インデックスと個別も魅力的ですが、配当金生活ならインフラ系のREITも気になります。
インフラファンドへの投資なら年利6%ほどの分配金を円で受け取れます。それを再投資していくという選択肢はどうなのでしょう?— 土佐守 (@gngnle) August 13, 2018
後述するインフラファンドのメリット・デメリットを考えます。
インフラファンドとは
東証に上場する主なインフラファンドとしては具体的には以下4銘柄が挙げられ、その総称がインフラファンドです。
全て日本国内の太陽光発電を事業主体とする投資法人です。
- タカラレーベンインフラ投資法人(9281)
- いちごグリーンインフラ投資法人(9282)
- 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283)
- カナディアンソーラーインフラ投資法人(9284)
ちなみに私はこのうち、1・3・4を保有しています。事業内容やリスクは以下記事に詳述していますので、ご参考に供します。
インフラファンドのメリット・デメリット
それではインフラファンド全般におけるメリット・デメリットを見てみましょう。
インフラファンドのメリット
- 固定価格買取制度により不況に強い
- REITより減価償却分が大きいため、分配金が多い
インフラファンドのデメリット(リスク)
- 金利上昇リスク
→固定金利ならOK - インフレリスク
→日本では現状考えにくいがリスク自体はあり。分散投資は必要。 - 固定価格買取制度が20年限定というリスク
→20年後の売電価格は確実に下落も、制度終了後の利幅は今後の発電コストの低下幅次第か
メリット①固定売電価格により、不況に強い
インフラファンドの収益構造は基本的に以下の通り。
収益安定要素:最低保証賃料
最低20年間の最低保証賃料という形で賃料が保証される貸借契約を結んでいますから、収益構造は非常に安定していると言って良いでしょう。この20年というのは、背景として日本の固定価格買取制度(FIT)が20年間であることに起因しています。
天候による日照時間の増加などの要因で実際の発電量が多いと、実績連動賃料という形で+αの賃料を得られる貸借契約を結んでいます。逆に天候不良で発電量が芳しくない場合は、実績連動賃料は発生しません。
つまり、不況になって財が売れなくなろうが関係なく、売電収入は「固定価格+α」で入ってくることになります。よって、株式やREITに連動しにくいので、ポートフォリオの一部とするには好適だと思います。
メリット②:REITより減価償却分が大きいため、分配金が多い
インフラファンドは償却資産の割合が大きく、減価償却が相対的に大きくなります。
どういうことかと言うと、太陽光発電の立地は郊外ゆえに土地価格が都市部より低いんですね。対して都市部にも物件を抱えるREITは、土地の値段が田舎より当然高いですよね。
ここでポイントなのが、土地は減価償却を通じて費用計上されませんが、建物や設備は減価償却されます。
で、減価償却っていうのは実際にキャッシュアウトを伴う費用ではないので、会計上の利益より減価償却費の分だけキャッシュは手元に残ります。
インフラファンドは土地代が安く、この減価償却の割合がREITより大きいので、キャッシュが残りやすい。そしてこれが超過分配金の正体です。
減価償却費が相対的に大きいということは、純利益を源泉とした純粋な分配金だけではなく、減価償却費を源泉とする利益超過分配金にまわせる額も増えるということです。
そのため、分配利回りはREITより基本的に高くなる傾向にあります。月々のキャッシュフローが増えるのは大きいですね。
リスク①:金利上昇リスク
売電価格が固定されるインフラファンド。まずREITと同様に金利上昇による借入利率や財務への影響リスクが気になるところです。しかしこれは過度に気にする必要はなしと個人的に考えます。
例えばカナディアンソーラーインフラ投資法人であれば、金融機関(三井住友銀行・新生銀行)からの借入金利は固定金利です。(TIBORに上乗せする形ではなく、金利スワップ契約により、0.845%に固定。)その為、日本の金利上昇局面で利払い上昇によって財務が圧迫されることはありません。
リスク②:インフレリスク
まず太陽光インフラファンドにおいては、固定価格買取制度で収益が安定的である一方、売電価格が固定されるわけですから、賃料収入をインフレと共に上げることは困難が予想されます。株式や不動産より、インフレ耐性は低いと見ます。運営や維持管理コストも物価と共に上がるリスクがあります。
ただ、分配金が5~7%出ます。世界的に物価上昇率が低迷する中で、インフレ率がそれを上回ることは日本ではあまり考えられないでしょう。
とはいえ、ハイパーインフレというテールリスクもありますから、インフラファンドへの集中投資はオススメできません。適度なポートフォリオの分散はやはり必要です。
リスク③:固定価格買取期間終了後の売電価格急落リスク
現在のFIT(固定価格買取制度)が終了した後は、固定価格で買い取る義務を有する人がいなくなりますから、発電事業者が電気事業者と交渉して売価を決めるか、卸電力取引所と呼ばれる市場等で市場価格にて売却することになります。
市場で売電先が見つかったとしても、その価格は確実に今より低いでしょう。既に日本以外の欧州(特にドイツ)や中国・インドで強力に政府が推進しており、発電コストは年々低下しています。
今後、パリ協定やESG投資など世界的な潮流は明確であり、CO2排出量の多い石炭火力は淘汰され、再生可能エネルギーが主流となることが見込まれます。
そのような情勢下、今後も太陽光発電コストは低下し続ける公算が大きいです。
固定価格買取制度が終了する頃には売電価格はかなり低下していることが予想されますが、発電コスト自体も日本でそれを上回るほど低下していれば、利幅は見込めることになります。
よって、売電価格の低下によるリスクは、発電コストの低下幅次第といったところでしょうか。
まとめ
以上のメリット・デメリットを考えますと、個人的には選択肢になる投資先と思います。
経済的に自立した生活を送る上で、安定配当は1つの要素になり得ます。
とはいえ、あくまでインフラファンドに集中投資するのではなく、上に挙げた以外の予期せぬリスクが顕在化するなど最悪の事態も考えた上で、あくまでポートフォリオの一部に留めるべく分散が鉄則でしょう。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
タカラレーベンインフラ投資法人の詳細はこちら。
カナディアンソーラーインフラ投資法人の詳細はこちら。
配当金や分配金を追求するのであれば、高配当株式もあります。連続増配年数が25年以上の高配当株式のリストです。