【VYM】配当2.4~6.3%、安定感が光る米国高配当株ETF

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【VYM】バンガード・米国高配当株式ETFは、安定感が光る米国高配当株ETF

VYM(米国高配当株ETF)とは

VYMは、ETF(上場投資信託)です。

ETFとは、色んな企業の株式の「詰め合わせセット」です。個別株や投資信託とのちがいは、以下の画像をご覧ください。

ETFへ投資することで、個別株のように1社1社の決算を分析せずとも、「安い手数料で、手間なく、分散投資」ができます。

VYMは、ETFのなかでも「分配金を多く出すETF(=高配当株ETF と言います)」です。以下画像をご覧ください。

VYMは、こんな人に適しています

そんなVYMは、以下のような人にとって選択肢になります。

  1. 今後も米国企業に賭けたい
  2. ある程度の元本成長を期待したい
  3. 3%ほどの高配当を得て、増配も期待したい
  4. 配当金を生活の足しにしたり、経済的自由を得たい
  5. 「税負担の先払い」になっても気にならない

① 今後も米国企業に賭けたい

投資とは、「投資先が成長していくことに賭ける」ことを意味します。

VYMは、米国の成熟企業で構成されます。つまり、VYMへの投資は、「米国の成熟企業が今後も成長することに賭ける」ということです。

② ある程度の元本成長を期待したい

VYMは、2006年に設定されてから、2022年末時点まで、平均して年間 8.0% のリターン(税前)が得られました。100万円を投資すると、年間8万円得られたということです。

過去の実績が今後も続くとはかぎりませんが、ひとつの参考値にはなりますね。

③ 3%ほどの高配当を得て、増配も期待したい

分配利回りは過去平均3.1%です。また、増配率が高い傾向(過去平均 8.5%/年)です。

そのため、中長期目線で分配金を多くほしい人にとって選択肢になります。

税金を考慮すると、分配金の手取りは2%ほどです。

④ 元本の取り崩しに抵抗あり、配当金で心地よい出口戦略にしたい

分配金の出ない投資信託では、老後などに一部を売却して取り崩すことになります。

一方、ETFは自動的に分配金が振り込まれるため、株数を減らさずに定期収入を得られます。このような心地よさを重視したい人や、老後に配当金が自動で払い込まれる「じぶん年金」を作りたい人に適しています。

出口戦略(資産取り崩し期)の違い
  • 投資信託
    自動または手動で売却額を自分で決めて、取り崩す
    (=保有口数が減る)
  • ETF
    分配金が自動で出る
    (=保有口数は減らない)

⑤ 配当金で生活の足しにしたい、経済的な自由度を上げたい

配当金は定期的に振り込まれるため、生活の足しやプチ贅沢にも使えますね。

配当金>生活費」の状態になれば、現行資本主義が継続するかぎりは、お金がほぼ減らないフェーズに入ります。

⑥ 税負担の先払いになっても気にならない

分配金(配当金)を受け取ることは、「一部の利益を確定すること」に相当します。

利益確定の際に、米国株は約30%(国内 20.315%、現地 10%)の税金が天引きされます。

例)100万円をVYMに投資して、年間3万円の分配金を得た場合、そのうち 約9,000円 は税金として天引きされます。

分配金が出ないタイプの投資信託ならば、この 9,000円 の税負担を解約時まで先送りできます。この「税負担の先送り」をしたい人は、VYMなどの分配金が出るETFよりも、投資信託のほうが適しています。

過去の傾向

過去の傾向は、以下の通りです。

過去の傾向
① コロナショックでは、高配当株ETFの中で安定感あり
増配率が高い(VTI・VIGより高い)
③ 分配利回りは、高配当株ETFの中では低い
④ 2018年以降、トータルリターンは S&P500 に劣る傾向

基礎データ

分配利回り(過去平均) 3.1%
設定来トータルリターン(年率) 8.0%
最大下落率(リーマンショック時) 52.8%
最大減配率(リーマンショック時) 30.8%
分配金支払月 年4回 (3・6・9・12月)
設定日 2006年11月10日
ベンチマーク FTSE High Dividend Yield Index
2023年5月時点

