カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は7%超の高配当が魅力【銘柄分析】

読者の方から以下のようなご質問を頂きました。

ツイッターでいつもお世話になっております。
今回ついにインフラファンドの名前が挙がったのが気になりました。
NGGの過去記事が凄く印象に残っていたので、インフラファンドとかは買わないのかなぁと思っていました。

まもなく登場する、カナディアンソーラーはグローバルな企業ですし、ご意見お伺いしたいところです。

私見を以下に記させて頂きます。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人とは?

カナディアン・ソーラー投資法人は、2017年に設立されたインフラファンドであり、三菱サラリーマンが200万円以上投資している銘柄です。

2017年5月18日に1億5,000万円の出資金を基に設立されました。2017年11月時点では実質的な資産運用を開始していない為、運用実績はなく、分配金もまだ出ていませんでしたが、2019年3月に出る分配金からは3,600円と軌道に乗ってきましたね。

本投資法人は、再生エネルギー発電設備などへの投資と運用が生む安定的なキャッシュフローの創出により、安定的な分配金を創出することで、投資主価値の最大化を目指していると謳っています。

当面は日本国内の太陽光発電設備のみでのポートフォリオとすることが明記されており、太陽光発電以外への投資は現状考えていないようですね。

鹿児島・大分・熊本・長崎・茨城・埼玉・静岡など13か所の発電所をポートフォリオとおり、やや九州に多いのが特徴です。

スポンサーはカナディアンソーラー

尚、投資法人の名前にもなっている通り、同投資法人のスポンサーはCanadian Solar Inc.(本社:カナダ)です。

カナディアンソーラーは太陽光パネル出荷量世界3位のシェアを占めています。

世界シェアBest 5の企業群とシェア
  1. ジンコソーラー(中国)8.1%
  2. トリナ・ソーラー(中国)7.4%
  3. カナディアン・ソーラー(カナダ)6.3%
  4. JAソーラー(中国)5.9%
  5. ハンファQセルズ(ドイツ/韓国)5.6%

(出所:IHS Markit、2016年の太陽光パネル出荷量ベース)

同社は既に国内勢の京セラやシャープを追い越し、日本国内シェアも広げています。かつては国内勢が太陽光パネルを独占していましたが、コストの安い中国やカナダ勢の攻勢にさらされてきました。

最大の特徴はスポンサーが太陽光パネルメーカーであること。メリットとリスク。

本投資法人の最大の特徴は、やはりスポンサーが太陽光パネルメーカーであることでしょう。

いわば垂直統合型モデルの下、太陽光発電事業の幅広い事業領域をカバーするカナディアンソーラーと本投資法人が協働関係にあると言えます。太陽電池モジュールの製造から太陽光発電設備の開発・生産・運営まで一貫して同一グループ・スポンサーで行うことができます。

同投資法人の特徴によるメリット

メリットは端的には以下3つ挙げられます。

同投資法人の特徴・メリット
  1. カナディアンソーラーグループ製の太陽光モジュールを用いて保有資産の耐用年数、設備利用率、発電量の最適化が見込める、
  2. 同グループの太陽光発電設備の企画・開発ノウハウの活用、
  3. 同グループの提供するO&M(オペレーション・メンテナンス)サービスの活用・運営コストの低減

なにより、固定価格買取制度による売電収入の安定性、高配当(6-7%)も大きなメリットに映りますね。

営業収益の仕組みとしては、タカラレーベンインフラ投資法人と同様、基本賃料に加え、発電量に応じて変動する実績連動賃料という形で収益を受け取る仕組みとなっています。

関連記事:タカラレーベン・インフラ投資法人は高配当、利回り5~7%

太陽光発電インフラファンドのリスク

一方、個人的に認識すべき重要なリスクとしては以下が挙げられるでしょう。

  1. インフレが起こった際、売電価格の実質価値が低下するリスク
  2. 固定価格買取制度満了後の売電リスク
1.インフレリスク

まず太陽光インフラファンドにおいては、固定価格買取制度で収益が安定的である一方、売電価格が固定されるわけですから、賃料収入をインフレと共に上げることは困難が予想され、株式や不動産と異なり、インフレ耐性がありません。運営や維持管理コストも物価と共に上がる可能性があります。

2.固定価格買取制度終了後の売電価格急落リスク

現在のFIT(固定価格買取制度)が終了した後、同制度において固定価格で買い取る義務を持つ人がいなくなりますから、発電事業者が電気事業者と交渉して売価を決めるか、卸電力取引所と呼ばれる市場等で市場価格にて売却することになります。

