10月31日に米たばこ大手アルトリア・グループ【MO】の2019年第三四半期決算が発表されました。
出資比率35%の電子たばこ大手JUULに対する米当局FDA(Food & Drug Administration)の規制をめぐっても様々な議論があった中での注目の決算となりましたね。
個人的にもポートフォリオに組み入れている銘柄なので、大注目でした。
【MO】アルトリアグループ、2019年3Q決算で45億ドルの減損損失を計上
まず3Q決算は、たばこ販売数量減少が続く反面、売上高・EPSともに市場予想・前年同期を上回り、結果は以下の通り堅調でした。
実績 | 予想 | 前年同期比 | |
売上高 | $5.41B | $5.34B | +0.3% |
調整後EPS | $1.19 | $1.15 | +10.2% |
EPSガイダンス | $4.19 to $4.27 | $4.20 | +5~7% |
紙巻きたばこ-6.5%・無煙たばこ-2.5%と販売数量減少となる反面、smokelessセグメントの売上増を主因として、売上高は前年同期比微増、市場予想も上回る結果となりました。
調整後EPSも前年同期比+10%を超えと引続き堅調維持。主因は以下の通り。
- 販売数量減を上回る値上げ効果
- 2018年決議のコスト削減効果
- 持分法適用先のABI(ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ)の増益寄与
たばこという商品の価格弾力性の小ささが如実に表れた結果となっています。
ほか主な発表事項は以下の通り。
▶2019年調整後EPSガイダンス(前年比5%~7%増)を維持
▶2020年ー2022年の調整後EPS目標:年率7~9%増→年率5~8%増に引き下げ
▶2020年ー2022年も調整後EPSベースで配当性向を約80%に維持
▶2019年たばこ販売数量5~6%減少見通し、以降2023年まで4~6%減少見通し
▶35%出資のJUULに関し、45億ドルの減損損失を計上
今後のEPSも従前通りの成長を目標としていくことになります。また、配当性向「approimately 80% of adjusted diluted EPS」維持明記により、EPS成長に比した増配が想定されます。
出資先JUULの減損損失
JUULにおける45億ドルの減損については、以下の通り、米FDAや各州による香り付き電子たばこ規制の可能性が高まっていることなどを踏まえ、減損を発表しています。
“While there was no single determinative event or factor, Altria considered impairment indicators in totality, including: increased likelihood of U.S. Food & Drug Administration action to remove flavored e-vapor products from the market pending a market authorization decision, various e-vapor bans put in place by certain cities and states in the U.S. and in certain international markets, and other factors
なお、減損・評価損計上によるキャッシュアウトはありません。
伴い、JUULは今後、人員削減を含むリストラを発表、やや煽情的なマーケティング法も変えるとしています。
ちなみに市場ではそもそもJUUL関連の減損を予想する声は9月には既にあり、むしろ減損幅がどの程度かというのが議論の焦点にさえなっていた程でしたから、株価への影響は限定的でした。
【MO】アルトリアグループ3Q決算まとめ
以下雑感です。
2020年以降のEPS成長見通し引き下げはネガティブです。ただそれでも成長率は十分な水準と思います。
配当性向80%維持はポジティブです。
たばこ販売数量減少は長期ネガティブな反面、売上高増加は短中期的にはポジティブと思います。
電子たばこをめぐる環境変化に鑑み、減損はほぼ必定との状況ゆえの直近株価ダダ下がりであったと言えます。
今般、減損が現実化したことを受け、今後株価がどのような推移を見せていくのか見物です。
なお現時点では、引き続きホールドです。今の株価が続けば1月配当はまたそのまま配当再投資予定です。
Best wishes to everyone!
アルトリア・グループの銘柄分析です。
この株価水準は配当再投資を継続予定です。
同じくたばこ大手の日本たばこ産業(JT)に関する銘柄分析です。