AR国内バリュー株式ファンド(サムライバリュー)の評価

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読者の方から以下投資信託

  1. 「MS(モルガン・スタンレー)グローバル・プレミアム株式」
  2. 「AR国内バリュー株式ファンド(通称サムライバリュー)」
  3. 「みのりの投信」

を保有しているため、当該投信の評価をして欲しいとのご要望がありましたので、今回は②サムライバリューをご紹介させて頂きます。

当該投資信託の手数料などの基礎データ・特色・トータルリターン・ベンチマークとの乖離を見ていきます。

AR国内バリュー株式ファンド(通称サムライバリュー)の分析

基礎データ

  • 運用会社名:アセットマネジメントOne
  • カテゴリ :ヘッジファンド
  • 購入手数料:3.24%
  • 信託報酬等:1.33%
  • 売却手数料:0.05%
  • 為替ヘッジ:なし
  • 分配金取扱:年1回決算(7月)
  • 設定日  :2011年11月30日
  • 償還日  :2021年7月22日
  • 参考指数 :TOPIX
手数料が高い。

購入手数料(販売手数料)・売却手数料(信託財産留保額)は日本でもようやく0%のものが普及しつつある中、各々3.24%・0.05%を徴収はやはり安くはありません。

「銀行や証券会社では購入時手数料を取りたいと思うのは当たり前なので、そこは投資信託自身の評価とは関係がありませんね」などと言う意見を目にしましたが当の金融機関関係者でしょうか。

投資信託自身の評価と思いっきり関係があります。銀行や金融機関が手数料を取りたいと思う等、投資家からすれば笑止千万、だから高い手数料を受け入れろなど妄言も甚だしいでしょう。

しかし私の母も以前はこういった投資信託を勧められるがまま購入していました。即座に解約してもらいました。

信託報酬も、米国のブラックロックやバンガードが組成するETFは今や小数点以下2桁の争いになっています。例えば米国高配当株式ETFのVYMの信託報酬は0.08%ですから、当該投信の1.33%は実に17倍です。

金融機関からすれば、この手数料は収益に直結しますから、最も売りたい類の投資信託ですね。

折しも米フィデリティが信託報酬ゼロの投信を発表する中、前時代的・対照的な投信と言えそうです。

米モーニングスターによると、2017年のパッシブ投信の平均信託報酬は0.15%です。

アクティブファンドの信託報酬は概して高いですから、必ずインデックスファンドやETFとの差異を確認しましょう。

それでは次に、当該投資信託の特色やパフォーマンスを見ていきましょう。

サムライバリューの特色

とはいえ、下落局面がいつからいつまでか予想するのはたとえプロのファンドマネージャーと言えども困難なことではあります。

サムライバリューの組入れ銘柄

セクターは万遍なく分散されています。

組入れ2位のケイアイスター不動産は業績良好、2年半で株価は4倍以上になりました。

組入れ6位の中古マンションを手掛けるスター・マイカなんかも絶好調な企業ですね。株価は2年で3倍近くになっています。

トータルリターン(過去1・3・5年)

過去1・3・5年のパフォーマンスを確認しておきましょう。

過去3年ではサムライバリューがベンチマークを上回っているように見えます。しかし、1年・そしてより長期で比較した5年ではいずれもベンチマークの方が良いという好ましくない結果になっています。

過去3年では、販売手数料考慮すると、単利で約1%のリターンが毀損されることを考慮してもTOPIXや日経平均にリターンは勝っています。

ただ、より長期の5年では諸手数料を同様に考慮すると大きく市場平均に劣ります。

ここで言うトータルリターンとは…分配金を全て再投資したものと仮定。諸手数料は未反映。

以上から、アクティブファンドとして高い信託報酬と販売手数料を顧客である投資家から徴収しているにも関わらず、その投資成績・パフォーマンスは相当期間インデックスに劣後しているということです。

この投資信託については、今まで述べてきた通り、人様に勧められるような良い金融商品とはとても言えませんが、その一方で基準価額以上に純資産が増えていますから、新規流入者・新規投資が当該投資信託に流れ込んでいることを示しているのがこれまた残念です。

まとめ

投資信託「AR国内バリュー株式ファンド」を分析した結果、評価は以下の通りです。

AR国内バリュー株式ファンドの評価以下項目、いずれも好ましくない水準であり、オススメできない

  1. 販売・売却手数料
  2. 信託報酬
  3. リターン(参考指数との乖離)

MSグローバル・プレミアム株式と同様に、「金融機関の金融機関による金融機関のための投資信託」です。

この類の投資信託を購入するならば、例えば私なら、米国高配当株ETFのVYMなどを長期的に積み立てるような資産形成を勧めます。

1.33%の信託報酬はVYM(0.08%)と比べて年1.25%の追加負担が生じます。10年複利で12%ものリターンが毀損される計算です。

こういった投資信託の被害を受ける人が1人でも少なくなるよう、少しでもお役に立てれば幸いです。

Best wishes to everyone!

モルガン・スタンレーグローバル・プレミアム株式についてもご相談を受けましたが、こちらの方がよりオススメできない投資信託でした。お持ちの方は解約を検討されても良いと思います。

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公開日:2018年8月24日