市場で売電先が見つかったとしても、その価格は確実に今より低いでしょう。太陽光発電コストは年々低下しており、既に日本以外の欧州(特にドイツ)や中国・インドで強力に政府が推進しています。

中国では1700億円規模の環境基金を設立し、環境負荷の低い再エネを推進。インドでは深刻な電力不足を補うため、原子力や石炭火力ではなく再エネプロジェクトが対策措置です。

今後、パリ協定やESG投資など世界的な潮流は明確であり、CO2排出量の多い石炭火力は淘汰され、再生可能エネルギーが主流となるでしょう。

出所:IEA Energy Outlook

IEA(世界エネルギー機関)は2040年にはエネルギー供給の約4割が再エネになると見込んでいます。

そのような情勢下、今後も太陽光発電コストは低下し続けることが見込まれます。つまり、固定価格買取制度が終了する頃には売電価格はかなり低下していることが予想されるので、15年を超えるような長期投資を行う場合には、FIT制度終了の数年前に売却するという手も考えられるでしょう。

一方、同制度終了の数年前から市場も織り込むでしょうから、投資口価格が堅調な間に高配当の分配金を受け取って、売却してしまう方が良いとも考えられます。

ただ、昨今は再エネ普及・促進により、発電設備の価格や発電コストも下がってきています。ですので、FIT制度終了後も売電価格が依然として発電コストを上回っている可能性はあります。

また、同社は下図の通り分配金は合理的な額に収め、減価償却費相当額を活用した再投資を重視しています。

再投資による成長を期待して保有し続けるという選択肢もありますね。個人的にはそこまで先を見通すことは困難なので、基本的には引続き末永くホールド予定です。

金利リスクはあるか:借入金利は固定→金利変動リスクなし

ちなみに、本投資法人の金融機関(三井住友銀行・新生銀行)からの借入金利ですが、TIBORに上乗せする形ではなく、金利スワップ契約により、長期借入金のうち90%以上が0.845%・1.042%に固定されています。その為、日本の金利上昇局面で利払い上昇によって財務が圧迫されることはありません。

TIBOR:Tokyo Interbank Offered Rateの略称。LIBORの東京版です。銀行間で資金を融通される短期金融市場、インターバンク市場での金利で、日々変動します。

分配金見通し

本投資法人は巡航分配金は3,600円程度x2回/年を見込んでいます。2019年3月に出る分配金から4期連続で3,600円を予定しており、安定はしています。

また、利益超過分配金を含んで分配が成されていますが、私はこの利益超過分配金を悪とはみなしていません。

利益超過分配金は、純利益ではなく減価償却費を原資として分配されるわけですが、そもそも減価償却費はキャッシュアウトを伴わない費用なので、無理して「ない袖を振っている」わけではありません。

勿論、その分を再投資に回すか分配金に回すかというのは、インフラ投資法人の性格が出る部分とも言えそうですね。

カナディアンソーラーインフラ投資法人、銘柄分析まとめ

私が注目するのは以下4点。

  1. 約7%の高い配当利回り
  2. 売電収入は安定
  3. インフレリスク
  4. 固定価格買取制度後、売電価格急落の可能性

この4点をどう天秤で量るか、これが投資判断を決めるのではないでしょうか。

③はどちらかと言えば日本ではあまり顕在化しないかもしれません。

④については、向こう10年間程度なら、まず問題ないでしょう。発電コストも下がれば問題はありません。

Best wishes to everyone!

私はタカラ・レーベンインフラ投資法人と日本再生可能エネルギー投資法人を、ポートフォリオが過度に偏りすぎない程度に保有しています。

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公開日:2017年11月26日

コメント

  1. ひで より:

    他のリスクとしては、九州電力の出力制限のリスクもありますね。

  2. 森林樹 より:

    分配金は利益超過分配金を含んでいた気がしますが、いかがお考えでしょうか。

    • 利益超過分配金というのは響きがあまりよくありませんが、それ自体が悪というものではないと私は考えています。
      通常分配金は当期純利益を原資として分配されるわけですが、この減価償却費は性質上キャッシュアウトを伴わない費用なので、原理的にその分を分配金に回すことが可能です。
      また、リートの場合減価償却費の6割まで利益超過分配金として出して良いことになっています。

  3. 森林樹 より:

    ご返信ありがとうございます。なるほど、営業キャッシュフローを原資とする考えに近いわけですね。リートになると減価償却も大きくなりますし。
    勉強になりました。