【XOM銘柄分析】エクソンモービル、高配当スーパーメジャーの配当貴族

(※2019年8月21日 更新)

本記事は、スーパーメジャーやオイルメジャーとも呼ばれる国際石油資本の筆頭格であるエクソン・モービル【XOM】の銘柄分析についてです。

XOMは三菱サラリーマンが2017年から1.5万ドルを投じている銘柄で、石油関連銘柄の中でRDSBに次いで多くの資金を割いています。

何かと石油業界には逆風や懸念が支配的な昨今ですが、個人的にはスーパーメジャーが「今後もエネルギー業界でのポジションを維持」という前提の下、投資しています。

【XOM銘柄分析】エクソンモービル、高配当スーパーメジャーの筆頭格・配当貴族

エクソン・モービル【XOM】は米国最大手のエネルギー会社であり、下段に示した図中にあるスーパーメジャーの一角。

主に原油と天然ガスの探鉱・開発・生産・輸送・精製、石油製品の製造・輸送など上流部門から下流部門まで一貫して行う垂直統合型の巨大企業。

オイルメジャーの直近の歴史・変遷については下図(出所:経済産業省 資源エネルギー庁)が一瞥してわかりやすいと思います。

いずれにしても、エクソンモービル最大の特徴は同業他社のシェブロン・ロイヤルダッチシェル・BPよりも業績・キャッシュフローが安定していることです。

その背景には、下図の通り、部門別利益は上流部門が直近では60%と過半を占めるものの、下流部門と石油製品も全体の40%の利益を創出しており、部門ポートフォリオが比較的分散されていることが挙げられます。

出所:2018年 Annual Report

上流部門はやはりWTI先物(原油価格)と概ね連動するボラティリティの高い事業構造ですが、下流部門と石油製品の利益は原油価格に左右されず安定していることがわかります。

【XOM】基礎データ

XOMの基本情報は以下の通り(2019年8月21日時点)。

社名(和文) エクソン・モービル
社名 Exxon Mobil Corp
ティッカー XOM
設立日 1882年8月
本社所在地 米国テキサス
従業員数 71,000人
セクター エネルギー
連続増配年数 37年
直近配当利回り 5.0%
直近4年平均配当利回り 4.1%
直近3年平均増配率(年率) 3.9%
直近5年平均増配率(年率) 5.6%
配当月 3, 6, 9, 12
1株配当 $3.48
1株利益 $4.88
配当性向 71.3%
PER 14.1倍
株価(2019/8/20時点) $69.05

後述しますが、オイルメジャーの中でも比較的安定した業績・キャッシュフローを背景とした安定的な増配と高配当が最大の特長でしょう。

直近配当利回り5.0%という水準は後述の通り、過去と比較しても比較的高い水準です。

【XOM】株価と配当利回り推移(2007年以降)

株価はここ5年は概ね横ばい。2007年以降の平均配当利回りは3.5%。

石油関連銘柄の見通しの暗さと不人気さが如実に表れたグラフとなっていますね。

【XOM】株価と配当利回り推移(2014年以降)

