保険商品の加入・解約を検討するとき、考えたい3つのポイント

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保険商品の加入・解約を検討するとき、考えたい3つのポイント

支出の最適化を実践するにあたって、保険商品の精査はしておきたいところです。

ここでいう保険とは、主に生命保険・医療保険・収益性を目的とした保険商品を指します。

補足:保険への巨視的視点

とくに日本人は保険に対する支出が高い傾向が認められます。

郵政民営化以降、郵便局の窓販(例:がん保険)で外資保険がメイン(例:A社)のものもあり、国富の流出要因にもなっているでしょう。

日本では国民皆保険・高額療養費制度などもあり、追加的に民間の医療保険に入らずとも基本的な保障内容が充実しています。

ですから、民間保険への加入を検討する際、大前提として、検討中の保険商品の内容を把握したいですね。

3つのポイント

本記事では、そういった個別内容以前に基本的におさえたいポイントとして、以下3つ挙げます。

  1. インフレリスク
  2. 資金が拘束されるリスク
    → 途中解約で手数料が発生するか確認
  3. 保険の利回りは必ず年率に直す
    → 国債利回りと比較する

補足:保険の必要性は人による

保険の加入意義として「保険に入っておくと安心」といった精神面への配慮や相続対策なども挙げられるため、必要性の高さは人によって異なることも申し添えます。

① インフレリスク

保険の基本概念とは、「一定期間に保険料を支払って、疾病・死亡などのリスクを加入者で分担・助け合うこと」ですね。

その加入期間中に仮にインフレが起これば、保険商品にインフレ調整機能がないかぎり(基本的についていないと思います)、たとえば運用利回り目的の貯蓄性保険の価値は目減りします。

加入期間が長いほど、インフレリスクも応分に増えることは頭に入れておきたいです。

② 資金拘束リスク

最も注意したいと言ってもよいのが、「途中解約によって多額の解約手数料が発生するタイプ」の保険です。中途違約金の有無は、かならず確認したいですね。とくに外資P社は悪質な商品設計なのでかなり注意したほうがよいです。

保険に入るということは、概して「加入期間中に資金が拘束される(自由に引き出せない)」ことを意味します。この観点も頭に入れておきたいところです。

なお、変額保険などファンドに投資するタイプにおいては、販売手数料が1%以上、経費率が年率0.5%を超えるような高コスト商品もあり、弊ブログではあまりおすすめしない姿勢です。

③ 複数年にまたがる利回りは、年率に直す

あらゆる金融商品について言えますが、「複数年間で○○%の利回り」という文言あらば、Excelのゴールシーク(後述)で年率に直して評価することが必要です。

とくに貯蓄性商品などの保険商品の収益性を把握したい場合には、必要な作業です。

今回は、この③に関連するご質問をいただいています。実際に見てみましょう。

ご質問

ご質問

題名: 年金払い積み立て保険 (海外タイ)

メッセージ本文:
三菱サラリーマン様いつも分かりやすい解説で、有益な情報を発信して下さりありがとうございます。

株や経済に加えて、三菱サラリーマンさんのシンプルなライフスタイルに、inspiredされております。

さて、早速ですが三菱サラリーマンさんは保険には加入されておりますでしょうか?

今回タイの銀行で勧められているのが、題名にあります年金保険です。

日本でもバブル期に盛んに販売されていたものと同様の商品になりますが、12年間で10%(6年払込、6年後受け取り)謳っており、銀行商品のMatualファンドが1年で約5%なので、どのように運用するべきか迷っております。

また、私は長期に渡りバンコクに住んでおり、(以前ブログで紹介されたノボテルの近くにおります)日本での株式売買ができず、日本円の運用も滞っております。お忙しい中恐縮ですが、アドバイスを頂けますでしょうか?

結論としては「12年間で10%」という保険商品は、収益性の観点からは適しないかと思います。

保険の追加加入の要否

まず、「私が保険に加入しているか」について以下の通りです。

  1. 住宅ローン組成の際の団信
  2. 国民健康保険・会社の保険組合
  3. 火災保険など最低限必要なもの
  4. 相続対策(遠い将来)

主に上記4項目を除けば、今のところ入る予定はありません。

利回りを年率に割り戻して、リスク評価をする

タイの銀行で勧められている年金保険とのことで、概要を教えていただけると正確にお答えできると思います。と書こうとしましたが、「12年間で10%」という部分で、ある程度の判断はできそうです。

年率にすると0.8%です。日本の預金金利・国債利回り(リスクフリーレート)よりはましですが、

  • 金融機関に対する手数料
  • インフレリスク・為替リスク
  • 12年という資金拘束(途中解約で解約料が発生するか要確認)

が発生しうることを加味すると、積極的に加入する意義は見いだしづらいです。現地通貨建てであればインフレリスク・為替リスクの方が大きいでしょう。

仮に収益性目的で加入を検討されている場合は、株式投資に回した方が期待値としては高いリターンが見込めてきた傾向です。

(もちろん「利回りが確定的な年金保険」と「利回り未確定の株式」との単純比較は、厳密には確定できないことも申し添えます)

複数年の利回りを年率に直す方法(Excelゴールシーク)

複数年にまたがる利率を年率に直す方法を、以下ご紹介しておきます

本題の通り「12年間で10%」を年率に直します。

ゴールシークで年率を算出する方法
  1. 上図セルG4が示す値にある通り、例えば「=G3^12(年間)」と入力します。(「^12」というのは、「12乗」という意味です。)
  2. Excelメニューの「データ」→「What if分析」→ 「ゴールシーク」を選択。
  3. すると上図のウィンドウが出現するので、上図の通り入力。
    (目標値は「12年間で+10%」に則り、1.1(+10%)と入力)

すると、上図の通り「1.008007」という値が算出されます。これが年率です。

要は、「1.008を12乗すると、1.1になりますよ」ということです。年率とはそもそもこういう概念ですね。

保険は、収益性より目的重視

「個人で加入する生命・医療保険は、(収益目的では)基本的に必要なし」と言えるかと思います。収益性を求めるならば、株式投資が適しています。

もちろん個別事情があれば別ですよね。人によって考え方・人生観・価値観などは異なります。終身保険など、相続対策で有用な商品もあります。

また、保険は商品内容が複雑です。たとえば入院保険は給付条件が厳しく、給付条件に合致しても保険請求が必要な場合もあります。

繰り返しながら、保険に入る際は加入内容を把握しておくことが大切ですね。

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公開日:2019年8月13日