアに繋がったと思います。
② 物欲、そんなにない
- 物欲がないんですか?
厚切り:はい。外食もほとんどしませんし、日本に来てから洋服を買ったこともありません。全部もらいものか衣裳です。
私は外食もしますが、物欲(物質的な欲望)はあまりないです。他方、食・自然環境・健康・時間コストへのこだわり等は、比較的あると思います。
時代背景の変化に伴う価値観の変容が大きいと思います。現代では、すでにモノは先進国においては行き渡っています。オーガニックな需要ではなく、無理やり手を変え品を変え需要を喚起しているのが現代です。
③ 節約? いいえ、支出の最適化です
- それはまたすごいですね!というか、ケチ・・・・・・なんですか?
厚切り:ケチというか、もう習慣になってるから気にならないだけです。自動販売機で飲み物を買わないとか、コカコーラじゃなくて安いイオンのコーラを飲むとかね! あと、僕は散歩が好きだから、2km先の業務スーパーまで行って買い物します。
青字部分、私も今まで何度か記載してきましたが、「節約してる」という意識は全然なくて、単に「自分が価値を感じるものにだけ金銭を投じている」というだけなんですよね。
節約とは単なる支出削減ありきの概念にとどまらず、自分の価値観を知り、生き方を考えるプロセスとなり、最終的に「お金はそこまで重要ではない」と気づかせてくれるものです。
節約したら人生変わって節約する必要なくなった https://t.co/jePwQsphxW
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) September 20, 2019
そのため、「節約」ではなく、「支出の最適化」という前向きなワードを提唱してきたわけでもあります。
節約とは本来、「金銭に関わる行動を自身の価値観に合わせて主体的に取捨選択すること」と私は定義しており、セミリタイア・FIREをめざす方々にとっては、重要事項と言えます。その重要なことには、前向きな言葉を用いた方が、人生全体が前向きになる要素にすらなり得ると思うのです。
あと、私も5.4km先のお気に入りのスーパーまでママチャリを爆走させて買い物に行ってます(笑) 太腿の筋肉痛、ええ感じです。
④「金銭的価値観」と「時間的価値観」の交わる場所
- それはそうですけど、そこまで徹底できるのはすごいです。
厚切り:だからといって、ものを買わずに節約しているわけじゃないですよ。たとえば、コーヒーだって完全に飲まないわけじゃなくて、自分でコーヒーを作って飲んだら数十円で済むんだからそれでいいじゃんって考え方。カフェで買って700円も払う必要はないんじゃない?って。それを飲むことで1時間多く働かないといけないなら、僕は1時間分の自由がほしい。
青字部分、もう完全に私と一致してますよね(笑)。考え方も、セミリタイアに至るまで実際にやってきたことも。
時間的価値観と金銭的価値観が交わる場所は、まさに此処であり、金銭的価値観のみが絶対的なものとして存在するわけではなく、あくまで時間との相対的なものとして存在します。
つまり、金銭には時間コストが反映されるべきであり、逆に言えば、金銭で時間は相当程度は代替可能ということです。時間を買うため、あるいは時間的な選択肢を用意するために、お金を得ておく、持っておくということです。
⑤ 自身の欲望ぐらいコントロールできひんのかい
- でも、いますぐコーヒー飲みたいなってことも……
厚切り:そこまで我慢できないのか! いい大人だろ! まぁでもそのほうがいいという人は、それで幸せなんだろうから、僕がとやかく言うことじゃないけどね。
青字部分、これも完全に一致しています(笑)。
私は北京留学の時あたりから一定期間において、自身の欲望をコントロールすることが、主体的に生きることに繋がるという考えが強かった時期があります。なので、「それぐらい我慢できひんのかい、ええ大人やん」と、氏が言う気持ちは共感できます。正確には、私が言うならば、”我慢”というワードではなく「それぐらい “自身の欲望をコントロール” できひんのかい」という感じでしょうか。
FIRE後は、欲望をコントロールする必要性・フェーズはやや薄れているかもしれませんが。
そして、引用文中の「そのほうがいいという人はそれで幸せなのだから、僕がとやかく言うことではない」という考え方、これも私の考えと一致します。
「価値観は人それぞれなので、他人に迷惑をかけたり非倫理的なことでない限りは、本人が納得いく形で行動してよいわけで、他人がとやかく言うことではない」と思っています。だからこそ、支出の最適化だって、そうなのです。一律に支出削減するというよりは、あくまで、「当人の価値観に合わせて最適化する」ということですね。
⑥ お金に早くから興味を持ち、自分なりの考えを持つ
厚切り:日本ではあまり家庭でお金の話をしないですよね。でも、知識が一番大事じゃないですか。僕は中学のときに数学の先生から「複利」の話を聞いて投資に興味を持ったし、やっぱり金融リテラシーを高めるなら、子どもの頃からの教育は大切ですよ。
青字部分、ここも似てますね(笑)。
私の場合は、中学のときに「バブル時代の預金金利」を耳にして、お金が元本の7%ものお金を生むという事実に興味を持ちました。
複利効果を最大限に活かすためにも、早期にお金に対する価値観を築いておくことが肝要です。
⑦ やりたいことをやるために、FIREする
- ただ、いまもお仕事はされていますよね?