2014年以降の直近5年間の平均配当利回りは4.05%です。

2015年から続く原油価格低迷以前は概ね配当利回りは3~4%でしたが、2015年以降は3.5~5.0%程度で推移しています。

現時点では配当利回り5.0%近傍はXOMの過去配当利回りという観点からは、買い増しを検討したい水準です。

【XOM】購入タイミングの目安

エクソン・モービルの購入タイミングとして、以下が挙げられます。

配当利回りから見る買い目安

1-1)配当利回りが平均値を超えた時

→ 配当利回りが4.05%を超えた時

1-2)配当利回りが一定値を超えた時

→ 配当利回りが5.0%を超えた時

VIX指数から見る買い目安

・VIXが20を超えた時

・VIXが30を超えた時

配当利回りの直近5年間の平均値は4.05%です。ですから、少なくともこの水準を上回る配当利回りの際に買いたいところです。

また、直近の5.0%という水準は稀に見る高い値ですから、押し目買い前提であれば、購入タイミングとして悪くなさそうです。

下図はXOMとVIXの関係を示したものです。

一瞥してわかる通り、VIX指数が20を超えた局面は下押し局面であり、更にVIX指数が30を超えた局面は良い買い場であったことがわかります。

ただ、リーマンショック級の暴落となると、上述した目安以上に大きく振れる可能性があります。配当利回りはかつてない数値まで高まる可能性もありますし、VIXもリーマンショック時は80まで上昇しましたから、30を大きく超える可能性もあります。

ですから、基本的に上で挙げた数値というのは、上昇トレンドの押し目買いの際に参考になる値・水準となります。

【XOM】配当と配当利回り推移

2015年の原油価格低迷以降は増配幅が縮小していることがわかります。増配+株価は概ね横ばいということで、じりじり配当利回りが上昇しています。

【XOM】業績推移

XOMの①売上高・②営業利益・③純利益・④営業利益率・⑤営業キャッシュフローマージンを見てみましょう。

後述しますが、売上高・営業利益・純利益・利益率など概ねほぼ全ての経営指標は原油価格に連動します。これらも2015年以降の原油価格低迷の影響を受けています。

【XOM】キャッシュフロー推移

XOMの①営業キャッシュフロー・②投資キャッシュフロー・③フリーキャッシュフロー・④営業キャッシュフローマージンを見てみましょう。

営業CFマージンが2015年の原油価格低迷以前の水準まで回復していることがわかります。原油価格が以前の水準まで回復していないにも関わらず、です。

同社の資産売却や優良資産の購入など事業ポートフォリオの見直しやコスト削減策の効果が表れているとも見てとれます。

【XOM】配当安全性

原油価格が急落した2015年・2016年を除いて、1株あたりのフリーキャッシュフロー(FCFPS)が、1株あたりの配当(DPS)を上回っています。

よって現時点に限っては特段の減配リスクは明確には見えません。

【XOM】オイルメジャーとのFCFマージン比較

XOMのフリーキャッシュフローマージンは概ねRDSB・BPを上回るなど安定感が垣間見えます。

【XOM】株価と原油価格との相関性

XOMはRDSBやBPほどではないにせよ、原油価格(WTI先物)との相関性は、上図の通り高いです。冒頭の通り、上流部門の利益が直近では60%を占めますから、原油価格の業績へのインパクトも依然として高位です。

【XOM】エクソン・モービルの特徴と歴史

次に、同社を特徴付ける事象を一部振り返ります。

果断なリストラ政策

同社の繁栄は無傷で成されたものではありません。

1982年、同社は18万2000人を雇用していました。しかしその後予期せず原油価格が下落すると、合理化キャンペーンを推進。

同キャンペーンにより、1989年までに8万人をクビにしています。実に全雇用の4割以上です。

当時のNY本社の人員は1,362人から330人に激減しています。

これにより、1987年、同社の財務成績は浮上し、従業員1人あたりの年間収益は他のアメリカ主要企業を上回ることになります。

このようにリストラは株主価値の向上に貢献し、一方従業員は職を失うという、資本主義を特徴づける両者の利益相反が起こるわけです。こういった面と、昨今の米国企業による「株主至上主義の是正」という論調は無関係ではないでしょう。資本主義の世界で生きている以上、留意していても良い点です。

石油ガスという事業自体が長期投資

同社の展開する石油ガス事業は、生産期間が40年にも及ぶ長期スパンのものもあります。

その間に当然大統領は変わり、投資国は政情不安定な国が多く、クーデターや政変リスクがあります。

このリスクについてはお国に負んぶに抱っこというわけには行かず、自社でリスク管理を行なっているようです。

それでも同社高級幹部は身代金誘拐事件の被害者となり、殺されたケースもあり、その後の徹底的な同社のリスク管理体制の確立に繋がっていきます。

リスク管理体制

同社は以前、エクソン・バルディーズ号による原油流出事故を起こしており、多額の補償金や世間の厳しい目・環境保護団体からの強烈な批判に晒されていました。

加えて、80年代後半の原油価格低迷により同社のキャッシュフローは著しく締め付けられ、一時は配当を支払うために借り入れまで行っています。

そして政情不安定国からすれば、エクソンが石油やガスを生産する土地は、クーデターやゲリラ活動による恰好の捕獲や盗みの対象となりやすく、同社には当該地域を物理的にコントロールする力が求められます。

