世界2位の個人金融資産を持つ日本人。財産所得を増やして、お金に働いてもらおう。

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強い労働信仰による金融の軽視はSTOP

我らが日本という国は、従来はものづくり、つまり製造業によってお金を稼ぐことに注力していました。加工貿易で海外にモノを売って売りまくり、それが高度成長期に至るまでは人口ボーナスも相まって相対的にうまくいっていました。

一方で稼いだお金を有効に運用することにはあまりエネルギーを注いでこなかったという側面があります。

「汗水たらして働くことが尊い」という強い労働信仰によるものづくりを尊ぶ一方で、非製造業、とりわけ金融の役割を軽んじてきた節があります。

金融は有効なツールになり得る

金融は”虚業”だとか、”金融は何も生み出していない”と言った言葉に代表されるようにネガティブな面ばかりが注目されがちだと思います。

そして投資と投機を混同し、マネーゲームと呼び、ものづくりよりも下に見る傾向があるのではないでしょうか。

確かにそういった見方もできるかもしれませんが、金融というものは上手に向き合えば極めて有効なツールになり得ます。

私はこの金融に対する屈折したステレオタイプが今の社会の閉塞した労働環境を構成する一因だと思っています。国民の金融資産、そしてその金融資産の伸び率が低く、財産所得の割合が高まらないと、時間の切り売りをする労働の割合がどうしても高くなってしまう

つまり、労働という行為に対する家計依存度が高くなってしまう。

労働の依存度が高いと、何が起こるか

労働の成否によって家計、自分の生活、家族の生活が大きく左右されることになってしまい、労働の絶対性が高まってしまうわけです。

依存度や絶対性が高まってしまい、1つのことに頼る形になると他に選択肢が見えないのでどうしても余裕がなくなります。かつ、その選択肢の少なさから、視野や世界観が狭くなるリスクが顕在化します。

一方でもし労働に対する依存度が低ければどうでしょう。

極論すれば「まぁ別に明日クビになってもええし」と吹っ切れます。依存度が下がるということは、思考や行動の柔軟性や自由度が高まります。必要以上に単一の対象物に拘泥しなくて良くなるわけです。

ではどのようにして労働の依存度を下げるのか

これはやはり株式投資を行うことで、お金に働いてもらって財産所得の割合を引き上げることで、相対的に労働の依存度を減らすのです。

株式投資を行う際は、やはり投資対象を間違わないようにする必要があります。

  1. 長期的に人口が増える国
  2. コーポレートガバナンスの整備がされている国
  3. 株主を大切にし、株主還元を重要と位置付ける企業体の多い国
  4. 通貨価値が安定していて、高インフレによる価値毀損リスクの低い国
  5. 信用リスク/クレジットデフォルトリスクの低い国

私は上記5条件が投資対象国を選定する際に考慮すべきポイントだと考えます。

この5条件を全て満たす国はやはりアメリカになってきます。詳細については下記の記事にまとめています。

https://freetonsha.com/2017/09/16/america-great/

株式に長期投資する社会的な意義

株式投資を長期的に行うということは、リスク資金の出し手としてマーケットに長期投資をしていくということになります。

つまり、その行動が意味することは、企業が株式市場で資金を調達する際や取引そのものの流動性を投資家が提供することになり、社会的にも意義のあることです。

更に、株式を保有する対価として企業から配当を受け取ることになります。その配当には所得税や住民税が課税され、それは国の公共サービスの源泉となる税収になります。

銀行を通して間接的に国債を国民が保有するよりも、遥かに日本の正常な資金循環に資することになるのです。

世界2位の個人金融資産をもっと活用せよ

日本は、国としての対外純資産が世界一なのは言うに及ばず、家計部門の金融資産も1,809兆円と米国の8,400兆円に次いで世界第2位。(2017年3月時点)

ただしその金融資産を十分に活かしきれておらず、宝の持ち腐れ状態。この多額の金融資産の運用には改善すべき大きな課題があります。

出所:日本銀行 (数値は2017年3月末時点)

上図の通り、日本だけ異様に現金・預金の割合が高く、株式や投信などのリスク資産が異様に少ない。

日本の個人金融資産の実に8割が現金・預金・保険・年金、債券などの安全資産に投資されています。

現金や国債は安全資産ではありますが、利回りは現状0%に近いため、巨額の金融資産が活用されていないのが現状です。

米英日の家計金融資産の推移

出所:金融庁

米国・英国・日本の家計金融資産の伸びを表した上図をご覧の通り、日本の伸びの低さが一目瞭然です。

米国は20年で家計金融資産は3.11倍、英国が2.27倍なのに対して日本は1.47倍に留まっています。

たとえば2013年の個人金融資産の利息・配当収入は日本はわずか13兆円に対し、米国は430兆円。日本の年間の運用利回りは僅か0.8%に対して米国はその7倍の5.5%