厚切り:やりたいことしかやらないけどね。いまの仕事は、テレビのコメンテーターや講演会、ベンチャーファンドの取締役などですが、全部やりたいことですね。お金を稼ぐことが目的ではなく、「言いたいことが言えてちょっと気持ちよかった」というのがモチベーションですね。
青字部分、基本的にはその路線のつもりです。ただ、社会的なことや社会的意義にも目を向けていきたい気持ちが強くなっていると思います。
いずれにしても、「やりたいことをやるために、FIREする」ということです。FIREとは、働きたくないからするとはかぎりません。また、「お金を多く得たいから、FIREする」ということではないですね。
⑧ 長期投資の合理性
- 不確かなこれからを考えるよりも、過去に学べということですね。
厚切り:5年後に必要なお金を投資で稼ぐとなったら、必要なときに価格が下落しているかもしれません。来年半額になってる可能性は十分あります。でも、30年間でみると下がった実績は1回もないんです。だから投資している期間が長ければ長いほど有利。
青字部分、これも繰り返し述べてきたことです。
⑨ 頻繁に売買しない
厚切り:ちなみに、僕は買った株や投資信託は一生売らないつもりです。
私の場合は一生売らないわけではありませんが、頻繁に売買はしません。
頻繁な売買は、時間とリターンをも毀損します。自分が信じられる対象を長期で持ち続けて配当金を積み上げることが、結局FIRE達成の近道だったと今なお確信しています。
⑩ お金は、時間的価値の観点から必要なだけ
- それがジェイソンさんの投資に対する姿勢なんですね。
厚切りジェイソン:そもそも、僕はお金を使うために増やしてるわけじゃないからね。必要になれば使うけど、必要にならないだろうなと思ってるから売りません。株や投資信託は、自由に生きるためのフリーパスのようなものです。死んだときに残っていたら、それは自分の人生の価値じゃないですか。お金が足りなくならずに生きられたなって。それで十分ですね!
青字部分、そうですね。主体的に人生を描くために増やしてきました。そして、なぜセミリタイア・FIREを達成したかったかと言うと、自由に生きるためです。
私にとって金銭とは、自由に生きるための切符(奇しくも、拙著に同一表現を盛り込んでいました)であって、金銭それ自体にこだわりがあるわけではありません。
金銭それ自体にこだわりがあるのであれば、セミリタイア・FIREしてないですね。会社員を続けた方が着実にお金を得られるわけなので。
まとめ
以上、セミリタイア・FIRE達成に重要な金銭的価値観10か条として集約すれば、以下の通りになります。
- お金って、別にあまり使わない
- 物欲、そんなにない
- 節約? いいえ、支出の最適化です
- 「金銭的価値観」と「時間的価値観」の交わる場所
- 自身の欲望ぐらいコントロールできひんのかい
- お金に興味を持ったきっかけ:バブル時代の金利
- やりたいことをやるためにFIREする
- 長期投資の合理性
- 頻繁な売買はしない
- お金は時間的価値の観点から必要なだけ
さて、ここまでお読みいただいた方は、お気づきになられたでしょうか。
そうですね、収入額についての言及はありません。
なぜなら、収入額の多寡がセミリタイア・FIREに本質的な要素ではないからです。
もちろん、収入は言うまでもなく大事です。大事ですが、収入を生かすも殺すも、金銭的価値観であり、セミリタイア・FIREなどの生き方を選択する際に重要になってくるのは、金銭的価値観そのものです。
収入は要素の1つであって、それ以上でも以下でもなく、本質的な要素にはなり得ません。
そのため、収入の多寡を理由に別の生き方を選択することをあきらめる必要は、一切ないと私が力強く結論付ける背景でもあります。
つまり、本質的に重要なことは、
- 自らの価値観・生き方、
- どう生きたいのか・何をしたいのか、
こういったやや観念的かつ抽象的なことが、結局一番重要だと、やはり私は思います。
Best wishes to everyone!