そして上述した身代金誘拐事件も幾度となく起こり、抜本的なセキュリティ改革を行う必要性が生じてくるわけです。

社内のグローバル・セキュリティ部門が改革され、シークレット・サービス調査・情報担当副長官が採用され、同社の上級幹部は大統領候補者や政府関係者並みの身辺警護を受けるようになります。

幹部が電話を掛ける際は、セキュリティ部がチェックして誰かが会話を盗聴することを防ぎました。

リスクマネジメント手法は次第にカルト的になっていく程です。

  • 社内の掲示板、オフィスの壁面、世界中の社用車の上に「誰も怪我しないように」という掘削現場から採用されたモットーがくまなく貼られ、
  • 交通事故防止の為、電子式監視装置を車両に装備し、運転手の位置を遠隔で追跡、速度制限を超過させないようにし、1度でも違反すると即解雇
  • アフリカではマラリアの血液検査に異常があると即解雇、帰りの航空券は自腹
  • オフィスで紙で指を切らないように手袋をはめてペーパー作業を行うか議論がされる

等々、一部行き過ぎている程徹底されていきます。

同社は一つの国家のような側面を持つ企業体と言えます。

ESG投資の浸透。環境問題では逆風か。

2017年5月、エクソンモービルの株主総会で次のような株主提案への株主の賛成が過半に達しました。

「気候変動規制の業績への影響を更に詳しく開示すべき」

同提案はエクソンにとってはあまり触れられたくない事象と言えるでしょう。石油産業は油濁事故の可能性があるなど、環境負荷は潜在的に高いです。

以前まで年金基金によるこの手の株主提案は否決されてきました。ではなぜ今回過半に達したか?それは米ブラックロックなどの運用会社が賛成にまわりはじめたからです。

これはESG投資の浸透と無縁ではありません。

昨今ESG投資というEnvironment・Social・Governanceという物差しで企業を評価する動きが広がり、市場の3割を占めるまでになっています。日本のGPIFもESG投資を率先して採用。

世界最大の政府系ファンドで日本株の約1%を保有するノルウェー政府年金基金は、石炭火力発電比率の高い中国電力や北陸電力など日本の電力6社を投資対象から外しています。

ESG投資の額は世界で約23兆ドルにのぼり、資産規模の増加と共に投資先企業への影響力も未曾有の強さとなってきている米ブラックロックやバンガードなどの有力運用会社は、企業との対話や議決権行使でアピールせざるを得ず、環境保護や人権問題の分野にまで関与し始めています。

まとめ

以上、エクソン・モービル【XOM】の業績や沿革を振り返りました。

配当利回りが5%近傍に迫る時点で私としては買い増し目線としたいと思います。ただ、5%という水準は高配当株ETFに目を向けると、SPYDの配当利回りが直近4.8%程度と大きく変わらないんですよね。

ですから、RDSBを買い増し直後ということもあり、今すぐ買うわけではありませんが、個人的にはこの水準なら追加投資を検討しても良い水準です。

ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone!

同じくスーパーメジャーのロイヤルダッチシェル【RDSB】の銘柄分析です。

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エクソンモービルがどのような会社かを知るには「石油の帝国」がオススメです。相当詳細に同社の沿革・強みが滔々と語られています。もはや1つの企業に留まらない組織体制ですね。


石油の帝国―――エクソンモービルとアメリカのスーパーパワー

公開日:2017年4月1日