VYMについて、以下を確認します。

確認ポイント
  1. 株価・分配利回り
  2. 分配金
  3. 最大下落率
  4. トータルリターン
  5. コロナショックでの動き(HDV・SPYDと比較)
  6. 構成銘柄とセクター比率
  7. 経費率

① 「分配利回り3%以上」でよい買い場だった

※2022年1月3日時点

  • ピンク色の枠は、分配利回りが過去平均(上図赤線:3.13%)を超えた時期であり、よい購入タイミングであったことがわかります。

② 分配利回り:過去平均 3.1%

  • 2.4 ~ 6.3%で推移
  • 平均値:3.13%
  • 最高値:6.29%(リーマンショックの影響が色濃く出た、2009年3月5日・9日に記録)
  • 最低値:2.45%(2011年2月18日・3月3日に記録)

VYM・HDV・SPYD 分配利回り推移:VYMが最も低い

次に、ほかの米国高配当株ETF(HDV・SPYD)と分配利回りを比較してみましょう。

米国高配当株ETF配当利回り
SPYD 3.4 ~ 8.6%
HDV  3.1 ~ 5.3%
VYM 2.6 ~ 4.5%

※2015年10月~

  •  米国高配当株ETFの中で、分配利回りは最も低い推移

③ トータルリターン(S&P500と比較):2018年まで同等、以降は劣後

VYMが設定された2006年1月1日を「10,000」として、トータルリターン(税前)をS&P500と比較したものです。

  • 年率リターン:8.0%
  • 2018年まで:市場平均と同等
  • 2018年以降:市場平均に劣後

コロナショック後、S&P500に大きく劣後していましたが、2022年に差が縮まっています。

以上の数値は税金を考慮しない場合であり、実際は税金が引かれるため、リターンの値は控えめに考える必要があります。

④ 暴落局面での動き

リーマンショック:株価は半値に、配当は株価ほど下がらず

  最大下落率 高値 安値
株価 53%
(S&P500:50.97%)
$48.62
(2008年4月3日)
$22.93
(2009年3月5日)
配当 31% $1.56 $1.08

※配当は、直近四半期配当4回合計ベース

コロナショック:高配当株ETFの中で、最も底堅い

直近の暴落局面「コロナショック(2020年)」では、

  • S&P500に大きな影響を持つ「GAFAMなど大型ハイテク株」が底堅く、VYMはS&P500より弱かった
  • 高配当株ETFの中では、VYMが最も底堅かった
最大下落率(月次) トータルリターン(2020年)
VYM 24.0% – 2.2%
HDV 26.1% – 8.4%
SPYD 36.6% – 15.2%
S&P500 19.6% + 13.8%

⑤ 構成銘柄・セクター比率

以下のように、ETFを構成する銘柄を、運用会社が定期的に入れ替えます。

  • 2018年:マイクロソフト外れる
  • 2019年:トップはJPモルガン、次にJNJ、エクソンモービル、ファイザー、AT&Tなど大型高配当株が続く
  • 2020年:エクソン、シェブロン、ウェルズファーゴが外れ、ウォルマート、コムキャスト、メルクが加入
  • 2021年:成長性の高い「ホームデポ(HD)」加入

2017年時点

2018年時点

2019年時点

2021年時点

⑥ 経費率(手数料・信託報酬):問題なく低い

  • 2019年2月に0.08%から0.06%に。問題なく低い水準です。
  • 長期投資では経費率が高いと、収益が累積的に低下します。そのため、経費率は低いほうがよいです。ただし、小数点第二位での差は誤差の範疇です。

