OECD先進各国で、賃金が唯一伸び悩む日本
まず、日本の立ち位置が世界でどのようになっているのかを自分で多少なりとも把握しておくことは重要と思います。
日本は島国ですから、良くも悪くも外界と遮断されがちです。メディアも国内事情に軸足を置きがちであり、商業主義に傾く面も否めません。外の情報が入って来にくいという側面もあります。
しかし、国際機関・国連など一定の中立性ある機関のデータは多少なりとも触れておいた方が有用ではないでしょうか。
【国際比較】OECD各国の時給増加率
例えば日本の賃金。これは悲しいことになっています。
日本の最低賃金は、米・英・独・仏・豪州・カナダ・台湾・韓国・スロベニア・オマーン・オランダ・ベルギーに劣り、ギリシャやポーランド・イスラエルをギリギリ上回る程度です。
上表はOECD(経済協力開発機構)からのデータで、OECD各国の労働者時給増加率(1998~2018年)を表したものです。
各国の時給伸び率は、韓国+227%、英国+80%、スペイン+72%、フランス+64%、米国+60%、イタリア+58%、ドイツ+55%に対し、日本はなんと+9%と唯一の一桁に留まります。20年間でわずか+9%です。
実質賃金が下がり続ける日本
日本は実質賃金もこの10数年間、下がり続けています。下表は厚生労働省のデータですが、2010年の実質賃金を100とした場合の日本の実質賃金推移です。
たとえ名目賃金が上がっていても、実質賃金が下がっているということは、物価と比べた賃金は下がっていることを示します。家計の実質的な購買力は失われているということですね。
これが、悲しきかな厳然たる事実です。まずこういった事実を認識しておく、これが第一歩でしょう。それで初めて、その事実に対してどのような対策を講じるのか、自分の中でどう消化していくのかを考える段階になります。
そして、このような賃金1人負けの状況は易々と変わらないと私は思います。このような考えをサポートする材料は、日々の仕事で目にし、提供されました。本質的でないことに価値を置く前時代的考えが、一定の組織に少なからずあります。
先進各国の中で、唯一賃金が伸び悩む日本。どうすればいいのか。
では、あくまでマクロ的な観点ですが、自分の人的資本を運用する場である組織の展望が見えず、賃金が上がる未来も描けないという前提に立った場合、私たち日本人は果たしてどうすれば良いでしょうか。
- 世界の優良企業の株式を購入し、間接的に果実を得る
これはもう世界の優良企業に株式投資という形で関与して、その果実を得ることが方策になってくると思います。そしてそれはリターンをもたらし得るものです。もちろん局面により価値が半値以下になるリスクもあります。それが株式投資です。リスクはあります。
- 人的資本の提供先(会社)
- 金融資本の提供先(株式投資対象)
この2つを分けて置くということですね。
日本企業の競争力が全体的に衰退中である場合、悲しいことではありますが、なにも悲観一色に染まる必要はありません。
せっかく資本市場というマーケットが整備されているのですから、そのプラットフォームを活用し、逆に競争力のある国・企業に投資することで、間接的に果実を享受すればよいですね。
それが結果として日本全体の証券投資による収益や国富を押し上げる要素になります。個人1人が企業の競争力を研ぎ澄ますには、スケールが限定的です。とはいえ、その個人個人が金融資本を適切な運用先(例えば米国・世界株式市場)で運用すれば、それは集積した塊となって国富をもたらすでしょう。
もちろん、幸福度は富では測れませんし、測るかどうか自体の議論がナンセンスなお題目でもありますが、人生の選択肢が増えることは間違いありません。ないよりあった方が余裕が出来るのも、また事実だと思います。
Best wishes to everyone!
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日本は財産所得の割合が、英米に比べて少ないのが現状です。金融資産というストックは、活用できる余地があれば存分に活用したいところですね。
価値観が変容する時代ですが、どんなマクロ状況でも自分の軸をしっかり持っておけば迷うことなしと思います。