2019年始早々、FXの流動性低下によるロスカットリスクが浮き彫りに
2019年は年始早々、ツイッターにおいてFX(外国為替証拠金取引)のロスカットによる損失報告が相次ぎました。
まず、2018年の為替市場はボラティリティが例年になく低く、市場参加者のリスク管理が緩みがちになりやすい状態でした。
2018年のように、しばらく為替市場の変動幅が小さい時期が続くとその状態に慣れてしまい、投資家はリスクをついつい取りがちになります。
そのようなタイミングで、2019年始早々、アップル【AAPL】から四半期決算に対する警告(中国での売上不振による売上高予想を913億ドル→813億ドルに大幅下方修正)が市場を席捲。
更にタイミングの悪いことに、まだ年始早々、本邦の市場参加者は出揃っておらず、NY市場がクローズした後の本邦勢不在の「最も流動性の薄くなる時間帯」にドル円は108円を下抜け、一気に105円割れまで値が飛びました。
為替市場でも株式市場でも、市場参加者が少ないと流動性が低下し、値が飛びやすくなります。
このような状況では、インターバンク市場でもドル円は”どのような値が確からしいレート”なのか不透明になり、混乱が生じることが多いです。
インターバンクで価格が提示されないと、FX業者が顧客に対して売買価格を提示する際に参照する価格が存在しなくなるので最悪の場合、2015年のスイスフランショックの時のように一時的に取引停止に追い込まれます。
すると、更に情報が錯そうする中で流動性機能が低下するという悪循環。今回のようにドル円という超メジャーな通貨ペアであっても、新興国通貨並みの流動性になることがあり得ます。
今回のロスカット多発の背景は以下2つあります。
- ボラティリティが小さい時期が長く続き、値が飛ぶリスクや乱高下への備えが脆弱に
- 商いが薄い時期・時間帯に悪材料への反応が起き、値が飛び、高レバレッジは格好のロスカット餌食に
2015年スイスフランショックこそ、FXのロスカットリスクを象徴する事例
FXは一攫千金を求めて、多数の参加者が入り乱れていますが、その実態は非常にリスクの高いものです。
FXに参加している以上、投資家は2015年のスイスフランショックを想起した方が良いです。
スイスフランショックとは、2015年1月15日に、スイス中銀が突然介入ギブアップ宣言を実施したことによるスイスフランの暴騰です。
それまでスイスフランは、日本円と同じくリスクオフになった際の逃避先としての性格を有し、フラン高になっていました。
自国通貨高を嫌うスイスは、スイス中銀による断続的な為替介入(スイスフラン売り)を続け、対外的にも「対ユーロで1.2を防衛ラインとして永続的に介入を行う」としていました。
しかし、永続的に介入を行うのは難しいのも事実です。
あまりに介入規模が膨らみすぎると、中銀のバランスシートは自国通貨売り・ユーロ買いに傾きすぎてしまい、ユーロ安に更に進んだ場合、中銀のバランスシートが大きく痛んでしまいます。
結局、1月15日にスイス中銀による介入中止宣言がなされ、事実上自由取引となった市場は一気にスイスフラン高が進み、値が20%以上飛びました。
20%というのはとんでもない数値で、ドル円が100円から一気に80円まで暴落することと同じ水準です。
【ロスカットリスク】FXのレバレッジにはご用心
レバレッジを利かせすぎると、政局や地政学的リスク・流動性の低下等により一瞬の値動きで一気に20%の値が飛び、ロスカットリスクが生じることがあるのがFXです。
特に、株式市場と異なり24時間取引を行えるFXは、薄商いの時間帯がどうしても存在してしまいます。
商いが薄いということは、流動性が低下し、値が飛びやすいことと同義ですので、くれぐれもレバレッジのかけすぎには注意しましょう。
以上、FXから株式投資に移行した三菱サラリーマンでした。
Best wishes to everyone!
FXも使いようによっては夢がありますが、自身の経験上からもやはり株式投資を推奨します。
株式から得られる配当金について詳述したものです。
長期投資による最大のメリットは、リターンが安定することでしょう。