⑦ 配当金:リーマンショック以降は、安定して増加傾向

権利落ち日 支払日 分配金
2023 3/20 3/23 $0.72
2022 12/19 12/22 $0.97
9/19 9/22 $0.77
6/21 6/24 $0.85
3/21 3/24 $0.66
2021 12/20 12/23 $0.94
9/20 9/23 $0.75
6/21 6/24 $0.75
3/22 3/25 $0.66
2020 12/21 12/24 $0.81
9/21 9/24 $0.71
6/22 6/25 $0.84
3/10 3/13 $0.55
2019 12/23 12/27 $0.78
9/24 9/27 $0.79
6/17 6/20 $0.62
3/25 3/28 $0.65
2018 12/24 12/28 $0.74
9/26 10/01 $0.67
6/22 6/27 $0.63
3/26 3/29 $0.61
2017 12/21 12/27 $0.64
9/20 9/25 $0.60
6/23 6/29 $0.60
3/22 3/28 $0.56
2016 12/22 12/29 $0.67
9/13 9/19 $0.48
6/21 6/27 $0.58
3/15 3/21 $0.48
2015 12/21 12/28 $0.60
9/23 9/29 $0.53
6/26 7/02 $0.56
3/23 3/27 $0.46
2014 12/18 12/24 $0.56
9/22 9/26 $0.47
6/23 6/27 $0.48
3/24 3/28 $0.40
2013 12/20 12/27 $0.53
9/23 9/27 $0.44
6/24 6/28 $0.42
3/22 3/28 $0.36
2012 12/20 12/27 $0.49
9/24 9/28 $0.40
6/25 6/29 $0.37
3/26 3/30 $0.33
2011 12/21 12/28 $0.38
9/23 9/29 $0.31
6/24 6/30 $0.34
3/25 3/31 $0.31
2010 12/22 12/29 $0.31

※権利落ち日の前営業日までに買付し、その日のマーケット終了時点で保有していれば、配当金を受け取ることができます。

増配率:+8.5%(年率)
年間分配金 増配率
2022 $3.25 5.0%
2021 $3.10 10.6%
2020 $2.91 2.3%
2019 $2.84 7.3%
2018 $2.65 10.3%
2017 $2.40 8.8%
2016 $2.21 2.7%
2015 $2.15 12.6%
2014 $1.91 9.1%
2013 $1.75 9.8%
2012 $1.59 20.0%
2011 $1.33 21.6%
  • コロナ禍でも増配(2020年)

増配率の比較:VTI、VIGと同等
VIG VYM VTI
分配金 増配率 分配金 増配率 分配金 増配率
2022 2.97 11.7% 3.25 5.0% 3.18 8.5%
2021 2.66 15.6% 3.10 10.6% 2.93 5.8%
2020 2.30 7.6% 2.91 2.3% 2.77 -4.7%
2019 2.13 4.7% 2.84 7.3% 2.91 11.5%
2018 2.04 6.2% 2.65 10.3% 2.61 11.2%
2017 1.92 5.1% 2.40 8.8% 2.34 5.8%
2016 1.83 0.4% 2.21 2.7% 2.22 7.2%
2015 1.82 14.8% 2.15 12.6% 2.07 10.6%
2014 1.59 14.2% 1.91 9.1% 1.87 11.7%
2013 1.39 -1.6% 1.75 9.8% 1.67 7.0%
2012 1.41 20.5% 1.59 20.0% 1.56 26.8%
2011 1.17 11.4% 1.33 21.6% 1.23 7.4%
平均増配率 8.8% 8.5% 9.0%

2020年まで、VYMが最も増配率が高い値でした。近年はVTIやVIGと同等です。

VYM分析まとめ

以上をふまえると、以下のように整理できます。

こんな人に、おすすめです
  • 今後も米国企業に賭けたい
  • ある程度の元本成長を期待したい
  • 3%ほどの高配当を得て、増配も期待したい
  • 元本の取り崩しに抵抗あり、配当金で心地よい出口戦略にしたい
  • 配当金で生活の足しにしたい、経済的な自由度を上げたい
  • 税負担の先払いはさほど気にならない

こんな人には、おすすめしません

ちなみに…

ETF、投資信託、インデックス投資、高配当投資…、いろいろな投資手法がありますが、資産運用に大きな影響を与えるのは「投資元本の大きさ」です。

  • VTIかVYM、どちらが良いか。
  • 投資信託とETF、どちらが良いか。

これら比較は、多額または長期の運用でないかぎり、さほど大きな差にはなりません。大局的な視点を失わないようにしたいですね。

ご参考になりましたら幸いです。

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公開日:2017年5月20日