【ARCC】エイリス・キャピタルのメリット・デメリット、リスク要因

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配当利回り9%の超高配当BDC銘柄であるエイリス・キャピタル【ARCC】についての質問を頂きましたので、以下回答申し上げます。

尚、そもそも「ARCCってなに?」という方は以下記事をご参考に供します。

ARCC紹介記事

【ARCC】エイリス・キャピタルのメリット・デメリット、リスク要因

ご質問

秋山と申します。
サイトを見て質問があります。

現在私は毎月コツコツとPFFを積み立てていますが、貴サイトでARCCというのがあることを発見しました。

PFFの利回りが約5% ARCCが約10% ですので、2倍近く変ります。

PFFの5%でもかなりのリスクがあるんじゃ無いか?と思っているのですが、ARCCの10%というのが余りにも高すぎて驚いています。

しかし、色々確認すると、リスクとしてはリーマンショックの時の大暴落(後に元に戻る)位しかないことを確認できました。

ということで、

  1. ARCCにリーマン以外にリスク要因はあるでしょうか?
  2. メリット、デメリットがあれば御教示お願いします。

基本的にインカム狙いなので、一度保有したら長期保有するつもりです。
※なのでよくよくメリットとデメリットを確認したい思っています。

何卒宜しくお願い致します。

ARCCのメリット・デメリット、リスク要因

まずARCCやPSECなどのBDC [Business Development Company] のメリット・デメリットとして最低限おさえておきたい点は、以下が挙げられます。

【ARCC】エイリス・キャピタル

・メリット

→ 過去においては「高利回り・高リターン」

・デメリット

→ 金融危機など経済的な外的ショックに脆弱、下落率も大きい

購入タイミングによって大きく変わる銘柄と言えます。

それでは、ARCCの株価と配当利回り推移、及びトータルリターンをおさらいしておきましょう。

ARCCの株価と配当利回り推移

リーマンショック以降2019年央まで、平均配当利回りは9.42%と非常に高い水準。

一方でリーマンショックの際には配当利回りは、50%を超えています。

神がかり的にこの時に購入していた人はキャピタルゲイン・インカムゲイン共にすさまじいリターンとなって返ってきたわけですが、株価が80%弱も下落しているこの時に購入できる人は相当希少でしょう。

尚、BDC銘柄の中では業績・パフォーマンスが最も良いのがARCCで、PSECなどの他BDC銘柄より安定している為、それが足もとの株価にも表れています。

ARCCのトータルリターン

また、下図の通り、配当再投資込みのトータルリターンも良好です。

青:ARCC

赤:S&P500

コロナショックを経ても、依然としてS&P500を上回るリターンを挙げているのがARCCです。

ARCCのドローダウン

しかし当然リスクもあります。最大のドローダウン(下落率)はリーマンショック時で、先述の通り。金融危機で市場平均より非常に弱かったことが見てとれます。

  • 77%:ARCC
  • 52%:VYM
  • 51%:S&P500

株価がこのように8割も下落した過去があるというのは、しっかり認識しておく必要があります。

そもそもARCCなどのBDC銘柄は、米国において中堅企業や新興企業等の事業を金融・経営面で投融資する投資会社のことです。

融資先が中堅企業や新興企業ということで、融資の焦げ付きリスクというのはもちろん一定程度あるでしょう。

一方、ARCCの場合は以下の通り、シニアローンが73%と過半を占めます。

シニアローンとは、ハイリスクな劣後ローンの対極に位置するもので、相対的にリスクの低い・返済順位が他の債権(≠債券)より高いローンです。

そして下図の通り、リーマンショックではシニアローンが51%占めていたのが、2019年では73%まで引き上げられているということで、リスク性が低下したポートフォリオになったと謳っています。

ただし、やはりその事業性からか、ムーディズなどの格付け会社のレーティングは軒並みBBBと高くはありません。

投資適格ではあるものの、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い位置づけですね。

この手の銘柄は、やはり金融危機などの経済的な外的ショックに売られやすく、リーマンショック以外でも資金の流動性が低下するような懸念、あるいは経済全体として信用リスクが生じた際には売られやすいことが予想されます。

あくまでリーマンショックの時に下がったのは事実の一端であり、今後どのような地政学的事象・経済的事象で下がるのかはわかりません。

投資家が予想し得ないことが往々にして起こってきたのがマーケットであり、それはBDC銘柄においても同じことが言えますし、その事象による下落率は概して市場平均より大きいでしょう。

ですから、ARCCなどのBDC銘柄はあくまでポートフォリオの一角に留め、主力にするという戦略は、やはりおすすめしづらいですね。

分散が定石

この手の銘柄に限りませんが、個別株はやはり分散を徹底することが定石になります。私なら、やはりポートフォリオの5%以下に留めたいところです。

高配当な銘柄ですから、配当金というインカムを増やしたい投資家にとっては、やはり一定の魅力がある銘柄ですね。

購入時期によって、大きくキャピタルもインカムも両取りを狙える、そんな銘柄です。

ゆえにタイミング次第で大きく化ける銘柄ですし、逆に市場低迷期の前に買ってしまうと、狼狽売りに繋がるほどの下落率になるため、相応のリスクがあることには留意した方が良いですね。

ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone!

ARCCや高配当株については以下記事にも詳述しています。

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公開日:2019年6月25日