つまり労働とは全く別の世界で、これだけの資産効率の差が日米で毎年生まれているわけです。これはもういくら日本人がしゃかりきになって生産性を上げようが、この差はいかんともしがたいと思うわけです。

日米の運用利回りの差が生じる理由

なぜこのような歴然とした運用利回りの差が生じるか、理由は以下2つと考えます。

  1. 米国の方が家計資産に占める株式の資産割合が大きい
  2. 投資対象が良い(=米国株は長期的に右肩上がり)

1.については下図をご覧の通り、先程も述べた通り米国の方が株式への投資割合が大きいので、当然その分リターンが押し上げられます。

出所:金融庁

そして2.の投資対象については、米国自体が長期的に右肩上がりの株式市場を擁する為、ホームマーケットバイアスにより国内株式に投資さえしておけば、米国人はその全体的な上昇の果実を十二分に享受可能であってきたということです。

ホームマーケットバイアス:合理的か否かに関わらず、国民が自国の株を持つ傾向があること。

つまり先にも述べましたが、投資対象を間違わずに株式に資産配分を傾けるということが重要になってきます。

その結果、日米の家計所得の財産所得の内訳の差が拡大することになるのです。

出所:金融庁

日本はこの20年で財産所得の割合が増えるどころか、減っています。

対照的に米国は所得の総額が右肩上がりであることもさることながら、財産所得が所得全体に占める割合が増えています。

日本人は法外な手数料を取る投資信託にも気を付けるべき

運用利回りが低いのは、日本の金融機関が販売する投資信託の質が悪いことも一因です。上図の通り、規模の大きい、つまり人気の高い投資信託の手数料(販売手数料・信託報酬)がまぁ高い。

そりゃ収益率を圧迫するでしょうというぐらいに手数料が高いぼったくり商品が横行しているわけです。金融庁の森長官はその点をやり玉に挙げています。

日本人は投資に興味がない?

とはいえ、そもそも国民が投資に興味がないというのがネックです。

金融庁

そもそも投資に興味がない人が60%。

これもやはり投資はギャンブルだというイメージが強いのかもしれません。しかしこれもホーム・バイアスがかかった結果、株式市場=東証という図式が無意識的に成り立っていると、乱高下を繰り返す日本株によって、より株式投資に対してギャンブル的色彩を帯びたイメージが強くなるでしょう。

一方海外に目を移せば、上述したように米国市場のような条件が整った市場も存在するわけですから、やはりそういった市場を活用すべきです。

「貯蓄から投資」は20年前から試みられていた

1997年、11月24日「社員は悪くありませんから!」と涙ながらに訴えた山一證券の野沢社長の記者会見は今なお語り継がれるものですが、ちょうどその頃、橋本龍太郎総理の下で「金融ビッグバン」が行われました。「金融ビッグバン」の目的は、日本の金融市場を欧米並みにし、貯蓄に偏る1300兆円の個人金融資産を投資に還流させて企業の成長を支えることでした。

強い企業が報われ、弱い企業が淘汰されるという市場原理を働かせ、自由で公平な市場作りを作ろうとしました。

株式委託手数料の自由化も行われ、個人の投資判断が試される確定拠出年金の導入も同時並行で実施されていきました。一方、超低金利にも関わらず、日本の国民性がゆえなのか、結局「貯蓄から投資へ」は実現されませんでした。しかしデフレが続き、99年~2000年や小泉相場を除いて日経平均も低迷していましたから、結果的には当該時期においては、預金も悪くなかったということになります。

これは豚舎でこそ周知すべき内容なのかもしれない

今後、個人型確定拠出年金(iDeCo)に関するプレゼンを社員向けに行う可能性が高いですが、それに加えてこういった投資に関する内容のプレゼンの機会を作って豚舎内で行うのも良いかもしれないと思っています。

Best wishes to everyone!

関連記事です。

米国が投資先として優れている理由をファンダメンタルズの観点からまとめた記事です。

https://freetonsha.com/2017/09/16/america-great/

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コメント

  1. ST より:

    いつも、楽しく読ませていただいてます。

    まさに、このとおり。
    中学か高校の教科書に載せて教育してほしいような素晴らしい纏めです。

    真面目で理路整然としていて、一瞬たぱぞうさんのブログを開いたかと思いました。

    最後の2行で、らしさ、が出ていてすっきり!です。
    これからも楽しみにしてます。

    • じんたん より:

      コメントいただきありがとうございます。

      ですよね笑 今回はかなり真面目にまとめてみました。
      こういった内容は確かに金融教育として教科書に載せてほしいですよね、豚舎でも発信していきたいと思っています。

      そう言って頂けますと大変励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。